事業見通しの書き方コラムを3分読めば理解できること

・日本政策金融公庫融資の創業計画書の書き方が理解できる
・縦2列方式の記載の趣旨が理解できる
・売上高から利益までの各行の趣旨が理解できる

日本政策金融公庫融資の創業計画書「8.事業の見通し」の書き方。縦2列方式の意味は?また売上高から利益までの8項目の書き方のコツは?このコラムでは創業計画書「8.事業の見通し」の書き方について詳しく解説する。

事業見通しの書き方コラムコラムの目次

①創業当初と軌道に乗った後とはいつのこと?
②売上高の書き方と計算根拠
③売上原価の書き方と計算根拠
④人件費の書き方と計算根拠
⑤支払利息の書き方と計算根拠
⑥その他経費の書き方と計算根拠
⑦事業見通しの書き方コラムコラムのまとめ

事業の見通し2


①創業当初と軌道に乗った後とはいつのこと?

いよいよ創業計画書も大詰めの「8.事業の見通し」だ。この項目はこれまで記載した創業計画書の集大成だ。1~7の項目ともリンクしている内容も多々あるので、論理矛盾を起こさないように注意されたい。

「8.事業の見通し」で最初に目につくのが、縦2列方式の「創業当初」と「1年後又は軌道に乗った後」の項目だ。「創業当初」とはいつまでのことで、「軌道に乗った後」とはいつ頃のことを書けばよいのか。

創業当初

過去の経験則で言うと、創業当初とは売掛金が1回転する程度の期間。つまり創業から3カ月目を記載すればよい。この時期においても、後で述べる「利益」の行は黒字であることが望ましい。

単なる数字合わせで黒字を導き出すのではなく、必ず事前に十分な対策を練って、創業3カ月で若干なりとも黒字化できる体質を目指そう。

軌道に乗った後

ここに示すのは1年後でも良いし、いわゆる軌道に乗った後、どちらでも良い。1年後を選ばない場合には、創業から半年~1年半程度後の時期を記載しよう。決して2年後や3年後等という、遠い未来を記載しないこと。

利益

利益から税金の支払いと公庫への返済を行うことになる。仮に500万円を5年返済(60回)する場合には、約85000円の返済が必要だ。税引き後に85000円を残すためには、次の計算式で利益の必要最低額を計算しよう。

利益の必要最低額の計算方法

85000円 ÷ (1-40%) 
= 85000円 ÷ 60% = 142000円
※40%は法人税の実効税率を指す

②売上高の書き方と計算根拠

ここからは各行の書き方と計算根拠について見ていこう。右側の空白ゾーンに計算根拠を示す必要があるため、次の例を参考にして記載してもらいたい。

≪創業当初≫

20人 × 平均単価4000円 × 回数12回 = 96万円

≪軌道に乗った後≫

50人 × 平均単価4000円 × 回数12回 = 240万円

以上の通り、売上については、必ず次の公式を用いよう。

客数 × 客単価 × 月間リピート数

③売上原価の書き方と計算根拠

売上原価については、原則として仕入高を記載する。建設業などの場合は、外注工事費などを含めた売上原価を記載することに注意。ここで、

売上高 - 売上原価 = 粗利益(あらりえき)

となるため、例えば粗利益率30%の事業の場合、売上原価は70%となる。まずは自分の事業の平均的な粗利益率を調べ、逆数の原価率を導き出し、売上高に掛けて計算しよう。

≪記載例≫

売上原価は売上高×原価率(*%)によって算出した。

④人件費の書き方と計算根拠

人件費については、いわゆる「手取り額」ではなく、社会保険料や所得税控除前の「額面給与」で記載しよう。さらに会社負担の社会保険料や通勤交通費も考慮して計算する。

法人営業の場合は、代表者の給与(役員報酬)も記載すべきだが、あくまでも代表者が「現場実務に従事する事に対して得る対価」の位置づけであることに注意。決して「経営者としての管理業務だけ」への対価ではないとの認識で記載しよう。

≪創業当初≫

人数2.5名 × 平均給与20万 × 1.2 = 60万

≪軌道に乗った後≫

人数5名 × 平均給与22万 × 1.2 = 132万

※「1.2」を乗ずることにより、会社負担の社会保険料と通勤手当を考慮している

⑤支払利息の書き方と計算根拠

支払利息を計算する前に、返済期間を考えなくてはならない。創業融資では5年が標準期間のため、次の計算式で月間の利息金額を算出しよう。(500万円融資、金利1.5%として)

≪利息の計算方法≫

500万 × 1.5% ÷ 12か月 = 6250円

厳密に言うと、創業当初と軌道に乗った後では、元金が返済されて減っている分、月間利息額は少なくなるが、記載が「万円」単位であるため、気にしなくても大丈夫だ。

⑥その他経費の書き方と計算根拠

最後に、ここまでの明細で記載しなかったその他経費を記載する。過少に評価せず、ありとあらゆる問題点を想定して、可能な限り記載しよう。例えば、次のような項目が挙げられる。

水道光熱費 / 郵送費 / リース代 / 消耗品費 / ガソリン代

この部分はやや辛め(高め)に記載しよう。そうすることで、融資担当者からは「リスクを十分に想定できている」との評価を得ることが出来るだけでなく、これらは運転資金として融資額算定の根拠ともなるからだ。

⑦事業見通しの書き方コラムコラムのまとめ

以上が創業計画書「8.事業の見通し」の記載方法だ。これで創業計画書の重要な記載項目は全て解説を終えたことになる。全6回のコラムいかがだっただろうか。当事務所では毎月30件以上の開業相談を受けているが、その中でも資金面の相談、特に日本政策金融公庫の借入相談が圧倒的にに多い。

当コラムでは経験則に基づき、可能な限り情報提供したつもりである。このコラムをしっかり読めば、あなたも自分で創業計画書が書けるはずである。

しかし、創業計画書記載に一抹の不安があったり、公庫支店の審査担当者への取次ぎを希望するような場合は、遠慮なく当事務所に相談してほしい。部分的なサポートで済む場合は、特別価格でご対応している。

あなたの事業が成功裏にスタートできることを心よりお祈りして・・・。