2025年12月号

介護・障害報酬 前倒し改定

厚生労働省は介護報酬・障害福祉報酬について、次回令和9年度に予定されている報酬改定に先立ち、令和8年度に前倒しで一部改定する方針を固めました。改定は「処遇改善加算」に関する部分です。

介護報酬・障害福祉報酬は、原則として3年に1度改定が行われますが、物価高騰や他業界の賃金上昇を踏まえ、1年前倒しでの改定に踏み切ります。

令和8年度の臨時報酬改定に先立ち、令和7年度補正予算において、介護・障害福祉事業の賃上げ対策として補助金を盛り込む方針です。これらの補助金は過去にも同様の施策が実施されており、4月の報酬改定に先立つ3月末までの賃上げ資金を「つなぐ」性格が強いものと言えます。

制度改正については、引き続き情報をフォローし、タスクマンレターでご案内してまいります。

年収130万円の壁判定ルール

短時間労働者が扶養の範囲内に収めようと働き方を調整する「年収の壁」対策として、政府は年収130万円の壁判定ルールを見直す方針です。これまで社会保険の扶養認定は年間の総収入見込みを基準にしていたため、繁忙期の残業等で年収が130万円を少しでも超えると扶養から外れ、本人負担や企業の保険料負担が増えることから、繁忙期でも労働時間を抑える実態がありました。

こうした就業調整は労働力不足の中で問題視されており、2024年のパート適用拡大(106万円の壁対策)や配偶者手当ガイドラインの見直しなどとともに、令和7年度の「年収の壁・支援強化パッケージ」に盛り込まれました。

新ルールでは労働契約に定めた賃金のみで年収を判定し、残業代等は算入しません。60歳以上や障害者は180万円、学生等は150万円とする特例を維持し、配偶者手当との兼ね合いにも留意が必要です。施行は令和8年4月を予定しており、従業員にとっては就労時間の選択肢が広がり、企業にとっても人材確保策として注目されます。最後に旧制度との比較を表にまとめました。

項目 現行(従来) 新ルール
扶養判定基準 年間収入見込み(残業代等を含む) 労働契約ベース(残業代等は除外)
扶養の上限 130万円 130万円
特例基準 60歳以上・障害者:180万円
学生等:150万円
同じ特例を継続
施行時期 令和8年4月予定

介護サービス2割負担者の範囲拡大

介護保険の利用者負担は原則1割ですが、介護費用が膨らみ続ける中で公費負担と保険料負担のバランスを取るため、財源調達のあり方が課題となっています。

2025年11月の社会保障審議会介護保険部会資料では、2割負担の対象者を増やすため単身者で課税所得280万円以上(夫婦なら346万円)という基準を引き下げる案や、金融資産を含めた負担能力の評価を行う案が議論され、所得階層や資産額に応じて2割と3割を選別する方向が示されています。

預貯金が少ない高齢者は引き続き1割負担とし、所得と資産の両面から公平な負担を目指す考えです。制度改正の動向を注視し、現行の負担区分と検討中の方向性を表に整理しました。今後の議論に注目が集まります。

負担区分 現行の所得基準 検討中の方向性
1割負担 課税所得280万円未満
(夫婦346万円未満)
預貯金が少ない人など負担能力が低い層は継続
2割負担 課税所得280万円以上
(夫婦346万円以上)
基準引き下げで対象者拡大を検討
金融資産の考慮
3割負担 課税所得346万円以上
(夫婦463万円以上)
所得・資産に応じた適用を検討
利用者状況
1割負担:約91%
2割負担:約4.7%
3割負担:約4.2%

M&A事業承継 案件【放デイ・児発】

当社のご契約先(大阪市)で放課後等デイサービス・児童発達支援(多機能型)を運営されている事業所が、後継先を探しておられます。

利用者数・職員数・収益は順調に推移していますが、経営者一身上の都合により事業運営が難しくなったことが原因です。承継に関心のある方は担当者までご連絡おねがいいたします。

源泉所得税納付・償却資産税の申告

源泉所得税 令和8年1月20日(火)

源泉所得税を年2回に分納している会社の場合、令和7年7~12月分の納期は、令和8年1月20日(火)です。当社に年末調整業務をご依頼頂いているお客様への、確定納付額のお知らせは、年末~年始となります。半年分のまとめ納付のため、相当な高額となる場合があります。納税資金のご準備をお願いいたします。

償却資産税の申告時期 令和8年2月2日(月)

毎年1月は償却資産税の申告時期であり、事業所に申告書が郵送されます。土地・建物・車両等以外の固定資産のうち通常10万円以上のものが申告対象となります。当社で会計入力を承っているお客様には、当方が把握する範囲の対象資産をご案内しますので、申告手続きをお願いします。なお、申告しても課税標準が150万円未満の場合は課税されません。

今年度の当社の冬季休業

今年度の当社冬季休業は下記の通りとなります。

年内最終営業日:12/29(月)
年始営業開始日:1/6(火)

12/28 29
(最終日)
30
(休業)
31
(休業)
1/1
(元旦)
2
(休業)
3
4 5
(休業)
6
(始業日)
7 8 9 10

編集後記

タスクマンレター2025年12月号01
タスクマンレター2025年12月号02
タスクマンレター2025年12月号04

奈良県高市郡高取町にある「高取城」を訪れました。高取城は、岡山の備中松山城、岐阜の美濃岩村城と並ぶ日本三大山城の一つとされ、いわゆる難攻不落の城として全国の城マニアの間ではよく知られています。

明治維新の先駆けとされる1863年の「天誅組の変」では、土佐藩尊王攘夷派の吉村虎太郎率いる天誅組を高取城で撃退し、戦火の拡大を防ぎました。

麓から山頂までの標高差は三大山城の中で最も大きく、軽装で登るのも一苦労です。ここに強固な石垣を築いた当時の技術力と気迫には、ただただ頭が下がります。

井ノ上家はかつて高取藩士であったと伝承されており、私の先祖も城造りや防戦に力を尽くしたのだろうか、と想像すると感慨深いものがあります。

余談ながら高市早苗総理は、私の地元である奈良県橿原市の出身で卒業高校も私と同じです。

さらにお城のある高市郡高取町は橿原市のお隣。もしかすると、高市さんのルーツも高取城とつながりが?と思いましたが、特に関係はないようです(笑)。