介護・障害福祉事業で起業するにあたり、ベテランのヘルパーさんや看護師さんの雇用を計画している方も多いのではないかと思う。

そこで、本項では4つの社会保険、すなわち雇用保険、厚生年金保険、健康保険、労災保険について、加入年齢の上限について解説する。(直近の法改正を含む)

 

 目次

1.雇用保険被保険者の年齢上限
2.健康保険被保険者の年齢上限
3.厚生年金保険被保険者の年齢上限
4.労災保険被保険者の年齢上限
5.まとめ

 

1.雇用保険被保険者の年齢上限

高齢社会の到来を受け、平成29年1月1日雇用保険法が改正された。

従来は65歳以上の方を新たに雇用する場合、一部の例外を除き雇用保険の加入は認められなかった。

しかし法改正により65歳以上の方のために、新たな制度として「高年齢被保険者」の区分が設けられた。適用条件に合致する方をすでに雇用している場合、資格取得届が必要だ。

一方、旧制度における例外措置である「高年齢継続被保険者」の区分で65歳以上の方を雇用している場合には自動的に「高年齢被保険者」に区分変更される。

保険料は平成31年度末まで免除となる。これにより65歳以上でまだまだ現役での就労を希望する層の雇用促進につながるだろう。

2.健康保険被保険者の年齢上限

健康保険の適用には注意が必要だ。「後期高齢者医療の被保険者」が適用除外となる。

「後期高齢者医療の被保険者」の要件は、

75歳以上

②65歳以上75歳未満で障害状態が認められる者

以上の2点だ。つまり個々の労働者により状況が異なるため、新規雇用の際には確認が必要となる。

3.厚生年金保険被保険者の年齢上限

厚生年金の被保険者の年齢上限は先の二つと異なりシンプルだ。つまり70歳が年齢上限だ。70歳未満で継続雇用されている人も70歳到達により資格を失う。

例外的に70歳以上でも厚生年金に加入できる「高齢任意加入」という制度がある。これは70歳到達時に年金受給権がない方が対象だが、私は未だかつてその手続きをしている事業所を見たことが無い。

4.労災保険被保険者の年齢上限

労災保険に関しては年齢の上限はない。

というよりも、労災保険は先の三つと異なり、被保険者個々の資格取得手続きを要しないため、事業所で働く人全てが加入の対象となる。

雇用保険のように、高齢者だからといって労災保険料が免除される規定もない。高齢者は失業しやすいが労災に比較的合いやすいため、雇用保険料は免除、労災保険料は課されると考えよう。

5.まとめ

以上が介護・障害福祉事業所設立時の、各種社会保険の年齢上限である。

介護・障害福祉事業所は若年層の採用が極めて難しい業種となりつつある。一方この分野には、キャリア豊富でかつ心身ともに健康な高齢者が多く存在するのも事実である。

このような方々を新たな労働者として迎え入れるためには、少なくとも労働社会保険制度の遵守が必須であると言える。

労働社会保険手続きに関しては当事務所の給与計算・労働社会保険サイトで紹介しているので、是非ご一読頂きたい。

 

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)