④介護保険改正 特別養護老人ホームの新規入所を要介護3以上に

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特別養護老人ホームとは?

2015年介護保険法、3つ目のポイントは、

特別養護老人ホームの新規入所が要介護3以上になったことです。

まずここで③特別養護老人ホームについて、解説します。

特別養護老人ホームは、「指定介護老人福祉施設」とも称されます。

入居者の90%程度は要介護3以上の方々が占めています。

月額費用も5~15万円と比較的安いため、待機者数が全国で42万人と推計されています。

また、入居一時金も不要です。都道府県知事の指定を受けた社会福祉法人等が運営する、公的施設です。

 

民間の受け皿 有料老人ホーム

この特別養護老人ホームに対する民間の受け皿が、通称有料老人ホームです。有料老人ホームには、介護付属型と住宅型の2種類があります。

利用者は数百~数千万円の入居一時金を支払い、利用権を購入します。

月額費用も20万円以上する場合が多いため、一定資産を持っている場合でないと入居が困難です。

「施設に入りたくても、お金が足りない」

という声を現場で聞くことが多々ありますが、この場合の施設は有料老人ホームを指している場合が主です。

 

サービス付高齢者住宅(サ高住)

では、要介護度が比較的低い(1~2)場合や、要支援等のケースに適している施設は何でしょうか。

それが今、政府が熱心に後押ししている、サービス付高齢者住宅(サ高住)です。サ高住は、特別養護老人ホームや有料老人ホームと異なり、賃貸契約で入居します。

行政登録を受けた、介護を受けやすい、高齢者向け賃貸マンション

と考えると分かりやすいと思います。

安否確認と生活相談は必須サービスですが、介護サービスについては、在宅の場合と同じく、ケアプランに応じて外部の介護サービスを受けます。

居室1戸あたり最大100万円の国費補助が出ることもあり、棟数はうなぎのぼりです。

政府の政策目標では、2020年までに60万戸に増設する予定です。(2015年時点 約15万戸)

3つの施設を比較すると、次の表のようになります。

 

介護関連施設の比較

名称 棟数 戸数  種別 一時金
特別養護老人ホーム 8700 54万 不要
有料老人ホーム 9600 35万 必要
サービス付高齢者住宅 5000 15万 敷金

 

特養の入居基準を要介護3以上に

2015年介護保険制度改正では、介護の必要性のある42万人もの人が待機している、特別養護老人ホームの入居基準への、てこ入れを行います。

現在は要介護1~5であれば入居できる状態にあるのを、改正後は要介護3以上に限定します。

現在、約10%を締める要介護1~2の方々が、自然に減少する10~20年をかけて、この部分(54万戸の10%=5万戸)を、真に介護が必要な方々に開放するのが狙いです。

 

過当競争に陥るサービス付高齢者住宅

サ高住の建設ラッシュにより、戸数はどんどん増加しているわけですが、一部地域では既にサ高住が過当競争になっているようです。私の住む地域でも、連日新聞折込にはサ高住の見学会と入居者募集のチラシが。

内実までは不明ですが、この広告状況を見ると、まさに入居者の取り合いであることは確かでしょう。さらに団塊世代が平均寿命を迎える2030年以降は、入居者数の減少は明らかです。

ハコ物への投資が、不良資産になることが容易に予測できます。15年後の後始末を考えず、一時的な景気の潮流に乗る事に警鐘を鳴らしたいところです。

 

労務専門コラム 2015年介護保険制度改正編

>>①2015年 介護保険改正の骨子
>>②介護保険改正 利用者負担を1割から2割へ
>>③介護保険改正 要支援者向け予防給付の介護保険外し
>>④介護保険改正 特別養護老人ホームの新規入所を要介護3以上に
>>⑤介護保険改正 一定資産がある人の食費補助を打ち切り
>>⑥介護保険改正 高額介護費負担の上限をアップ
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