会社設立1期目の役員報酬はいつ決定すればよいですか?
-
会社設立1期目の役員報酬はいつ決定すればよいですか?
-
設立登記から3カ月以内に決定する必要があります。
解 説
例えば1月5日に会社設立登記を行った場合、3カ月経過日に当たる4月4日までに1期目の役員報酬を決定する必要があります。
今回のQ&Aでは介護障害福祉事業のように、会社設立登記日と開業月(指定月)に数カ月の差が生じる事業を例に検討したいと思います。
一般的な訪問型の介護障害福祉事業の場合
一般的な訪問型の介護障害福祉事業で開業スケジュールを作る場合、 開業月(指定月) の約3カ月前に法人設立登記を行う事をお勧めしています。
スケジュールを適切に計画することで、開業月(指定月)と1期目の役員報酬支給開始月を同期させることができます。
法人設立を先行させる必要のある計画の場合
一方で、法人設立を先行させなければならない場合があります。
①施設型の介護障害福祉事業の場合
②訪問型事業で自治体のスケジュールで定められている場合
③融資申込の必要性がある場合
これらの場合、開業月(指定月)の3カ月前の法人設立登記ではスケジュール進行が間に合わないため、それ以前に法人設立登記を済ませておく必要があります。
ここで大きな問題が生じます。ケース①~③の場合、1期目の役員報酬を開業月(指定月)前に決定・支給開始する必要がある点です。
(事例)1期目の役員報酬決定問題
7月1日開業(指定)を目指す場合で、1月に会社設立を行う必要があるとします。
仮に1月5日に会社を設立すると、4月4日までに役員報酬を決定し、実際に支給を開始しなければなりません。
7月開業(指定)なのに、4月から役員報酬を支給することが、果たして可能でしょうか?
この問題の対処策は次の3通りとなります。
A案:原則通り4月から役員報酬を支給する
財政上、余力がある会社の場合はこの方式をとるのが良いでしょう。ちなみに7月開業(指定)の場合、最初の売上入金があるのは、2カ月遅れの9月です。つまり、4~8月は売上入金が無いにも関わらず、役員報酬の支給を行うことになります。
B案:1期目の役員報酬は0円とする
財政上、余力がない場合は1期目役員報酬0円の判断となります。役員報酬0円は1期目の終了(決算)まで続きます。役員報酬を再決定できるのは、2期目の当初3カ月間です。一般的に1月に会社設立する場合、12月決算を選択することが多いため、2期目開始は翌年1月となり、それまで役員報酬0円が続きます。
C案:1期目の役員報酬を0円としつつ、決算月の到来を早める
B案における「1期目の終了まで役員報酬0円が続く」というデメリットを緩和する施策です。
決算月は会社が自由に決定できる、という制度に着目します。
B案では「1月会社設立・12月決算」でお話ししましたが、仮に決算月を6月で設定する場合、1期目の役員報酬0円期間は1月に始まり6月で終了します。2期目の開始が開業月(指定月)である7月と一致し、7月に2期目役員報酬を適切な金額で決定することができます。
C案のデメリットとしては、決算事務が前倒しで到来する点が挙げられます。(税理士等への依頼)
一方で、決算に関する納税については、さほどのデメリットは生じないと思います。売上が0円であるという事は、納税額は基本的に地方税均等割(固定税額)のみであり、月割りで計算されるためです。この点のみであれば、損得は原則として生じません。
【この記事の執筆・監修者】
-
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
(電話)0120-60-60-60
06-7739-2538
【最近の投稿】
介護・障害者福祉 設立編2024-12-16【令和6年度法改正対応】2人の訪問介護員による報酬加算|夜間・早朝・深夜加算|訪問介護の開業講座⑭ 介護・障害者福祉 設立編2024-12-10【令和6年度法改正対応】生活援助の単位数|通院等乗降介助と身体介護の適用関係、院内介助の位置付け|訪問介護の開業講座⑬ 介護・障害福祉事業を開業されたお客様の声2024-12-03放課後等デイサービスを開業されたお客様の声《放課後等デイサービスうららか 様》 介護・障害者福祉 設立編2024-11-30【令和6年度法改正対応】訪問介護における身体介護の基本報酬|20分未満の身体介護と2時間ルール|訪問介護の開業講座⑫