社会保険の加入手続きしよう

1.社会保険の種類とは?

介護・障害者福祉事業の分野では、雇用関係のコンプライアンス遵守が厳しくチェックされます。

法人設立登記が済んだら、次に社会保険の加入手続きに着手しましょう。一般的に言われる「社会保険」とは次の5種類から構成されています。

保険名称 備えるリスク
厚生年金保険 老後資金(国民年金の上乗せ)
健康保険 仕事以外の病気・怪我・出産
介護保険 要介護・要支援状態
雇用保険 失業、休業中の生活補償
労災保険 仕事中の怪我、死亡

加入者(被保険者)には、幾つかの要件が法律で定められています。

逆に言うと、要件に合致すれば強制加入となりますので、会社や本人に加入・非加入の選択権があるというわけではありません。

以下、少し細かく内容を見ていきましょう。

2.厚生年金・健康保険・介護保険

法人の場合、従業員数に関わらず厚生年金・健康保険の強制適用事業所となります。

厚生年金・健康保険・介護保険はセット加入です。

交通費を含む月給の約15%を徴収、同額を会社が負担して納付します。

【月給20万円、交通費2万円の場合の厚生年金・健康保険・介護保険】
33,000円。同額を負担し、66,000円を納付

 

役員を除くすべての従業員が被保険者(加入対象者)となりますが、次の方は除かれます。(一例)

【社会保険の被保険者から除かれる人】
・所定労働時間が正社員の4分の3以下の人(概ね、週30時間以下)
・2ヶ月以内の期間雇用契約者

 

女性主婦パートの方を雇用するとします。そこで問題となるのが、①ご主人の扶養問題と②社会保険加入問題です。

さらに、①ご主人の扶養問題はア)社会保険(3号年金・健康保険・介護保険)の扶養問題と、イ)所得税の扶養問題に分かれます。

時給1200円の女性主婦パートの方を雇用する場合、労働時間に応じて次の点に留意する必要があります。(雇用保険については後述内容をご参照下さい)

月間勤務 72h 86h 90h 98h 130h 131h
月給 8.5万 10.3万 10.8万 11.7万 15.6万 15.7万
年収 103万 123万 130万 141万 187万 188万
社会保険 加入できない 加入
〃 扶養 夫の扶養に入れる 夫の扶養に入れない
夫所得税 配偶者控除 配偶者特別控除 控除なし
雇用保険 加入できない 加入できる

女性主婦パートさん本人にとって、メリットのある項目をブルーでの帯で示しています。

これを見ると、労働時間100~130時間、月給12~15万、年収145~180万円という、最も多くの方が該当しそうなボリュームゾーンで、次のデメリットが生じることになります。

【時給1200円。労働時間100~130時間の方のデメリット】

①社会保険(3号年金・健康保険・介護保険)で夫の扶養から外れる
②所得税で夫の扶養から外れる(配偶者控除・特別控除ともに)
③本人もパート勤務先で社会保険に加入できない※

※国民年金1号被保険者として、自分で年金を納付。健康保険も単独で国民健康保険となります。

上記内容は、女性主婦パートさんを雇用する場合の、話し合い材料として是非参考にしてください。

3.雇用保険

雇用保険は本人が月給(交通費含む)の0.5%、会社0.9%、合計1.4%(平成28年)を会社が納付します。

前述の厚生年金・健康保険・介護保険に比べると負担率は引きですが、1年分の前納必要です。

ただし、一定の要件に合致すれば3分納も可能です。

加入対象となる被保険者は、概ね週20時間労働以上の方です。(役員を除く)

3.労災保険

労災保険は業種の危険率に応じて、交通費を含む月給の0.25%~7.9%を会社が全額負担します。

こちらも1年分の前納が必要です。(要件に合えば分納可)

加入対象となる被保険者は、パートを含む全従業員です。(役員を除く)

 

税金関係の手続きをしよう

社会保険の手続きと並行して、税金関係の手続きを行いましょう。

1.源泉所得税

給与(報酬)支給の都度、会社は源泉徴収を行い、全従業員(役員を含む)分を本人に代わって税務署に納付する義務があります。

納期は原則として、給与支給日の翌月10日ですが、後述する源泉所得税納期特例に関する届出を提出すれば、7月10日と1月20日にまとめて納付することが認められています。

さらに、年内最後の給与において、本人からの申告に基づき各種税額控除を計算し、還付・徴収をする必要があります。(年末調整

2.住民税

源泉所得税同様、給与(報酬)支給の都度、会社は源泉徴収を行い、全従業員(役員を含む)分を本人に代わって、従業員の住民登録がされている各市町村に納付します。

人数が増え、各従業員の居住地が増えると事務処理が非常に大変です。

源泉所得税と異なり、半年分をまとめて納付するという特例が認められていないため、毎月10日に納付する必要があります。

入社初年度は、現在課税中の住民税の残額を会社に報告してもらい、それを分割して源泉徴収し、納付することになります。

しかし場合によってはそのような中途手続きを行わずに、2年目から源泉徴収を開始するという形でも構いません。

つまり、入社して初めての年末調整(12月)後、源泉徴収票と同様の記載事項(給与支払報告書)を各従業員・役員の居住市役所に送付し、住民税の決定を受けてから、給与での住民税源泉徴収を行うという意味です(年末調整の翌年6月から)。

3.税務関係届出

法人設立が済んだことを、課税主体である3つの管轄に届出する必要があります。3つの管轄とは、

ア)税務署・・・法人税(国税)
イ)府県税事務所・・・法人府県民税、事業税(地方税)
ウ)市役所、町村役場・・・法人市町村民税(地方税)

主となる届出は「法人設立届」です。これは単に法人の設立、代表者、決算月、資本金などを通知するものです。

この法人設立届とは別に、税制上のメリットを受けるための届出が多々あります。一部をご紹介しましょう。

手続き名称 手続きの効果・目的
青色申告承認申請 発生する赤字を翌年度に繰り越し、黒字と相殺できる
源泉所得税の納期特例承認に関する申請 源泉所得税の納税を年2回に取りまとめる
棚卸資産の評価方法の届出 選択により、有利な在庫評価方法を選択できる
減価償却資産の償却方法の届出 選択により、有利な減価償却方法を選択できる
申告期限の延長特例申請 申告期限+1ヵ月間、法人税の納付遅れの罰則を逃れる

 手続きが漏れるとメリットを逃してしまいます。会社設立登記後、即実行しましょう。

 

労務専門コラム 介護・障害者福祉 設立編

>>①介護・障害者福祉事業所の法人設立手続き
>>②会社設立形態 法人の種類と比較一覧表
>>③設立法人の種類を比較しよう
>>④会社設立~会社名称、本社住所、事業目的を決めよう
>>⑤会社設立~決算月、資本金、出資者、役員を決めよう
>>⑥会社設立後に必要な届出手続き
>>⑦障害者作業所 就労移行支援・就労継続支援(A型B型)
>>⑧就労移行支援、就労継続支援(A型B型)の事業者要件
>>⑨雑記 宗教法人と非営利型社団法人の比較
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