2025年6月号
再確認「紹介料支払い」は運営基準違反
すでに多くの介護事業者・障害福祉事業者の皆様には広く知られていることかと思いますが、本業界においては、利用者の紹介に対して「金品その他の財産上の利益」を授受する行為は、運営基準に違反するものとされています。
フランチャイズに加盟して本部へ支払うロイヤリティや、コンサルタントに支払うコンサルタント料など、名称が「紹介料」と明示されていない場合であっても、実質的に紹介に対する対価とみなされれば、運営基準に違反する行為に該当します。適正な事業運営に努めましょう。
(この内容は2025年3月17日、厚生労働省から自治体に再度周知されています)
AIによる税務調査効率化
税務調査にAIを活用する手法が導入され、一定の効果を上げているとの報道がありました。国税庁によると、2024年から本格的にAIに「問題のある申告」事例を学習させることで、大量の申告書の中から特に問題が疑われる案件を重点的に調査しているとのことです。
限られた職員数で効率的に現場を運営するための取り組みとして、AIの活用が紹介されています。その結果、実地調査の件数は減少したにもかかわらず、追徴課税額は増加したといいます。これは、長年にわたる国税庁の知見の蓄積によって、「問題のある申告」が一定のパターンとして整理されてきた成果といえるでしょう。
障害年金不支給率急増
2024年度の障害年金申請における「不支給率」が急増しています。2020年度から2023年度までは、いずれの年度も不支給率が10%未満にとどまっていましたが、2024年度にはこれが17%にまで跳ね上がりました。
その背景として、一部では『人事異動により新たに着任した障害年金センター長が、書類審査の運用を厳格化した』ことが原因と指摘されています。もしこれが事実であれば、法の運用が一人の官僚の裁量によって左右されていることになり、極めて重大な問題です。
障害年金は、障害のある方とそのご家族の生活を支える重要な社会保障制度です。福岡厚生労働大臣は5月初旬、「実態を把握するための調査を指示した」と明らかにしています。一刻も早い原因究明と是正措置が講じられることを、心より願います。
キャリアアップ助成金の対象者・支給額(再掲)
令和7年4月1日改正 キャリアアップ助成金制度の概要を再掲いたします。
中小企業において、正規社員へ転換した場合のキャリアアップ助成金支給条件
正規社員転換前の雇用形態 | 有期 | 無期 |
いずれかに該当する労働者 |
80万円 | 40万円 |
上記以外 | 40万円 | 20万円 |
支給額に加算されるケース
①正社員転換等制度を新たに規定し、その区分に転換 →20万円
②多様な正社員制度を新たに規定し、その区分に転換 →40万円
編集後記
代表の井ノ上です。タスクマンレターをお読みいただき、ありがとうございます。
春先の健康診断で一部の数値に異常が見られたため再検査を受けてまいりましたが、医師の所見は「問題なし」とのことで、ひと安心している今日この頃です。さて、久しぶりに設備の整った医療機関を数度訪れ、業務フローの近代化に驚かされました。再診受付、会計、駐車券の割引処理までが完全に自動化されており、医療スタッフが介在する場面は全くありません。

私はマイナ保険証(マイナンバーカードと健康保険証が一体化されたもの)を利用しているため、他の医療機関での受診歴も即時に担当医が閲覧・確認できるようになっています。
また、再検査後の所見データは、その場で地元のかかりつけ医に連携されたようです。
一方で、適度にアナログな対応も残されており、例えば受付後に手渡されるクリアファイルには「次は2階のF窓口へ行ってください」といった案内が書かれていたり、診察後に渡されるファイルには「最後に1階の5番会計に行ってください」といった表示があります。
私たちの業務においても、IT化によってお客様の利便性やスタッフの業務効率を高めつつ、アナログならではの分かりやすさや温かさを適度に残す――そんなバランス感覚がますます重要になるのだと感じさせられる経験でした。
体は元気モリモリですので、夏場に向けて全力で頑張ります!
(文責)代表 井ノ上 剛