処遇改善加算Ⅰを取得する手順を教えください
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処遇改善加算Ⅰを取得する手順を教えください
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タスクマン合同法務事務所では、このコラムで説明する手順に沿って進めていきます。
同じ内容を動画(約8分)でも説明しています。「読むのは苦手」という方はこちらへ
このページをご覧いただく前に「処遇改善加算とは何か?」を詳しく理解しておく必要があります。処遇改善加算について理解が不十分な方には次のコラムをお勧めします。
就業規則の作成
処遇改善加算Ⅰを取得するためには、賃金に関するルールを就業規則等に定めておく必要があるため、まずは就業規則作成に着手する必要があります。当社に処遇改善加算手続きをご依頼のお客様には、簡易版の就業規則作成も併せて行います。ここでは次の項目を中心に検討を行います。
①月平均所定労働日数
②月平均所定労働時間
③事業所における最低月給(最低賃金)
なぜこの項目を決めておかないといけないか、その理由からご説明します。
①月平均所定労働日数を決める理由
月平均所定労働日数とは、その名の通り事業所に所属する従業員が年間に出社すべき総日数を12で割った日数の事です。なぜ月平均所定労働日数を決めるのかというと、1日当たり賃金の価値を平均化するためです。具体例でご説明します。
事例
2月の営業日数18日、3月の営業日数22日。月給20万円の人がそれぞれの月に1日ずつ病欠した。欠勤控除する金額は?
2月と3月では出勤すべき日数が異なりますが、病欠する月により給与から引かれる1日分の賃金に差が生じると、不公平感が生じます。そのような不公平感を解消するために、「当社の月平均所定労働日数は〇日だ」と定めるわけです。
月平均所定労働日数が20日だとすると、先ほどの月給20万円の人の例では、何月に病欠しても一律1万円(20万円÷20日)が欠勤控除されることになります。
②月平均所定労働時間を決める理由
月平均所定労働時間とは、事業所に所属する従業員が年間に勤務すべき総時間を12で割った時間のことです。1時間当たり賃金の価値を平均化するために計算します。
仮に年間総勤務時間が1920時間の場合、月平均所定労働時間は160時間(1920時間÷12カ月))となります。月給20万円の人の時間単価は1250円(20万円÷160時間)となります。これによって何月に遅刻・早退しても、1時間当たりの控除額は1250円となります。残業するときの時間単価も同じく1250円を基準に計算します。月によって時間単価が異なる不公平感をなくすために、160時間といった平均労働時間を算出するわけです。
③事業所における最低月給(最低賃金)
最後は事業所における最低月給の計算です。最低賃金は都道府県別に時給で示されるため、これを月給に置き換えるといくらになるのか、という計算が必要となります。
事業所における最低月給は②で計算した月平均所定労働時間×都道府県別最低賃金で計算します。
なお、最低賃金は事業所が所在する都道府県ごとに異なるため、同じ法人でも事業所がいくつかの都道府県にまたがると最低賃金もそれぞれの事業所で異なる点に注意しましょう。
キャリアパス表の作成
ここからは具体的な処遇改善加算の要件に入っていきます。まずこちらの表をご覧下さい。
この表は一般的に「キャリパス表」と呼び、職責ごとに求められる能力を明確にする書類です。働く側にとっては、「どのような能力アップを図れば昇格できるのか」が分かり、仕事に対する目標が定まる効果があります。処遇改善加算Ⅰを取得するためにはキャリアパス表を就業規則内に定め、全員に公開する必要があります。
賃金体系図の作成
続いて賃金体系図について説明します。
先ほどご覧頂いた、キャリアパス表の「等級」の部分が連動していることが分かります。つまり、キャリアパス表でどの「等級」に該当すれば、賃金がどう変動するのかを明確にするのが賃金体系図です。
ここでページの冒頭で計算した「事業所の最低月給」が意味を持ちます。つまり賃金体系図を作成する際、月給の最低金額を確認した上で検討する必要がある、と言う意味です。 賃金体系図も就業規則内に定め、全員に公開する必要があります。
何を基準に昇給・昇格するのか
次に「何を基準にいつ昇給・昇格するのか」というルールを検討します。一般的には次の3つが検討軸となるはずです。
①勤続年数(一定の年数で自動昇給する)
②保有資格(一定の資格合格で自動昇給する)
③能力評価(人事評価で昇給を判断する)
①②のみで昇給を判定するのは一定の危険が伴うため、当社としては③能力評価をお勧めしています。この際、どのような人事評価を行ったのかを示す資料を残すようにしましょう。人事評価シートのサンプルをご紹介します。
社内研修または資格取得支援
処遇改善加算Ⅰを取得するための人材育成面の要件として、次のどちらかを実施する必要があります。両方でも結構です。
・社内研修を実施し、能力の確認を行う
・資格取得のための休暇や取得費用の一部補助を行う
どのような制度であっても構いませんが、仮に社内研修を実施する場合の計画例をご紹介します。
具体的な処遇改善計画への落とし込み
年間の処遇改善加算見込み額の計算
次のステップは具体的な処遇改善計画への落とし込みです。表でご説明します。
指定種別 | ~3月までの概算売上 | 加算率 | 処遇改善加算見込額 |
訪問介護 | 10,000,000円 | 13.7% | 1,370,000円 |
障害居宅介護 | 4,000,000円 | 27.4% | 1,096,000円 |
障害重度訪問介護 | 3,000,000円 | 20.0% | 600,000円 |
合計 | 3,066,000円 |
指定種別ごとに、3月までの概算の売上高を計算します。指定種別ごとに算出する理由は、処遇改善加算率が指定種別ごとに異なるためです。
また3月までを計算する理由は、処遇改善加算の算定が4~3月を1年度としているためです。この例では処遇改善加算の見込額が3,066,000円であることが分かりました。
配分対象月の決定
処遇改善加算の算定が4~3月を1年度としていることはすでにご説明しました。次に検討しなければならないのは、どの月に従業員に配分するかです。従業員への配分も原則的には4~3月に行う事とされていますが、処遇改善加算は通常の報酬と同じく、実施月から2カ月遅れて入金されるため、支給も2カ月遅れて良いとされています。例えば6~5月で従業員に支給しても良いわけです。
最終的には7月に自治体へ実績報告書を提出します。
処遇改善手当の支給方法
次に検討しなければならないのは、処遇改善加算の総額をどのような方法で従業員に分配するかです。分配方法は大きく分けて次の3つの方法があると思われます。(組み合わせ可)
①毎月支給する
②毎月支給と一時金支給を組み合わせる
③一時金支給のみとする
国では、処遇改善加算の本来の趣旨に基づき、毎月支給することを推奨しています。最も多い例は「②毎月支給と一時金支給を組み合わせる」ではないかと思います。
これらの方法を用いて、年間の実際の処遇改善加算受取額を1円以上、上回る金額を、対象労働者に支給する必要がある点に注意しましょう。
その他予備知識
処遇改善加算の配分には、次のような方法を用いることもできます。
④役職手当や資格手当を創設し、処遇改善とする
⑤処遇改善によって増加する会社負担社会保険料をも処遇改善とみなす(計算は煩雑)
⑥対象業務に従事する役員にも、処遇改善手当を支給する(個々の状況に応じて自治体個別判断)
ここでご説明した内容をよく理解した上で、社労士の助言のもと、制度設計されることをお勧めします。
【この記事の執筆・監修者】
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※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
(電話)0120-60-60-60
06-7739-2538
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