2018年(平成30年4月)の障害者総合支援法改正で何がどう変わったのか。障害福祉サービスの利用者、サービスの提供事業者の目線で社会保険労務士が詳しく解説する。

【目次】

①自立生活する障害者をサポートする自立生活援助
②一般就労した障害者をサポートする就労定着支援
③重度訪問介護が病院へ訪問可能に
④高齢障害者をサポートする共生型サービス
⑤自宅へ訪問可能な居宅訪問型児童発達支援
⑥まとめ

①自立生活する障害者をサポートする自立生活援助

障害者施設、グループホーム(共同生活援助)、医療機関などから1人暮らしへ移行する障害者をサポートする新しい障害福祉サービスである。旧来の制度では、障害者は施設において長期生活するのが一般的であったが、昨今の地域移行の考え方のもと、地域社会のふれあいの中で生活するという考え方が色濃くなった。

しかし、1人暮らしに不安を抱える障害者は数多い。そこでこれらの方々に定期巡回や相談を通じて、生活をサポートするのが自立生活援助だ。

②一般就労した障害者をサポートする就労定着支援

就労支援事業所から一般就労が実現できた障害者を事後的にサポートする、新しい障害福祉サービスが就労定着支援だ。従来の就労移行支援事業所でも一般就労後のサポートを行っていたが、サポートが不十分なため短期離職して就労支援事業所に戻る障害者が多く存在した。

新たに誕生した就労定着支援は、支援員が障害者の勤め先・医療機関などとの連絡調整や、日常生活の相談などを通じて一般就労後のサポートを行い、就職後の職場定着を図る制度である。

③重度訪問介護が病院へ訪問可能に

これまでの重度訪問介護は、重度の肢体不自由、知的・精神障害者に対して居宅訪問による介護サービスを提供するものであった。そのため障害者が入院して居宅を離れると、重度訪問介護サービスを利用することができなくなっていた。

今回の法改正では、入院中もこれまで親しんだ介護ヘルパーが病院へ訪問できるようになり、かつ医療機関との連絡調整をすべき点が盛り込まれた。

④高齢障害者をサポートする共生型サービス

介護保険制度と障害福祉制度では身体介護などの面で重複したサービスが存在する。

65歳まで障害福祉制度を使って身体介護を受けていた障害者が65歳に達すると、介護保険制度に移行することになる。障害福祉サービスを提供していた事業所が介護保険制度の指定を受けていない場合、従来の制度では事業所が替わり、同時に担当ヘルパーも替わることになっていた。

この不都合を解消するために、一定の条件下で障害福祉サービス事業所が共生型サービスの指定を受けることができ、引き続き介護保険サービスを提供できるようになった。

⑤自宅へ訪問可能な居宅訪問型児童発達支援

障害児の支援は、児童発達支援、放課後等デイサービスなど、通所型が中心である。施設に通所できない障害児の場合は必要な支援を受けることが極めて困難であった。

新たに誕生した居宅訪問型児童発達支援では、障害時の居宅へ支援員が訪問し、教育、保育、診療、看護などの既存の通所サービスを、訪問によって提供できるように改正された。

⑥まとめ

今回取り上げた自立生活援助、就労定着支援、重度訪問介護、共生型サービス、居宅訪問型児童発達支援は、従来のサービスの課題を補う制度変更である。障害者総合支援法が成立して6年。従来の障害者自立支援法から紐解くとその歴史は長いが、時代の変化とともに今後も柔軟に法改正が繰り返されることを期待する。

我々法律事務に従事する者は、常に法改正にアンテナを張り、利用者および事業所に十分な説明とサポートを提供していくことこそが責務である。

【この記事の執筆者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)