戦前~戦後 障害者をめぐる国の施策

1.戦前の障害者施策

戦前、障害者の福祉増進に関する法律は存在せず、障害者保護は家族の責任とされていました。

「障害者」は救貧の対象、「精神障害者」は治安・取締りの対象とされ、収容・保護が当時の基本政策でした。

2.戦後の障害者施策

戦後、障害者福祉の気運が発芽し出します。これらは日本国憲法第25条にその根拠を見出すことができます。

①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

日本国憲法第25条を受けて成立する個別法を、順追ってご紹介します。

 

福祉三法(六法)の成立

1.児童福祉法(昭和22年)

戦争孤児のための児童養護施設が設けられるようになりました。

条文の中で、「障害児」という表現が使われるようになり、障害を持つ子供の福祉についての根拠法として成立しました。

2.生活保護法(昭和26年)

敗戦後間もない成立ということもあり、復員軍人や遺族の問題を解決するために設けられた法律です。生活保護法の中に「救護施設」の仕組みが設けられました。

救護施設は障害者のうち、経済的な理由等で日常生活を送ることができない人が入所します。

障害者を「身体・知的・精神」で区別することなく、受け入れます。現在、全国188施設に約17,000人の人が生活しています。

(全国救護施設協議会 平成21年調べ)

3.身体障害者福祉法(昭和24年)

主に戦傷で障害を負った復員傷痍軍人を念頭に置いた法律です。

しかし単にこれらの方々の保護を目的とするだけの法律ではなく、「職業に就き社会復帰させる」という理念も兼ね備えていました。

4.その他の福祉関連法

以上3つの法律を指して、福祉三法と呼びます。さらに精神薄弱者福祉法、老人福祉法、寡婦福祉法を加えて「福祉六法」と呼ぶ場合があります。

戦後の福祉関連法は1960年代の福祉六法の成立をもって、ひと段落を迎えるに至るわけです。

 

障害者福祉をめぐる理念の変遷

1.障害者基本法(平成5年)

障害者基本法自体の目的は、国や地方公共団体の障害者施策立案のための基本方針を定めることにありました。

そしてその「基本方針」とは、「障害者の自立・社会参加の支援等」と規定されていました。

2.障害者基本法改正(平成22年)

平成22年の改正障害者基本法では、従来の「自立・社会参加」に加えて、「基本的人権を有する、かけがえのない個人として尊重されるべき」という理念が加わりました。

ここにおいて国の基本理念が、

「収容保護の対象」→「援助の対象」→「自立・社会参加推進」→「基本的人権の尊重」と変遷し、憲法25条の基本理念に立ち返ったことが分かります。

 

労務専門コラム 障害者福祉サービス編

>>①障害者福祉をめぐる福祉六法の成立
>>②支援費制度への移管と問題点 障害者自立支援法
>>③障害者総合支援法の成立とその概要
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【この記事の執筆者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)