2024年8月号
令和6年10月 最低賃金アップ
7月24日開催の「中央最低賃金審議会」の小委員会で、令和6年10月の最低賃金改定について、引き上げ額の目安が示されました。ABC全ての都道府県ランクで過去最大、+50円の改定見込みです。この後10月までに正式決定が行われます。
( )は2023年10月決定の最低賃金 | UP | |
A | 東京(1113)神奈川(1112)大阪(1064)埼玉(1028)愛知(1027)千葉(1026) | 50円 |
B | 京都(1008)兵庫(1001)静岡(984)三重(973)広島(970)滋賀(967)北海道(960)栃木(954)茨城(953)岐阜(950)富山(948)長野(948)福岡(941)山梨(938)奈良(936)群馬(935)石川(933)岡山(932)新潟(931)福井(931)和歌山(929)山口(928)宮城(923)香川(918)島根(904)福島(900)愛媛(897)徳島(896) | 50円 |
C | 山形(900)鳥取(900)佐賀(900)大分(899)青森(898)長崎(898)熊本(898)秋田(897)高知(897)宮崎(897)鹿児島(897)沖縄(896)岩手(893) | 50円 |
ABCランクは、1人あたり県民所得や1世帯あたり消費支出などの複数の経済指標から作成される「総合指数」をもとに数年に一度見直しされています。最低賃金の順位による区分を示しているわけではありません。
ふるさと納税 ポイント付与禁止へ
ふるさと納税仲介サイト(楽天市場、フルサトチョイス、さとふる、ふるなび等)経由でふるさと納税を行った場合、返礼品とは別にポイントが付与されることがありますが、令和7年10月以降禁止される方針です。これら仲介サイトのビジネスモデルは、概ね以下の通りです。
ふるさと納税仲介サイトのビジネスモデル例
CM等でポイント付与をPR
→ 自治体直接納付ではなく仲介サイトへ集客
→ ふるさと納税の仲介数、仲介金額を増やす
→ 自治体からより多くの手数料を得る
納税者に付与されるポイント代が、自治体が仲介サイトへ支払う手数料に付加されているため、手数料の増大を招き、自治体のふるさと納税収入が目減りしている!
このような見解のもと、令和7年10月より禁止とする方針のようです。一部の仲介サイトが総務省に抗議しています。
ふるさと納税とは、寄付額のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで所得税・個人住民税から控除される制度です。寄付額の3割の範囲内で、返礼品を受け取ることができます。
人員配置基準のローカルルール撤廃へ
介護事業所の指定基準において、自治体が条例で定める独自の基準、いわゆる「ローカルルール」が撤廃に向かいます。
指定基準は厚生労働省令(人員、設備及び運営に関する基準)と解釈通知で定められますが、各自治体には条例(ローカルルール)を定める裁量が認められています。具体的には人員基準における兼務範囲、資格保持、経験年数、病欠の場合に備えた余剰人員の確保などです。
複数自治体で広域展開する事業者や、当社のような代行事業者は、これらローカルルールの確認に大変な手間を要しています。令和8年までに統一見解が発出される予定とのことです。
障害者グループホームは「住宅」との判決
障害者グループホーム(共同生活援助)を運営、または新たに開設予定の方に朗報です。大阪高裁が、マンション内で運営する障害者グループホームを「住宅」であると認めました。
マンション管理規約では「住宅」以外には使用できないため、事業所である障害者グループホーム運営は管理規約に違反する。
障害者の生活拠点として利用され、かつ他の住民の共同利益に反する行為には該当しないため「住宅」にあたる。管理規約には違反しない。
この判決は今後の障害者グループホームの開設(施設選び)に大きな影響を与えそうです。
障害者グループホームは、事業所が配置する世話人、生活支援員のサポートのもと、複数の障害者が共同で生活する施設です。障害者が住み慣れた地域で生活することを後押しする制度であり、全国13,000を超える施設が運営されています。このうち、約3割がマンション等の共同住宅であることのことです。
当社夏季休業
今年度の当社夏季休業は以下の通りです。お客様対応に支障が出ないよう、細心の注意を払ってスケジュール管理を行います。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
8/11 (祝) |
12 (振休) |
13 (休業) |
14 (休業) |
15 (休業) |
16 (営業) |
17 |
編集後記
最低賃金が全国一律、50円アップする見込みです。過去最大の上げ幅です。
世界的に見て賃金水準が低いとされる日本国内の賃上げ、消費・経済活動の活性化につなげる施策ではありますが、企業経営者の皆さんにとっては頭の痛い問題であるとも思います。
国は「賃金アップに見合う価格転嫁」を各企業の努力として位置付けているようです。
しかし介護保険事業、障害福祉事業のように、自社に価格決定権のない業界にとっては利益圧迫に直結します。特に令和6年度報酬改定により、基本報酬がダウンした訪問介護業界にとっては、追い打ちをかける施策であるとも言えます。
今後の動向を注視しつつ、お客様企業の賃金規程の改定について、ご相談に応じて参りたいと思います。(最低賃金違反は、最低賃金法第40条の規定により50万円以下の罰金に処せられます)