令和9年度介護報酬改定|3つの通所系サービス|通常型、地域密着型、認知症対応型通所介護の概要、3つの通所系サービスのデータ比較、令和9年度報酬改定の論点

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タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。このシリーズでは令和9年度介護報酬改定を複数回に分けて深掘りしていきます。今回取り上げるのは【3つの通所系サービス】です。通常型、地域密着型、認知症対応型通所介護の概要、3つの通所系サービスのデータ比較、令和9年度報酬改定の論点について詳しく解説します。
このコラム推奨対象者
・会社経営者の方
・事業所の管理者の方
・通常型、地域密着型、認知症対応型通所介護の概要について理解したい方
・3つの通所系サービスのデータ比較について理解したい方
・令和9年度報酬改定の論点について理解したい方
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数86名、累積顧客数は北海道から沖縄まで1006社、本社を含め12の営業拠点で運営しています。今回の福祉起業塾では【3つの通所系サービス】をテーマに取り上げ、通常型、地域密着型、認知症対応型通所介護の概要、3つの通所系サービスのデータ比較、令和9年度報酬改定の論点について詳しく解説します。
- 1. 3つの通所系サービスの概要
- 1.1. 3つの通所系サービス、それぞれの違い
- 1.2. 報酬
- 2. 3つの通所系サービスのデータ比較
- 2.1. 経営状況
- 2.2. 事業所数の増減
- 2.3. 加算の算定率
- 2.4. 利用者の状態像
- 3. 令和6年度改定と現場の声
- 3.1. 令和6年度報酬改定の内容
- 3.1.1. 認知症加算の見直し
- 3.1.2. 入浴介助加算の見直し
- 3.1.3. 個別機能訓練加算の人員配置要件の緩和
- 3.1.4. 送迎の取扱いの明確化
- 3.2. 現場の声
- 3.2.1. 送迎の負担
- 3.2.2. 加算を算定しにくい
- 4. 令和9年度報酬改定の方向性
- 4.1. 質の高いサービスの実現
- 4.2. 報酬体系の簡素化
- 5. まとめ
同じ内容を動画でも解説しています。
3つの通所系サービスの概要
はじめに、3つの通所系サービスの概要について解説します。通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護は、要介護者が施設に通い、入浴や食事などの支援と機能訓練を受けるサービスです。
これらに共通する目的は、利用者の社会的孤立感の解消、心身の機能維持、家族の身体的・精神的負担軽減(いわゆるレスパイトケア)です。いずれも、要介護高齢者が在宅生活を続けるために、必要不可欠な機能であるといえます。
3つの通所系サービス、それぞれの違い
3つの通所系サービス、それぞれの違いについては、事業所の規模と対象で整理できます。


通所介護は、最も一般的な通所系サービスで、事業所の規模によってさらに区分されます。具体的には、利用者数が月に延べ750人以内の通常規模型、750人を超え900人以内の大規模型Ⅰ、900人を超える大規模型Ⅱの3つに分かれます。
地域密着型通所介護は、利用定員18人以下の小規模な事業所です。認知症対応型通所介護は、認知症の方に特化した専門的なケアを、利用定員12人以下の少人数で提供します。地域密着型通所介護と認知症対応型通所介護は、いずれも市町村が指定と監督を行う地域密着型サービスです。
報酬
報酬については、サービス提供時間や要介護度、事業所の規模、類型に応じて決まります。
サービス提供時間が7時間以上8時間未満の要介護3で比較すると、認知症対応型通所介護の単独型は1,210単位、地域密着型通所介護は1,032単位、通所介護の通常規模型は900単位、大規模型Ⅰは861単位、大規模型Ⅱは830単位と、小規模であるほど基本報酬が高く設定されています。


3つの通所系サービスのデータ比較
続いて、3つの通所系サービスのデータ比較を行います。
経営状況
まず、経営状況を示す「収支差率」、一般法人で言う経常利益率に近い指標について2024年度の決算では、通所介護が6.2%、地域密着型が6.3%、認知症対応型が5.3%でした。全サービス平均が4.7%ですので、いずれも平均を上回っています。ただし認知症対応型については、前年度から1.3ポイント低下している点を課題認識する必要があります。


