介護障害福祉事業を開業する方向けの法定相続人講座⑧|相続権を失う!「相続人廃除」
■どんな行為が「相続人廃除」に該当するのか?
1.民法892条による相続人廃除
民法892条を吟味すると、
①被相続人に対する虐待・侮辱
②その他著しい非行
と、具体性に欠ける、あいまいな表現が使われています。
「相続欠格」と比較して要約すると、
「・・・・に該当したら自動的に相続欠格。
その他の場合は家庭裁判所が相続廃除とするかどうか判断しますよ」
となっているわけです。
2.具体的にはこんなケースが相続人廃除の対象
①被相続人に対する日常的な暴力、暴言
②名誉棄損
③犯罪歴
④借金、ギャンブル など
東京高裁の判例では、「家族的共同生活を破壊する行為」がポイントとして挙げられています。
(東京高決平4.12.11)
同じく東京高裁の判例ですが、
「その行為の原因が被相続人側にある場合には相続人廃除できない」
としています。(東京高決平8.9.2)
■だれを相続人廃除できるのか?
1.相続廃除の対象者
民法892条は相続廃除の対象を
「遺留分を有する相続人」
としています。
遺留分(民法1028条~)とは、
「遺言によっても奪われない、相続人の最低限の権利」を指します。
2.遺留分のある相続人、ない相続人
遺留分あり→配偶者、子、直系尊属(父母・祖父母)
遺留分なし→兄弟姉妹
兄弟姉妹が相続人廃除対象になっていない理由は、遺言によって相続分をゼロにすることで、相続人廃除と同様の効果が得られるからです。(つまり遺留分がないため反論できない。)
3.遺言による相続人廃除
相続人廃除は遺言によってもすることが出来ます。(民法893条)
仮に遺留分のある相続人(配偶者、子、父母・祖父母)を廃除する場合、遺言の内容には下記の注意が必要です。
① 「○○を相続人から廃除する」
→ 遺言執行者がある場合、遺言執行者が廃除の手続きを行います。
②「××に全ての遺産を相続させる」
→ 相続廃除の意思がない、と考えられ××には遺留分の保護がなされる可能性があります。
【この記事の執筆・監修者】
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◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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