平成30年度 就労継続支援B型の報酬改定

就労継続B型 報酬体系

平成30年度障害福祉サービス等報酬改定については、平成30年2月5日(月)開催の「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第17回)」にて、これまでの 議論を踏まえ、概要が取りまとめられた。

ここでは、その概要の一部をご紹介しよう。

《目次》
1.就労継続支援B型とは
2.平成30年度就労継続支援B型制度の主な改正点
3.就労継続支援B型の新設加算項目
4.まとめ

1.就労継続支援B型とは

通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち、通常の事業所に雇用されていた障害者であって、その年齢、心身の状態その他の事情により、引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者、その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、その他の必要な支援を行う。

【対象者】
就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される者。

具体的には次のような例が挙げられる。
(1) 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
(2) 就労移行支援事業を利用(暫定支給決定での利用を含む)した結果、B型の利用が適当と判断された者
(3) 上記に該当しない者であって、50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
(4) 上記に該当しない者であって、地域に一般就労の場やA型の事業所による雇用の場が乏しく雇用されること又は就労移行支援事業者が少なく利用することが困難と区市町村が判断した者(平成24年度までの経過措置)

2.平成30年度就労継続支援B型制度の主な改正点

平成30年度の改定で1番大きな変更点は平均工賃額に応じた基本報酬の評価がされることである。

厚生労働省の意図としては、障害者が地域で自立した生活を送ることができるように、利用者に支払う工賃の水準が向上するために必要な支援を行うことが重要であることから、事業所が障害者に支払う平均工賃月額に応じた基本報酬とする。

それに伴い、目標工賃達成加算については廃止される。また、基本報酬の区分は前年度の実績により決定するが、新規事業所については開設後6か月間の実績をもって基本報酬区分の変更を認める。

3.就労継続支援B型の新設加算項目

新設の加算項目としては、在宅時生活支援サービス加算と社会生活支援特別加算が挙げられる。

在宅時生活支援サービス加算とは、通所利用が困難で在宅による支援がやむを得ないと市町村が判断した利用者(以下「在宅利用者」という。)が就労継続支援を受けている同一時間帯に生活支援に関する支援が必要であり、生活支援に関する支援を当該サービス提供事業所の負担において提供した場合に、1日につき所定単位数を加算するものだ。

これは、現在在宅利用者に対して、一定の要件を満たした上で、支援を提供した場合に基本報酬の算定が可能となっているが、同一時間帯において生活支援に関する訪問系サービスを利用できないため、在宅利用が促進されない可能性があることから設けられた加算項目である。

社会生活支援特別加算とは、精神障害者の地域移行の推進のために設けられた加算項目だ。医療観察法対象者や刑務所出所者等の社会復帰を促すため、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師等の配置や、訪問により支援を実施していることを評価するものである。

4.まとめ

今回の報酬改定では、平均工賃額に応じた基本報酬の評価という大きな改定がみられた。これは、実績が出せない事業所の安易な事業参入を牽制する意図があると考えられる。

そのため、就労継続支援B型事業所の設立を考えられている方は事業計画をしっかりと立て、起業すべきである。

 

《執筆 梅原志保》

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
【記事内容自体に関するご質問には応対できかねますので、ご了承お願い致します。】

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護職員実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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