令和9年度介護報酬改定|制度の安定性・持続可能性|2割負担の対象拡大、ケアプランの利用者負担、要介護1、2の総合事業移行

令和9年度介護報酬改定_制度の安定性・持続可能性コラムサムネ
井ノ上剛(社労士・行政書士)

タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。このシリーズでは令和9年度介護報酬改定を複数回に分けて深掘りしていきます。今回取り上げるのは【主要4テーマの第4、制度の安定性・持続可能性】です。2割負担の対象拡大、ケアプランの利用者負担、要介護1、2の総合事業移行について詳しく解説します。

このコラム推奨対象者

・会社経営者の方
・事業所の管理者の方
・2割負担の対象拡大について理解したい方
・ケアプランの利用者負担について理解したい方
・要介護1、2の総合事業移行について理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数86名、累積顧客数は北海道から沖縄まで1000社、本社を含め12の営業拠点で運営しています。今回の福祉起業塾では【主要4テーマの第4、制度の安定性・持続可能性】をテーマに取り上げ、2割負担の対象拡大、ケアプランの利用者負担、要介護1、2の総合事業移行について詳しく解説します。

同じ内容を動画でも解説しています。

負担と給付の見直し

はじめに、令和9年度介護制度改正で検討されている、負担と給付の見直しについて、3つのポイントを解説します。

2割負担の対象拡大

1点目は、2割負担の対象拡大です。平成27年に「一定以上所得」のある方を2割負担とし、平成30年には「現役並み所得」のある方を3割負担としてきました。

01介護保険利用2割負担と3割負担の経緯

令和7年3月時点、サービス利用者約540万人中、2割負担の対象者は4.3%に当たる23万人、3割負担の対象者は3.9%に当たる20万人です。

02介護保険利用2割負担と3割負担の人数比率

現在の2割負担対象者以外にも、負担能力があると考えられる方に、2割負担の対象範囲を拡げることが議論されています。同時に、急激な負担増にも配慮して、負担増加額に月7,000円の上限を設ける案や、預貯金等が一定額以下の方は申請により1割負担とする案も示されています。

ケアプランの利用者負担

2点目は、ケアプランの利用者負担です。ケアプランの費用は、制度創設時から利用を促す目的で、現在も利用者負担がありません。これに対し、他のサービスとの公平性や制度の持続可能性の観点から、利用者負担を求めることが継続的に議論されています。

慎重な立場からは、利用控えによる重度化や、中立性の確保が難しくなるとの意見があります。一方で、積極的な立場からは、ケアマネジャーの仕事の価値を認識してもらう契機になるとの意見も示されました。

当面は、登録制の対象となる有料老人ホームの入居者に向けた新たな相談支援に負担を求める方針が想定されます。

軽度者の総合事業への移行

3点目は、軽度者の総合事業への移行です。要支援1・2の方の訪問介護と通所介護は、平成27年に市町村の総合事業へ移行しています。これを踏まえ、要介護1・2の方の生活援助サービス等についても、総合事業へ移行することが継続的に議論されています。

03要介護1と2の生活援助を総合事業へ移行

慎重な立場からは、要介護1・2の方には認知症の方も多く、専門的な対応が必要との意見があります。一方で、積極的な立場からは、まずは要介護1から段階的に移行すべきとの意見も示されました。

ここでご紹介した3つのポイントは、いずれも令和9年度改正より前に結論を出すこととされています。

多床室の室料負担

続いて、多床室の室料負担について解説します。

平成17年10月から、多床室では、水光熱費負担のみ利用者に求めています。その後も見直しは段階的に進められ、平成27年8月から特養について、一定の所得のある入所者から室料負担を求めることとされました。さらに令和7年8月には、一部の老健と介護医療院についても、新たに室料負担を求める見直しが行われたばかりです。

これを踏まえ、令和9年度改正では、老健と介護医療院の多床室の室料の仕組みを再度見直す方針が議論されています。

04多床室の室料負担

慎重な立場からは、老健は住まいではなく在宅復帰を支援する施設であり、室料負担を求めるのは適切でないとの意見があります。また、令和7年8月に見直したばかりであり、財源が厳しいという理由だけでは説得力に欠けるとの意見も示されました。

介護保険事務の効率化

最後に介護保険事務の効率化について、2つのポイントを解説します。

被保険者証関連の事務

1点目は、被保険者証関連の事務です。被保険者証は65歳到達時に全員に交付されますが、認定申請時に紛失している例があり、事業者にも手続き上の非効率が生じています。そこで、認定申請時や請求時に交付する方法へ変更し、資格喪失時などの返還義務もなくす見込みです。

要介護認定の効率化

2点目は、要介護認定の効率化です。申請代行は、指定居宅介護支援事業者や介護保険施設、地域包括支援センター等に限られていましたが、申請の約78%が代行である実態を踏まえ、追加で、認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)、しょうたき(小規模多機能型居宅介護)、かんたき(看護小規模多機能型居宅介護)、特定施設(特定施設入居者生活介護)などにも認める見込みです。

まとめ

今回のコラムでは主要4テーマの第4、制度の安定性・持続可能性について解説しました。2割負担の対象拡大、ケアプランの利用者負担、要介護1、2の総合事業移行についてご理解いただけたかと思います。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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