令和9年度介護報酬改定|地域包括ケアシステムの深化|有料老人ホーム 登録制への移行、住宅型有料における囲い込み対応、ケアマネジャー資格更新制度の廃止

地域包括ケアシステムの深化_コラムサムネ
井ノ上剛(社労士・行政書士)

タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。このシリーズでは令和9年度介護報酬改定を複数回に分けて深掘りしていきます。今回取り上げるのは【主要4テーマの第2、地域包括ケアシステムの深化】です。有料老人ホーム 登録制への移行、住宅型有料における囲い込み対応、ケアマネジャー資格更新制度の廃止について詳しく解説します。

このコラム推奨対象者

・会社経営者の方
・事業所の管理者の方
・有料老人ホーム 登録制への移行について理解したい方
・住宅型有料における囲い込み対応について理解したい方
・ケアマネジャー資格更新制度の廃止について理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数86名、累積顧客数は北海道から沖縄まで996社、本社を含め12の営業拠点で運営しています。今回の福祉起業塾では【主要4テーマの第2、地域包括ケアシステムの深化】をテーマに取り上げ、有料老人ホーム 登録制への移行、住宅型有料における囲い込み対応、ケアマネジャー資格更新制度の廃止について詳しく解説します。

同じ内容を動画でも解説しています。

地域包括ケアシステムの現状課題

はじめに、地域包括ケアシステムの現状課題について確認します。地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを最後まで続けられるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に確保する体制を指します。

01地域包括ケアシステム

その中心を担う地域包括支援センターは、令和7年4月末の時点で、全国の市町村に5,487か所が設置されており、整備は着実に進んでいると言えます。一方で、実際の取り組み面をみると、例えばリハビリテーションの推進や、在宅医療・介護連携協議会などの取組では、小規模な市町村で実施が遅れている状況が見られます。

2040年に向けては、高齢者人口の変化に伴い、地域ごとにサービス需要の差が拡大します。そのため、それぞれの地域の実情に応じて、地域包括ケアシステムを深化させることが求められています。

その過程で、前提となるのが「住まい」の確保です。そこで次の章では、その受け皿となる有料老人ホームの現状課題を見ていきます。

有料老人ホームの現状課題

ここでは、有料老人ホームの現状課題について解説します。有料老人ホームは、多様な介護ニーズの受け皿としての役割を強めています。サービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住も、食事の提供や介護などを行う場合には、制度上、有料老人ホームに含まれます。このようなサ高住を合わせた有料老人ホームは、施設数で約2万5千棟、定員数で約95万人にのぼっています。

有料老人ホームには、大きく2つの種類があります。介護サービスを施設が直接提供する「介護付き」と、外部の事業所を利用する「住宅型」です。このうち住宅型をめぐっては、2つの課題が指摘されています。

運営・人員基準

1点目の課題は、運営・人員基準です。住宅型は、制度上、介護サービスの提供に関与することが想定されておらず、運営・人員に関する明確な基準がありません。

囲い込み

2点目の課題は、いわゆる「囲い込み」です。「囲い込み」とは、関連する介護サービス事業所を利用するように入居者を誘導し、必要以上の介護サービスが提供されることを指します。入居者が自分でサービスを選ぶことが困難になっている、という実態が指摘されています。

次の章では、これらの課題に対する令和9年度介護制度改正の動きを見ていきます。

有料老人ホーム関連の制度改正

ここでは、有料老人ホームの現状課題に対応する制度改正を、4点に絞って解説します。

①登録制への移行

1点目は登録制への移行です。現在、有料老人ホームでは「届出制」がとられています。届出制は、必要事項を届け出れば足りる仕組みで、行政が中身を審査して開設を止めることは想定されていません。これに対して「登録制」は、基準審査を経て、はじめて事業を行える仕組みです。対象となるのは、中重度の要介護者を受け入れるホームで、現存するホームの大半が該当すると見込まれています。また、この登録制のもとで、住宅型と介護付きの双方に、運営・人員基準と、入居者を守るためのルールが設けられます。

②登録施設介護支援

2点目は、登録施設介護支援です。これは、登録制の対象となる住宅型有料老人ホームの入居者に対して、ケアプランの作成と、地域での生活相談とを、一体的に提供する新たな相談支援の仕組みを指します。利用にあたっては、介護付きホームと同じく、原則として1割の利用者負担を求める見込みです。

③「囲い込み」対策

3点目は、「囲い込み」対策です。具体的には、特定の介護サービス事業者の利用を入居条件とすることを禁止するとともに、ケアマネジメントの独立性を守る方針を定めて公表することが求められる見込みです。

④紹介事業者の優良認定

4点目は、紹介事業者の優良認定です。入居希望者が選びやすいよう、公益社団法人が、優良事業者を認定する制度を、新たに設ける見込みです。

ケアマネジメントの現状課題

次に、ケアマネジメントの現状課題について解説します。

今後、単身高齢者や、頼れる身寄りがいない高齢者の増加が見込まれています。ケアマネジャーは、医療と介護をつなぐ要として、その重要性が増す一方、ケアマネジャー数は横ばいから減少傾向にあり、人材確保が大きな課題です。

さらに、いわゆる「シャドウワーク」の負担も指摘されています。シャドウワークとは、本来の役割を超えて、生活上のさまざまな困りごとに対応せざるを得ない状況を指します。

また、地域全体を支える地域包括支援センターと、一人ひとりの利用者を支える居宅介護支援事業所とで、適切に役割を分担していくことも求められています。

こうした中で、ケアマネジャーが専門性を発揮できる環境を整えることが必要とされています。最後の章では、これらの課題に対する令和9年度介護制度改正の動きを見ていきます。

ケアマネジメント関連の制度改正

最後に、ケアマネジメント関連の現状課題に対応する制度改正を、5点に絞って解説します。

①ICTの活用

1点目は、ICTの活用です。例えば、ケアプランの作成については、サービス提供事業者に対して、ケアプランデータ連携システムの活用を、さらに求めていくことが想定されます。

②ケアマネジャーの資格更新制の廃止

2点目は、ケアマネジャーの資格更新制の廃止です。定期的な研修受講義務は残したうえで、受講を要件とした資格更新の仕組みは廃止される見込みです。

③シャドウワークの軽減

3点目は、シャドウワークの軽減です。具体的には、市町村が参加する地域ケア会議を活用し、実効的な課題解決に繋がる取り組みを推進します。

④介護予防ケアマネジメントの直接実施

4点目は、介護予防ケアマネジメントの直接実施です。現状、介護予防ケアマネジメントの約4割は地域包括支援センターから居宅介護支援事業所への委託により実施されています。業務効率化を目的に、居宅介護支援事業所による直接実施が可能となる見込みです。 以下のガイドラインのフローチャートが分かりやすいのでご参照ください。

⑤ケアマネジャーの資格取得要件の緩和

5点目は、ケアマネジャーの資格取得要件の緩和です。新たな人材の参入を促すため、受験対象となる国家資格を追加するとともに、必要となる実務経験を、現在の5年から3年へと短縮する見込みです。

まとめ

今回のコラムでは主要4テーマの第2、地域包括ケアシステムの深化について解説しました。有料老人ホーム 登録制への移行、住宅型有料における囲い込み対応、ケアマネジャー資格更新制度の廃止についてご理解いただけたかと思います。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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