2018年(平成30年)介護保険法改正で何が変わったのか。介護保険の利用者、事業者ともに影響のある項目を、社会保険労務士が詳しく解説する。

【目次】

①介護保険利用者負担が3割になる人
②高額介護サービス費の上限引き上げ
③介護保険と障害福祉を併せた共生型サービス
④居宅介護支援事業者の指定権が市町村へ
⑤福祉用具貸与の価格を平準化
⑥介護予防に取り組む市町村へ財政援助
⑦まとめ

①介護保険利用者負担が3割になる人

2018年8月1日から、次の項目に該当する人が、利用者負担3割となる。

ア)合計所得220万円以上 かつ 年金収入+その他所得≧340万円 の単身者
イ)合計所得220万円以上 かつ 年金収入+その他所得≧463万円 の夫婦世帯
ウ)年金収入のみで344万円以上の単身者

上記に該当する人は被保険者全体の約3%と見込まれる。これとは別に2015年8月改正による2割負担者が全体の約6%。依然として90%以上の人が1割負担である。

②高額介護サービス費の上限引き上げ

介護保険では利用者負担額(1~3割)に月額上限が設けられている。この月額上限額を超えた金額が還付されるという仕組みだ。つまり、月額上限額は低い方が利用者にとってメリットがある制度であると言える。

2017年8月1日改正では、これまで現役並所得者世帯に設定されていた月額上限44,400円が、市町村民税課税世帯にまで拡大された。ただし、利用者負担額1割世帯については、3年間に限り月額上限37,200円が延長される。

③介護保険と障害福祉を併せた共生型サービス

障害を持つ方が65歳に到達した場合、介護保険が優先して適用される。それまで障害福祉サービスを利用していた人が、慣れ親しんだ事業所からのサービスを受けられないというデメリットがあった。

それを解消するのが「共生型サービス」の狙いだ。障害福祉サービスの事業者指定を受けている事業所は介護保険の共生型サービスの指定を受けることができる。この制度によって、65歳到達後も同様のサービス提供を受け続けることができるようになった。(障害福祉事業所の指定サービスの案内はこちら)

④居宅介護支援事業者の指定権が市町村へ

2018年4月から、居宅介護支援(ケアマネ)事業所指定権限が、市町村に完全移管された。これまで都道府県と政令市、中核市にのみ権限移譲されていたものが、全ての市町村に移管された。地域包括ケアシステムの担い手であり、かつ介護保険の保険者である市町村が、サービス利用の基軸となる居宅介護支援事業所と密接に連携することが狙いだ。

⑤福祉用具貸与の価格を平準化

無形サービス提供が基本である介護保険制度の中で、有形物を取り扱う福祉用具貸与。これまで事業所ごとでバラバラの価格設定だった貸与商品に、「全国平均貸与価格」を政府が公開し、かつ上限額を設定することになった。

事業者は福祉用具を貸与するときに、全国平均貸与価格と実際の貸与価格の両方を利用者に説明する必要がある。また機能や価格帯の異なる複数商品を利用者に提示する義務を負わせることで、商談内容の透明化を図るものである。

⑥介護予防に取り組む市町村へ財政援助

自立支援、介護予防、重度化防止に取り組み、一定の結果を出している市町村への、交付金助成の制度創設である。介護保険制度では予防の取り組み、健康年齢の高齢化が制度維持の根幹を為す。今回の改正は、予防に取り組む市町村を国が支援するという仕組みである。

⑦まとめ

2018年(平成30年度)の介護保険改正の背景にあるのは、少子高齢化の進展による介護保険財政の逼迫を軽減することである。とくに無駄を省き、介護保険行政を効率化する狙いが見て取れる。我々現役世代がなすべきことは、20年後の介護保険制度維持のために、今なすべきことを具体化し、一刻も早く手を打つことである。