■法定相続分を知ろう

1.相続順位

まずは基本的な法定相続分を確認しましょう。

「生前故人が得た財産を死後どのように承継するか。」

これがキーポイントです。

原則として縦のラインで下に承継するという考え方に基づきますので、相続順位は下記の通りになります。

第1順位 子
第2順位 親・祖父母(法律用語では直系尊属と呼びます。以下便宜上、親・祖父母とします)
第3順位 兄弟姉妹

第1順位がいる場合は、第2、第3順位の相続人には遺産分割の権利が回ってきません。
第2順位がいる場合の第3順位も同様です。

2.配偶者の相続順位は?

ここで配偶者が登場しないのはなぜ?という疑問が浮上します。
(配偶者とは法律上の結婚相手の事です。)

民法890条
配偶者は常に相続人となる。

こういう論法ですね。
よって、ケースとしては基本的に次の3通りが考えられるわけです。

相続人の組合せ順位配偶者の相続分組合せ相手の相続分
配偶者 & 子1位1/21/2
配偶者 & 親・祖父母2位2/31/3
配偶者 & 兄弟姉妹3位3/41/4

(昭和55年以前の相続で、未分割の場合は旧制度が適用されますのでご注意ください)

3.配偶者がいない場合の相続順位は?

仮に配偶者がいない(離婚or死亡)場合には、「組合せ相手」が全てを相続します。

日本の法律では「重婚」が認められていないため、配偶者は当然ながら常に1人だけです。

つまり相続開始時点(=被相続人の死亡日)で誰が配偶者か、という点が重要です。

長年連れ添った配偶者と離婚し、死亡の直前に再婚した場合、離婚した配偶者は一切の相続権を失うわけです。

4.相続できるのは原則「生存している人」

「被相続人の死亡時に、胎児だった者はどうなるか?」

仮に被相続人に胎児以外の子がなかった場合、胎児に法定相続分が認められれば、後順位(被相続人の親・兄弟姉妹)には法定相続権がなくなります。

逆の場合は、親・兄弟姉妹に相続権が生じます。

この非常にデリケートな問題に関して、民法886条では明確に

「胎児は相続に関してはすでに生まれたものとみなす。ただし死産の場合を除く」

としています。

■法定相続分の例外?

1.相続順位が1人の相続人に重複する場合

前述の法定相続分は、きっと皆さんもどこかで聞いたことがあるでしょう。

実は法定相続分には例外があるのです。

「私はあなたの妻であり、妹でもある」

すこしドキリとする表現ですが、養子制度を使うと「理論上は」成り立つのです。

2.ケーススタディ~法定相続分の重複

ケーススタディ

父母の間に子A(男)、子B(女)がある。
父母はC(女)を養子にした。
AとCが結婚した。(民法734条により可能です)
父母が亡くなり、AC間に子がないままに、Aが死亡した。

3.解説~法定相続分の重複

ここでAの相続について考えます。

この場合Cは、Aの「妻であり、妹でもある」と言えるわけです。

Cの法定相続分は、
妻として3/4
妹の一人として、1/4の1/2=1/8
合計7/8

このように、理論上は二重に法定相続分を得る可能性が生じるのです。
(ただし、民法の条文には是も非も一切書かれていませんのでご注意ください)

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
 〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)