平成30年(2018年)4月、障害者雇用促進法の改正により精神障害者の人数が障害者雇用率の算定に加えられるようになった。精神障害者は身体障害、知的障害と異なり、症状名だけでその態様が判断しにくいと言える。このコラムでは法定雇用率の制度説明に合わせて、精神障害のカテゴリーについて詳しく解説する。

【目次】

①障害者雇用促進法 法定雇用率と障害者雇用納付金
②精神障害の種類と特徴
③採用する側の注意点
④まとめ

①障害者雇用促進法 法定雇用率と障害者雇用納付金

一定数以上の従業員を雇用する事業所で、障害者の雇用を義務付ける障害者雇用促進法。平成30年4月の法改正では、主に次の点が開催された。

ア)法定雇用率の上昇

種別 改正前 改正後
民間企業 2.0% 2.2%
国、地方自治体 2.3% 2.5%
都道府県教育委員会 2.2% 2.4%

民間企業を例にとると、これまで50人に1人の割合で障害者の雇用義務があったところ、45.5人の1人の割合に引き上げられた。

法定雇用率の算出方法には、20時間以上30時間未満の従業員を0.5名と数え、重度障害者は2.0名と数えるなどの措置がある点にも注意が必要だ。

イ)精神障害者を対象に含める

平成30年改正では、新たに精神障害者が法定雇用率の算定に加わることとなった。障害者数の算定には、「身体障害者手帳」、「療育手帳」、「精神障害者保健福祉手帳」の有無で判定される。

②精神障害の種類と特徴

ここで新たに障害者雇用促進法の算定対象となった精神障害者について、その態様を理解するために主な障害の種類と特徴を以下の通り列挙する。あくまでも一般的な態様であるため、症状は個人により異なる点に注意されたい。

主な種類 一般的にみられる症状
統合失調症 妄想、幻覚、感情喪失、意欲の減退
うつ病 悲哀感、無気力、自殺願望
神経症 パニック障害、過度の不安、強迫観念
発達障害(総称) 対人関係、多動性、学習障害

③採用する側の注意点

障害者雇用枠を前提に採用する場合、前述の障害名を確認することは必要であろう。しかし障害名だけで実際の特徴を推測するのは早計である。本人のもつ症状を、本人・家族・支援員・ハローワークなどと十分な話し合いに基づき確認し、受け入れ態勢を構築することをお勧めしたい。

④まとめ

精神障害者が法定雇用率に算定されるようになった背景には、精神障害に対する社会的支援策の拡充、カミングアウトに対する認容などが挙げられよう。採用する企業としては一定の知識を持つとともに、十分な受け入れ態勢の構築を計画したい。

当事務所では障害者の就職を支援する「就労移行支援事業所」の法的サポートを専門に行っている。障害者雇用でお悩みの場合は是非ご相談を。

【この記事の執筆者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)