処遇改善加算の支給方法を年度途中で変更することはできますか?

処遇改善加算の支給方法を年度途中で変更することはできますか?

処遇改善加算の支給方法を年度途中で変更することはできますか?

はい、可能です。なお、法令で定められている項目に該当する場合、変更届の提出が必要となります。

解 説

処遇改善加算は毎年度、計画届の提出が必要となります。計画届は会社の決算事業年度に限らず、4月~3月の行政年度を1単位として作成・提出します。

ご質問の趣旨は、「処遇改善加算計画届に記載した内容を変更することが出来るかどうか?」であると思います。変更することは可能です。以下、変更届の提出が必要となるケースを中心に、解説します。

変更届の提出が必要となるケース

以下の項目に該当した場合、処遇改善加算変更届の提出が必要です。処遇改善加算・特定処遇改善加算について解説します。

変更届の提出が必要となるケース(共通)

①会社法による吸収合併、新設合併等により、「介護職員処遇改善加算計画・介護職員等特定処遇改善加算計画書」の作成単位が変更となる場合

②複数の介護サービス事業所等について一括して申請を行う事業者において、当該申請に関係する介護サービス事業所等に増減があった場合

③就業規則を改正(介護職員の処遇に関する内容に限る。)した場合

④前年度の介護職員の賃金の総額(処遇改善加算等を取得し実施される賃金改善額及び独自の賃金改善額を除く)に変更がある場合

変更届の提出が必要となるケース(処遇改善加算に特有

・キャリアパス要件等に関する適合状況に変更があった場合(該当する処遇改善加算の区分に変更が生じる場合又は処遇改善加算Ⅲ若しくは処遇改善加算Ⅳを算定している場合におけるキャリアパス要件Ⅰ、キャリアパス要件Ⅱ及び職場環境等要件の要件間の変更が生じる場合に限る。)

※キャリアパス表が就業規則の一部に該当する場合、この条件に限らず、共通③に該当するため、変更届が必要であると解釈しています。(当社解釈)

変更届の提出が必要となるケース(特定処遇改善加算に特有

・介護福祉士の配置等要件に関する適合状況に変更があり、該当する加算の区分に変更が生じる場合

・喀痰吸引を必要とする利用者の割合についての要件等を満たせないことにより、入居継続支援加算や日常生活継続支援加算を算定できない状況が常態化し3か月継続した場合

具体的には?

事例でご説明します。

具体的事例 届出要否
対象事業所が増えた(処遇改善届を事業所一括で提出している場合)
対象事業所が増えた(事業所ごとで独自の届出をしている場合の、既存事業所)
キャリアパス表に変更があった(就業規則の一部になっている場合)
賃金体系図に変更があった
〇〇手当を新たに設け、それを処遇改善の対象にする
1時間当たり〇円の処遇改善計画を□円に変更する
月給のみで処遇改善支給計画のところ、賞与(一時金)も対象にする
賞与(一時金)のみで処遇改善支給計画のところ、月給も対象にする
計画以上の処遇改善受給が見込まれる事になった
処遇改善加算と関係のない部分で、就業規則に変更があった

ご覧の通り、ほとんどの事例に対して変更届の提出が必要であるとことが分かります。しかし実務運営の面では、変更届を受け付ける自治体の処理キャパシティーが追い付かない状況があるため、

・届出省略
・変更箇所だけを提出することで、当初計画を一部差し替え(変更届出書は不要)

としている自治体が存在します。変更届の有無については、事前に自治体に確認されることをお勧めします。

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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 (電話)0120-60-60-60 
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