このコラムを3分読めば理解できること

・整理解雇のための4要件が理解できる
・どの程度の準備が必要かイメージができる

業績悪化による労働者の整理解雇。解雇される側の労働者には特段の責任がないため、より厳格なルールが必要だ。このコラムでは社会保険労務士が過去の主要判例を参考に、労務管理上のポイントを分かりやすく解説する。

このコラムの目次

①コマキ事件の概要
②コマキ事件の事実関係を解説
③労働者を整理解雇する際の条件(要件)
④このコラムのまとめ

①コマキ事件の概要

裁判所と判決日

東京地裁決定 平成18年1月13日

事件名

コマキ事件

判決

会社が行った整理解雇は、その要件を満たさないため無効

②コマキ事件の事実関係を解説

会社は資金繰りの悪化を理由に、賃金カットおよび役員報酬カットを含む経営改善策を講じていたが、状況は改善せず労働者15名を整理解雇した。

この間会社が実施した施策が裁判で論点となったが、会社が実施した施策は不十分とされ、整理解雇は無効と判断された。

③労働者を整理解雇する際の条件(要件)

コマキ事件以前の判決でも、労働者を整理解雇するにあたっての必要条件は、概ね以下の通り示されてきた。

1.整理解雇の必要性があるか
2.整理解雇を避けるために会社は努力をしたか
3.整理解雇対象者の人選に問題はないか
4.整理解雇手続きは妥当か

コマキ事件で裁判所は、上記の1~3について会社が立証する責任を負い、仮に1~3が認められた場合に、労働者が4を反証する責任を負うとされた。

コマキ事件において会社がとった対策を、裁判所の判断と共に確認していこう。

1.整理解雇の必要性があるか

必ずしも倒産直前の段階まで来ている必要はなく、不採算部門の廃止などの場合も「整理解雇の必要性」は認められる余地はある。

しかしコマキ事件に限って言えば、会社が示した資金繰実績表だけでは「整理解雇の必要性がある」とは認定されなかった。

2.整理解雇を避けるために会社は努力をしたか

整理解雇に至るまでに、どの程度の経営努力をしたかがポイントとなる。一般的には次の施策が容易に想定できるところだ。

・新規採用の停止
・配置転換または出向
・一時休業
・希望退職の募集
・賃金(役員報酬)のカット

コマキ事件では、上記いくつかの措置は取っていたものの、希望退職の募集を例に挙げれば、募集期間わずか5日と短いなど、十分な回避努力をしていないと判断された。

3.整理解雇対象者の人選に問題はないか

一律に年齢や社歴で線引きをするなどの方法も認められる場合がある。しかしコマキ事件では会社は「勤務協力度」、「貢献度」、「協調性」など、あいまいな査定基準で整理解雇の対象者15名を選抜したことにより、人選に合理性がないと判断された。

④このコラムのまとめ

コマキ事件の判決は、整理解雇の有効性を示す重要な判決だ。

私達、社会保険労務士がお客様から整理解雇の相談を受ける場合、必ずこのコマキ事件の判決文を引用して助言している。

つまり、たとえ事業主が整理解雇の必要性を主張しても、この判例と照らし合わせると、整理解雇が無効となる可能性があるためだ。 労務管理でお困りの場合は、是非当事務所までご一報を。

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