障害を持っていても働いている人はたくさんいる。ただ、健常者と比べると制限がかかってしまう事が多い。

その助けとなるものとして障害年金があるが、あまり知られていないのが現状だ。
障害年金を受給できれば、今までとは違う世界が開くかもしれない。そこで、障害年金の実情について調べてみた。

 

《目次》
1.障害年金とは
2.障害年金の支給要件
3.実際の受給者数
4.まとめ

1.障害年金とは

障害年金とは、その文字のとおり、病気やケガで生活や仕事などが制限される場合に受け取ることが出来る、公的年金である。

年金の種類としては、障害基礎年金と障害厚生年金、一時金として障害手当金がある。では、障害を持っていれば誰でも受給できるのだろうか?そんな事はなく、次のような支給要件がある。

2.障害年金の支給要件

初診日要件

初診日において、被保険者である事。初診日とは、障害の原因となっている病気やケガについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことである。初診日において国民年金の被保険者であれば障害基礎年金、厚生年金の被保険者であれば障害厚生年金の受給対象となる。

障害認定日要件

障害認定日→初診日から1年6か月経過後、但しその期間内に傷病が治った場合にはその治った日(症状が固定し、治療の効果が期待出来ない状態に至った日を含む)において、対象の障害等級に該当すること。

《等級要件》
障害基礎年金→障害等級が1級・2級
障害厚生年金→障害等級が1級・2級・3級

保険料納付要件

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(保険料納付要件の特例)。

※障害手当金は、障害等級が3級よりやや軽い程度(4級)の障害が治った時に支給される一時金の事である。初診日において厚生年金の被保険者の場合に受給できるものである。

3.実際の受給者数

現在の障害年金の受給者数は約200万人である。一方で何らかの障害を持っている人は約800万人いる(身体障害:約400万人、知的障害:約75万人、精神障害:約320万人)。

この数字から、障害を持っている人の4分の1程度しか受給出来ていない事が分かる。また、障害者の25%が貧困というデータもあり、これは障害を持っていない人の2倍となっている。

4.まとめ

障害を持っているからといって、受給できるわけではない障害年金。それにしても、受給している人の割合が少ないと感じる。

障害年金の申請書類を相談者全員に渡すというルールが、8割近くの年金事務所で守られていなかったという、驚きのデータもある。老齢年金や遺族年金と違い、支給要件に合えば受給できるというわけではないので制度自体が難しい年金ではある。

要件に当てはまったとしても必ず受給できるというものでもないし、申請書類も多かったりと、手続きも煩雑なため職員も敬遠しがちだったのだ。年金事務所は、この状況に対する言い訳として、「申請に必要な診断書をもらったとしても年金受給につながる事は少なく、その労力や診断書代がもったいないと考えた」と述べている。

本来は障害を持っている方の手助けになるはずの年金だが、上記のような実態は本末転倒に思える。また、診断書の書き方で受給できるかどうかが決まるという一面もあるため、診断書の書き方を指南する業者も存在する。これもまた制度の乱用につながってしまうと思う。

社会保険労務士の立ち位置としては、申請を考えている人にどのような書類が必要か、どういう手続きが必要かをアドバイスし、1人でも多くの方が受給できるように手助けをしていく事だと考える。

《執筆 原田祥子》

【この記事の執筆者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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 (電話)06-7739-2538 
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