遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給額

遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給額

■遺族基礎年金の受給額

1.配偶者が受け取るとき

配偶者が遺族基礎年金を受け取るときは、「子があること」が大前提です。

そして、子の人数に応じて金額が下記の通り加算されていきます。

加算対象の子加算額
2人目まで(1人につき)222,400円※
3人目以降(1人につき)77,100円※

※改定率により若干の上下がありますが省略します。

仮に配偶者と子3人を残して、被保険者が死亡した場合の遺族基礎年金額は次の通りです。

772,800円 + 222,400円×2人 + 77,100円×1人
=1,294,700円

月額107,891円(2か月分を偶数月に支給)

2.子が受け取るとき

加算対象の子加算額
1人目なし
2人目222,400円※
3人目以降(1人につき)77,100円※

※改定率により若干の上下がありますが省略します。

配偶者が受け取るときとの違いは、「1人目の子については加算額がない」ということです。

仮に子3人を残して被保険者が死亡した場合の遺族基礎年金額は次の通りです。

772,800円+222,400円+77,100円
=1,072,300円

月額89,358円
1人あたり29,786円(2か月分を偶数月に支給)

なお、胎児であった子が出生したときや、一部の子が遺族の要件に該当しなくなったときなどに、年金額が翌月から増減します。

■遺族厚生年金の概要

1.遺族厚生年金の基本的な考え方

「死亡した人の老齢厚生年金額」×3/4※

(※物価変動率を加味しますがここでは省略します)

遺族厚生年金には、「子の数による加算」はありません。

2.遺族厚生年金 配偶者の救済措置

配偶者に関しては、「妻」に限り

・中高齢の寡婦加算

・経過的寡婦加算

の二つの救済措置があります。

■遺族厚生年金 実際の計算

1.死亡した人の老齢厚生年金額

ということで、まず計算すべきは死亡した人の老齢厚生年金額です。

老齢厚生年金は次の計算式で求めることができます。

①平成15年3月以前

平均標準報酬月額 × 7.5/1000※ × 被保険者月数

②平成15年4月以降

平均標準報酬額 × 5.769/1000※ × 被保険者月数

※老齢厚生年金の受給権者(加入期間を満たす方を含む)が死亡したときについては、生年月日により掛け率の変動があります。

2.掛け率が異なる理由

なぜ、平成15年3月で掛け率が異なるのかを解説します。

平成15年3月までは、賞与額が年金に反映されていませんでした。

しかし平成15年4月以降、賞与も含めて年金額を計算することに移行したため、およその賞与支給割合(月収1年分の3割)を加味して新たな計算式に移行したのです。

3.標準報酬

平均標準報酬はイコール月収ではありません。

社会保険に加入するに当たり、事業主が届出する金額です。

毎年1回、改定手続きを行います。(算定基礎届)

また急激な増減があった場合も改定を行います。(月額変更届)

賞与の支給があった場合も、都度届け出ます。(賞与支払届)

つまり、事業主が支給額に準じた届出をしない限り、

適正に年金額に反映されないという難点があります。

4.被保険者月数

実際に厚生年金の被保険者となっていた期間のことを指します。

平成15年3月を境に、それぞれの期間を計算する必要があります。

ちなみに一定の場合には、加入月数が300ヵ月に満たないとき、300ヵ月とみなす制度があります。

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
【記事内容自体に関するご質問には応対できかねますので、ご了承お願い致します。】

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護職員実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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