金額面で見ると、一般法人で言う経常利率に近い「収支差」は、通所介護で1カ月当たり37.1万円、地域密着型で17.2万円、認知症対応型で14.2万円となっており、いずれも2023年度から横ばい状態です。
事業所数の増減
次に、事業所数の増減についてです。通所介護と地域密着型は、近年おおむね横ばいで推移しています。一方、認知症対応型は、令和7年度2,716事業所と近年減少傾向にあります。収支差率の減少とともに、課題認識が必要です。


加算の算定率
続いて、加算の算定率についてです。入浴介助加算(Ⅰ)で比較すると、通所介護で89.8%、認知症対応型で94.3%と、いずれも非常に高い水準です。
一方で、若年性認知症利用者受入加算のように極端に算定率の低い加算もあります。算定率が両極端に分かれている点は、後の章で述べる報酬制度の見直しにつながる重要なデータです。


利用者の状態像
利用者の状態像について、認知症高齢者の日常生活自立度は、いずれも、Ⅱa・Ⅱbという軽度から中等度の方が中心となっています。3つのサービスは、中重度の方や認知症の方を地域で支える役割を担っていることが分かります。
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令和6年度改定と現場の声
続いて、令和6年度改定と現場の声をご紹介します。
令和6年度報酬改定の内容
令和6年度報酬改定の内容について、通所系サービスでは、大きく4つの見直しが行われました。
認知症加算の見直し
1点目は、認知症加算の見直しです。具体的には、従業者への事例検討や技術的な指導に係る会議を定期的に開くことが、新たな要件として加えられました。
入浴介助加算の見直し
2点目は、入浴介助加算の見直しです。入浴介助加算(Ⅰ)については、職員への研修などを行うことが新たな要件となりました。入浴介助加算(Ⅱ)については、医師等に代わって介護職員が利用者宅を訪問し、ICT機器を活用して状況を伝え、医師等が評価・助言する方法も認められました。
個別機能訓練加算の人員配置要件の緩和
3点目は、個別機能訓練加算の人員配置要件の緩和です。提供時間を通じた専従配置が求められていた要件が緩和され、人材をより柔軟に活用できるようになりました。
送迎の取扱いの明確化
4点目は、送迎の取扱いの明確化です。送迎先に居住実態のある場所を含められるようにしたほか、他の事業所の利用者との同乗も可能となりました。
現場の声
続いて、現場の声についてです。利用の目的については、生活機能を維持し現在の生活を続けるためという回答が最も多くなっています。一方で、現場からは大きな課題も示されています。
送迎の負担
1点目は、送迎の負担です。約97%の事業所が送迎を行っており、職員のシフト組みが負担という回答が51.6%にのぼります。
加算を算定しにくい
2点目は、加算を算定しにくいという実態です。具体的には、入浴介助加算(Ⅱ)を算定しない理由として、評価を行う医師等の確保や連携が難しいという回答が78.2%を占めています。
令和9年度報酬改定の方向性
最後に、令和9年度報酬改定の方向性について解説します。ここでお伝えする内容は、現時点で示されている論点に基づく見込みであり、確定した内容ではありません。予めご了承ください。審議会では、大きく2つの論点が示されています。
質の高いサービスの実現
1点目は、利用者の状態に応じた機能向上や自立支援につながる、質の高いサービスをどう実現するかという点です。通所系3サービスに共通するキーワードは、社会的孤立感の解消、心身の機能維持、家族のレスパイトケアです。
特に認知症対応型通所介護の事業所数が減少傾向にある中、高齢者人口がピークを迎える2040年に向けて、どのような対策を講じるべきか、今後の議論が期待されます。
報酬体系の簡素化
2点目は、報酬体系の簡素化です。これまでの改定で加算の種類が増え、取得要件も複雑になったことで、利用者にとってのわかりにくさや、事業者の事務負担が課題となっています。
算定率が高い加算については、基本報酬に組み込む方向性が考えられます。一方で、算定率が低い加算については、要件の緩和や、他の加算との整理・統合が検討される可能性があります。
まとめ
今回のコラムでは3つの通所系サービスについて解説しました。通常型、地域密着型、認知症対応型通所介護の概要、3つの通所系サービスのデータ比較、令和9年度報酬改定の論点についてご理解いただけたかと思います。
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【この記事の執筆・監修者】
- (いのうえ ごう)
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◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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