賞与(ボーナス)はいつ支給すべきでしょうか?必ず支給しなければいけませんか?

賞与(ボーナス)はいつ支給すべきでしょうか?必ず支給しなければいけませんか?

賞与(ボーナス)はいつ支給すべきでしょうか?必ず支給しなければいけませんか?

支給時期、支給するかどうかは個々の会社のルールで設定することができます。

解 説

賞与(ボーナス)の支給時期、支給するかどうかは個々の会社のルールで設定することができます。ここからは、賞与(ボーナス)の法的な根拠について解説していきます。

書面の交付義務

労働基準法 第15条第1項(一部要約)

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して 賃金及び労働時間に関する事項、その他の※厚生労働省令で定める事項 を書面(労働契約書・雇用契約書。名称問わず)で明示しなければならない。


※「厚生労働省令で定める事項」の中に「賞与に関する事項」が明記されています。

→ 労働契約書にどこまで「賞与に関する事項」を記載すべきか?という問題があります。法令では具体的に示されていませんが、

①賞与の有無
②支給時期

等の記載が一般的でしょう。

就業規則の記載義務

労働基準法 第89条

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、※次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。


※「次に掲げる事項」の1つに「臨時の賃金等(つまり賞与)がある場合、これに関する事項」と明記されています。「ある場合」に限り記載するという事を相対的必要記載事項と呼びます。相対的必要記載事項には、賞与の他に退職金や表彰、制裁などがあります。

ここまでの説明を整理すると次のようになります。

①従業員を雇用するときは、書面を作成し交付する必要があります。
②その書面には「賞与に関する事項」を記載する必要があります。
③就業規則については、常時10人以上の労働者を雇用する場合に限り作成義務があり、さらに賞与は「ある場合」に限り記載する必要があります。

個別の労働契約書と就業規則はどちらが優先するか?

ここで問題となるのが、個別の労働契約と就業規則の記載に違いがあった場合、どちらが優先するか?という点です。従業員と個々に結ぶ労働契約書と就業規則の優劣関係については、次の法令で定められています。

労働契約法 第12条

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

この条文は、就業規則の条件>労働契約の条件 の時だけ適用されるため、就業規則の条件<労働契約の条件 の場合は労働契約が優先します。具体例でご説明します。

就業規則の条件 労働契約の条件 判定
賞与あり 賞与なし 賞与あり
賞与は夏冬各20万円 賞与は夏冬各30万円 賞与は夏冬各30万円
賞与あり ただし業績によっては支給しない場合がある 賞与あり 賞与は業績が悪くても必ず支給
賞与は冬に1回支給 賞与は夏冬に支給 どちらが労働者有利なのかは個別判断

事例の3つ目を見てお分かりの通り、「業績によっては賞与を支給しない場合がある」ときは、労働契約書にもその旨を記載しておく必要があります。

個別の労働契約と就業規則の優劣関係を理解したうえで、それぞれの記載方法検討しましょう。

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
【記事内容自体に関するご質問には応対できかねますので、ご了承お願い致します。】

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護職員実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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