精神障害と離職 就労支援
近年、職場における労働者の健康管理は身体の安全面に留まらず、心のケアの問題がクローズアップされている。このコラムでは社会保険労務士がストレスチェック制度の概要とその問題点を詳しく解説する。
【目次】
1.職場での安全衛生は心のケアの時代に
2.精神障害の労災認定件数は増加傾向
3.やむを得ず精神疾患で離職した場合は就労支援サービスの利用を
4.まとめ
1.職場での安全衛生は心のケアの時代に
当事務所の担当業務は、①介護福祉事業の開業手続き、②開業後の法務会計面の支援である。近頃次のように思う。
「福祉就労支援サービスの利用者に精神疾患の方が増えている。その原因は、職場のストレスが原因で離職を余儀なくされる方が増えていることにあるのではないか。」
我々が業務で日常的に関与する労働安全衛生法では、事業主の安全衛生面での義務について規定されている。近年の改正では主に心のケアの問題がクローズアップされていることからも上記のように感じるのだ。
2.精神障害の労災認定件数は増加傾向
職場における心のケアの問題がいかに重要かは、上の表を見ても理解できる。これは厚生労働省が開示している、精神障害に基づく労災申請数の推移だ。請求数、認定数、自殺者数共に悲しいことに増加傾向である。
この問題に対し、政府は平成27年にストレスチェック制度を創設。従業員数50名以上の事業所に、ストレスチェックの実施を義務付けた。心の病発祥を未然に防ぐために法律を規定したのである。
以下私見だが、労働者の身体生命の安全配慮に勤務先の企業規模(人数)は関係ない。逆に中小企業の方が、経営者の独断色が強く働き、心の病を発祥する労働者が多い場合がある。
ストレスチェック結果を労働基準監督署へ提出する義務は、現行制度のまま50名以上の事業所に限るとしても、実施義務は全ての事業所に課すべきである。
3.やむを得ず精神疾患で離職した場合は就労支援サービスの利用を
自治体で障害認定(手帳交付)を受けなくても、一定の支援を受けることができる。その代表例が就労支援系サービスだ。各自治体が執り行う就労支援サービスには主に次の2つがある。
①就労移行支援・・・一般就労するための職業訓練
②就労継続支援・・・福祉作業所における生産活動
医師の診断と自治体の決定により、上記の支援を受けることができる場合があるため、お困りの際は是非自治体窓口でご相談されたい。
4.まとめ
社会保険労務士は、企業の依頼を受けて、当該企業の労務管理をサポートするのが本業である。しかしその本質はそこで働く人々の心身共の安全と健康を維持し、働く意欲をかきたて、結果として企業の発展に寄与することでもある。社会保険労務士の責務を全うするためにも、職場のストレスで悩む人々を1人でも多くサポートしたいと切に願う。
【この記事の執筆・監修者】
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※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
(電話)0120-60-60-60
06-7739-2538
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