■遺産分割が人的な要素で無効となる場合

1.相続人でない者が参加した

典型的な例が「遺言による廃除者の参加」です。

遺産分割協議が行われた後に遺言が見つかり、「Bを相続人から廃除する」となるようなケースです。

この場合、Bが参加して行われていた遺産分割協議は無効です。

2.一部の相続人を除いて遺産分割協議を行った

非嫡出子や反目しあっている一部の相続人を除外して遺産分割協議を行っても無効です。

3.制限行為能力者がいる

相続人に未成年者、成年被後見人がいる場合に、彼らが「単独で」参加しても、その遺産分割協議は取消すことができます。

4.詐欺・強迫により遺産分割協議が為された

相続人の一部がだまされ、または強迫されて遺産分割協議書に署名押印した場合です。
この遺産分割協議も取り消しの対象です。

■遺産分割が手続き的な要素で無効となる場合

1.遺産分割を判断する材料に誤りがあった

相続税対策を例に取りましょう。

誰が何を相続するかによって、相続税納税額が変わる場合があります。

遺産分割協議の時に判断材料にしていた相続税シミュレーションが実は勘違いだった場合です。

この場合には、「錯誤(さくご)」による無効が認められる場合があります。

2.後で遺言が見つかった

遺言がない状態での遺産分割協議。

「遺言がないし、法定相続分で相続しよう」と、基本原則に従って分割協議が為されたとします。

しかし後で遺言が見つかる。

遺言には「法定相続分とはかけ離れた分割方法」が記されている。

遺言に反する遺産分割協議も有効ですが、果たして「遺言で有利に扱われている相続人」が納得するでしょうか。

このような場合には、遺言の無効を主張してくるでしょう。

3.新たな遺産が見つかった

遺産分割協議の後で、地方の別荘の存在が明らかになったとします。

全員の合意で、「新しく見つかった別荘」についてのみ分割協議をすることは可能です。

しかし中には、

「もともとの分割協議で得た遺産はいらないから、別荘の権利を100%欲しい」

と考える相続人もいます。

別荘でなくとも、新たに見つかった遺産が特定の相続人にとって、非常に価値(意味)あるものである場合には、分割協議自体を無効としてやり直しを行うことができます。

「事前に準備万端にしても避けられないこと」と「事前に準備万端にすれば避けられること」

これらを相続人全員で理解しあった上で遺産分割協議を行うべきなのです。

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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