■国民年金の被保険者・元被保険者

遺族基礎年金は、

「A 一定の要件に該当する方が死亡した時」に

「B 一定の要件に該当する遺族」に支給されます。

Bは相当範囲が狭く、また遺族基礎年金が支給された場合でもその支給期間が短いのです。

それに比べてこれから解説するAは要件が緩やかです。

以下で「A 一定の要件に該当する方」を解説していきます。

1.国民年金の被保険者が亡くなった場合

国民年金の被保険者は1号、2号、3号に区分されます。

1号・・・20歳~60歳で2号、3号以外の方
2号・・・企業(官公庁)勤めの方
3号・・・2号の配偶者で20歳~60歳

つまり、60歳未満の方が亡くなった場合、ほとんどの場合がこの①に該当します。

2.元国民年金の被保険者で日本に住む60歳以上65歳未満の方が亡くなった場合

①を参考に考えると、60~65歳の自営業者の方が亡くなった場合が該当します。

■老齢基礎年金の受給権者等

1.老齢基礎年金の受給権者が亡くなった場合

老齢基礎年金は原則として65歳以上の方が受け取ります。

繰り上げ受給する場合は60歳から受け取ることができます。

このような方が亡くなった場合が該当します。

2.老齢基礎年金の受給期間を満たす方が亡くなった場合

老齢基礎年金の受給のためには原則として25年の納付期間が必要です。

※この25年には免除期間等が含まれる場合があります。さらに一定の場合には25年が短縮される場合があります。

以上の通り、「死亡した方」は①~④のどれかに該当する確率が高いわけですが、先に開設した通り、受け取る側(遺族)の要件が厳しいのが遺族基礎年金の特徴です。

■遺族厚生年金が受給できる4つの類型

遺族厚生年金における「死亡者」の類型は以下の4通りです。

①厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき

②厚生年金保険の被保険者である間に初診日がある病気や怪我が原因で、初診日から5年以内に死亡したとき

③障害の程度が1級・2級の障害厚生年金を受けている方が志望したとき

④老齢厚生年金の受給権者(加入期間を満たす方を含む)が死亡したとき

それでは1つずつ解説していきます。

①厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき

現役世代のサラリーマンが亡くなった場合が該当します。

②厚生年金保険の被保険者である間に初診日がある病気や怪我が原因で、初診日から5年以内に死亡したとき

初診日とは、障害の原因となった病気や怪我について、初めて医師の診断を受けた日のことです。その時点で厚生年金の被保険者であれば、初診日から5年内の「その病気や怪我が原因」による死亡であれば、遺族厚生年金の対象となります。

③障害の程度が1級・2級の障害厚生年金を受けている方が死亡したとき

障害厚生年金の受給者が死亡する場合です。この場合は、「死亡の理由」や「死亡日の期限」に制限はありません。

④老齢厚生年金の受給権者(加入期間を満たす方を含む)が死亡したとき

定年退職後、老齢厚生年金を受給している方の場合です。ケースとしては一番多い類型です。

また、「加入期間」は基礎年金とおなじ25年必要ですので、例えば脱サラして国民年金1号となった後、25年の加入期間を満たす場合などが該当します。

以上が遺族厚生年金受給のための4つの類型です。

■最後の関門 社会保険料納付要件

ここまで、「死亡した人の要件」、「遺族の要件」を中心に解説してきました。

最後の関門は、「死亡した人の保険料納付要件」です。

1.遺族基礎年金の保険料納付要件

遺族基礎年金で言う「死亡した人の要件」は以下の4累計です。

保険料納付要件を含めて表に示すと次のようになります。

死亡した人の要件 保険料納付要件
①国民年金の被保険者 死亡日の属する月の前々月までの2/3以上(※経過措置あり)
②元国民年金の被保険者で日本に住む60歳以上65歳未満
③老齢基礎年金の受給権者 不問(=すでに受給権を得ているため)
④老齢基礎年金の受給期間を満たす方

※経過措置
死亡日が平成38年3月31日までであり、かつ死亡した方が65歳未満の場合、死亡日の属する月の前々月までの1年間に未納がなければよい。

ここで、

「死亡日が属する月の前々月」

とあるのは、国民年金の納付が「翌月払い」であるため、仮に死亡時に未納があった場合、遺族が前月分までの未納を一気に納付することを防ぐためです。

あくまでも、定期的にきちんと納付をしてくださいね、というのが法の趣旨です。

2.遺族厚生年金の保険料納付要件

遺族厚生年金で言う「死亡した人の要件」は以下の4累計です。

保険料納付要件を含めて表に示すと次のようになります。

死亡した人の要件

保険料納付要件

①厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき 死亡日の属する月の前々月までの2/3以上(※経過措置あり)
②厚生年金保険の被保険者である間に初診日がある病気や怪我が原因で、初診日から5年以内に死亡したとき
③障害の程度が1級・2級の障害厚生年金を受けている方が志望したとき 不問(=すでに受給権を得ているため)
④老齢厚生年金の受給権者(加入期間を満たす方を含む)が死亡したとき

3.遺族基礎年金との相違点

基本的な考え方や経過措置については、遺族基礎年金と同じです。

一点、遺族基礎年金と根本的に異なるのは、

「①②③の場合の年金支給額の救済措置」です。

別講座で詳しく解説しますが、遺族基礎年金が受給できる場合、支給額は「=満額の老齢基礎年金額」となります。

これに対して、①②③の場合被保険者であった「月数」で支給額が決定されるため、加入期間が短いと支給額が少なくなる可能性があります。

そのため、被保険者月数が300ヵ月に満たないときは、300ヵ月として救済されます。

ちなみに④の場合は、実月数で支給額が計算されます。

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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