2024年11月号
井ノ上 剛特定事業所集中減算ミス
特定事業所集中減算を適正に実施していない居宅介護支援事業所（ケアプランセンター）の報酬返還が、膨大な金額になる可能性があることが会計検査院の調べで分かりました。
居宅介護支援では、2006年度から特定事業所集中減算制度が採られています。特定事業所集中減算とは、居宅介護支援事業所が作成するケアプランで、同一の介護サービス事業者の割合が80％以上に集中している場合に、200単位の減算が適用されるというものです。
介護サービス事業者とケアマネジャーの不当な結びつきを未然に防ぐための減算制度です。2015年以前は集中度合いが90％以上とされていたところ、2015年以降80％以上に対象が広がりました。
居宅介護支援事業所側が減算基準を十分に理解していないことや、市町村側が事業所に対して十分な指導をしていないことが原因です。居宅介護支援事業所様は今一度、特定事業所集中減算についてご確認をお願い致します。
補助金・助成金不正受給
補助金・助成金の不正受給の摘発が続いています。以下の手口には絶対に乗せられないようくれぐれもご注意下さい。
助成金を使って、無料で社員研修をしませんか？
え？そんなことができるの？
本当は研修費として75万円かかるんですが、100万円だということにして一旦ウチにお支払いください。そうすると100万円の75％に当たる75万円が助成金として御社に支給されます。差額の25万円はウチから適当な名目を付けてキックバックしますので。
へー。そうすると確かにウチは費用負担なしで研修を受けることができるなぁ。やってみようかな・・・。
是非やりましょう。うちには御社から受け取る100万円－25万円（キックバック分）＝75万円が残ります。まさにWinＷin（ウィンウィン）の関係でしょう！
これらは明らかに不正受給です。同様の手口がＩＴ補助金でも行われています。このような勧誘を受けても絶対に関与しないで下さいね。
教育訓練給付の拡大
本年10月から教育訓練給付金が拡充されています。教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されるものです。働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的としています。
詳しくは厚生労働省のホームページをご参照下さい。
>>厚生労働省「令和６年10月から教育訓練給付金を拡充します」
定期健康診断の実施を
従業員さんへの定期健康診断の実施は、労働安全衛生法で定められる事業主の義務です。違反すると50万円以下の罰金に処せられるためご注意ください。
労働安全衛生法の規定
〇常時使用する労働者に１年に１回実施。
〇常時使用する労働者にはフルタイム労働者のほか、以下の人も含みます。
・週当たり労働時間がフルタイム労働者の３／４以上で、１年以上の雇用契約を締結（すでに１年以上雇用している人も）
介護保険事業・障害福祉事業の場合は・・・
各種加算の中には、労働安全衛生法の対象範囲に限らず、サービス提供職員全員に定期健康診断を受けさせることを算定要件とする場合があります。ご注意ください。（例：特定事業所加算）
年末調整のご案内
各担当者より、年末調整に関するご案内を行う時期になりました。年末調整業務をご契約の場合、11月15日（金）タスクマン必着にて、ご提出をお願い致します。
年末調整は多人数の方の手続きを同時並行で行う必要があります。上記期限までにご提出いただけない場合は、当社での年末調整作業ができず、ご自身で確定申告をして頂くことになりますのでご注意ください。
なお「令和６年分年末調整申告書」は、年末調整をなされない方（ご自身で確定申告される方）も、皆様ご提出をお願い致します。
編集後記
Panasonicに勤める友人の誘いで、同社の滋賀県草津拠点を訪れました。従業員さん、協力業者さん含め、常時数千人が働く超巨大拠点です。毎度おなじみ、東京ドームに例えると11個分の大きさだとか(笑)。同社グループの労働組合連合会、副会長を務める友人からは、労働組合の活動の歴史、地域社会との共生などについて詳しい説明を受け、拠点内の見学をさせてもらいました。
下世話な表現ですが、さすがは「世界の松下（Panasonic）」だと改めて感銘を受けました。「労働組合」というと少し身を構えがちですが、時代を下っても松下幸之助氏（創業者）の経営理念が、労使ともに脈々と受け継がれていることを実感しました。社労士としても、経営者としても、地方議員としても非常に価値ある時間を過ごさせてもらいました。それにしても懇親会で頂いた琵琶湖名産の「鮒ずし」･･･すごかったです( ；∀；)
