障害年金&労災調整コラムを3分読めば理解できること

・仕事が原因で障害を負った場合の補償の仕組みが理解できる
・労災保険給付と障害年金給付が重なった場合の仕組みが理解できる
・最低限保証される金額が理解できる

仕事上の病気や怪我が原因で障害を負ったとする。労災保険から補償がされる場合、障害年金も二重取りできるのだろうか?このコラムでは労災保険と障害年金、二つの制度が重なった場合の給付調整の仕組みを解説する。

障害年金&労災調整コラムの目次

①障害年金と労災保険どちらが支給されるか?
②労災保険の減額はどの程度か?
③労災保険に最低保障額はあるのか?
④障害年金&労災調整コラムのまとめ

①障害年金と労災保険どちらが支給されるか?

仕事上の病気や怪我が原因で生じる障害には、労災保険から障害補償がなされる。障害等級1~7級は年金で、8~14級は一時金で支給される。等級はあくまでも労災保険での等級であるため、国民年金・厚生年金の障害等級とは連動しない。

この場合、労災側の1~7級の障害補償年金、または休業するときの休業補償給付を受給できる場合、労災保険側で減額措置が生じる。所得保障の二重取りを防ぐのが目的だ。

②労災保険の減額はどの程度か?

それでは具体的に、組合せごとの労災減額率を見ていこう。ここで示す数値は、労災保険から本来支給される金額に乗ずる率だ。例えば0.73は73%であることを示している。

障害厚生年金と障害基礎年金を受給できる場合で

・障害補償年金(労災)は ×0.73
・休業補償給付(労災)は ×0.73

障害厚生年金だけを受給できる場合で

・障害補償年金(労災)は ×0.83
・休業補償給付(労災)は ×0.88

障害基礎年金だけを受給できる場合で

・障害補償年金(労災)は ×0.88
・休業補償給付(労災)は ×0.88

つまり労災側が12~27%減額されることが読み取れる。

③労災保険に最低保障額はあるのか?

それでは労災側の減額により、総受取額が低額になった場合の救済措置を見ていこう。

国民年金、厚生年金側の障害年金の受給額が極めて低いケースでは、労災保険の減額により、総受取額が、本来支給されるべき労災保険を下回るケースも生じ得る。

減額後の労災保険+障害基礎・厚生年金 < 本来支給されるべき労災保険

このようなケースを防ぐために、本来支給されるべき労災保険の金額が最低保障される仕組みとなっている。

④障害年金&労災調整コラムのまとめ

以上が労災保険と障害基礎年金、障害厚生年金の給付調整である。ポイントとしては、二重取りを防ぐ目的で労災保険側に減額調整が入るが、総受取額で「本来支給されるべき労災保険の金額」が最低保障されるというものだ。

複雑な考え方であるが、仕事が原因で障害が生じた場合の参考にして欲しい。

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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