共生型サービス【介護保険事業と障害福祉事業の複合サービス】

共生型サービス【介護保険事業と障害福祉事業の複合サービス】

このコラムを3分読めば理解できること

・共生型サービスが誕生した背景が理解できる
・介護保険サービスと障害福祉サービスの組み合わせが理解できる
・共生型サービスの指定基準の特徴が理解できる

介護保険事業と障害福祉事業の複合サービスとして平成30年4月にスタートした共生型サービス。このコラムでは共生型サービスが誕生した背景、介護&障害福祉事業の組み合わせ、指定基準の特徴について、専門の社会保険労務士が詳しく解説する。

このコラムの目次

①共生型サービスが誕生した背景
②共生型サービスを構成する介護保険サービス、障害福祉サービス
③共生型サービスの指定申請
④まとめ

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①共生型サービスが誕生した背景

平成30年4月、介護福祉の分野に新たに「共生型サービス」が誕生した。共生型サービスを端的に説明すると、1つの事業所で要介護者と障害者に、同時にサービス提供する事業のことだ。

平成30年3月以前は、1つの事業所で要介護者と障害者に同時にサービス提供するためには、介護保険法および障害者総合支援法の2つの法令に準拠した施設とスタッフを確保する必要があった。

このハードルは高く、1つの事業所で要介護者と障害者に対して同時にサービス提供できる事業所はごく少数だった。

この弊害は障害者が65歳に到達した際に顕れる。1人の利用者に対して類似する介護保険サービスと障害福祉サービスが存在する場合、介護保険サービスが優先するため、例えば障害者が長年サービス利用を受け続けてきた施設が、介護保険法の施設基準を満たしていない場合で、当人が65歳に到達した場合、施設を退所し、別の介護保険施設を探す必要があった。

この弊害を解消するため、介護保険法または障害者総合支援法のいずれかの施設基準を満たす場合、もう一方の施設基準を大幅に緩和する、共生型サービスが誕生したわけだ。

②共生型サービスを構成する介護保険サービス、障害福祉サービス

前の項で「類似する介護保険サービスと障害福祉サービス」について触れた。ここではその共生型サービスについて、介護保険サービスと障害福祉サービスの対応関係について、一覧表で整理してみよう。

介護保険サービス 障害福祉サービス
訪問介護 居宅介護・重度訪問介護
通所介護
(デイサービス)
生活介護(入浴排泄食事の常時介護)
自立訓練-機能(身体リハビリ)
自立訓練-生活(入浴排泄食事の訓練)
児童発達支援(未就学児ケア)
放課後等デイサービス(就学児ケア)
短期入所生活介護
(ショートステイ)
短期入所

表の左右の関係が、「類似する介護保険サービスと障害福祉サービス」を指す。これらの組み合わせにより共生型サービスの運営が可能となる。

③共生型サービスの指定申請

介護保険サービスと障害福祉サービスを同時提供する共生型サービス。この共生型サービスを運営するためには管轄行政庁に対する指定申請が必要となる。

指定申請を受けるためには、介護保険サービスまたは障害福祉サービス、どちらかの指定を得ている必要があるため、理論的には共生型サービスとして同時オープンするのは困難ではないかと思われる。

共生型サービスの指定件数は、まだそれほど多くは無いが、筆者が個人的に交友関係のある、とある行政庁の職員に尋ねても「通常は先にどちらか片方の指定を受けてから」とのことだ。

共生型サービスとして同時オープンできるかどうかは、今後の状況をみて改めてコラムで解説したい。

さて、共生型サービス指定申請の特徴は次のとおりである。

1.介護保険事業、障害福祉事業の施設管理者は1名で2事業を兼務できる
2.配置すべき従業者の数は、利用する要介護者と障害者数の合計に基づき算定する
3.介護保険サービス、障害福祉サービスの提供スペースに間仕切りは不要
4.利用する要介護者と障害者数の合計×3㎡以上のサービス提供スペースを確保する

④まとめ

以上が介護保険サービスと障害福祉サービスを同時提供する共生型サービスの概要である。共生型サービスを運営するためには、介護保険サービス、障害福祉サービスどちらを先に開業するかを計画しつつ、共生型サービスの運営に見合った施設構築、人員計画が必要となる。

介護保険・障害福祉事業の共生型サービスの設立開業をお考えの際は、当事務所の無料相談のご利用をお勧めする。

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