【令和6年度法改正対応】2人の訪問介護員による報酬加算|夜間・早朝・深夜加算|訪問介護の開業講座⑭

【令和6年度法改正対応】2人の訪問介護員による報酬加算|夜間・早朝・深夜加算|訪問介護の開業講座⑭コラムサムネイル
井ノ上剛(社労士・行政書士)

タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。近い将来、訪問介護の立ち上げを考えておられる方に向けて「令和6年度法改正対応、訪問介護の開業講座」をお届けします。第14回のテーマは「2人訪問介護加算と夜間・早朝・深夜加算」です。特別な環境の下で行われる加算について解説します。

このコラム推奨対象者

・2人の訪問介護員によるサービス提供の加算を理解したい方
・夜間、早朝、深夜加算を理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数74名、累積顧客数は北海道から沖縄まで813社、本社を含め8つの営業拠点で運営しています。コラムでは2人訪問介護加算と夜間・早朝・深夜加算について詳しく解説します。

同じ内容を動画でも解説しています。

2人の訪問介護員による加算

初めに2人の訪問介護員による加算について解説します。

訪問介護の報酬単位は、1人の訪問介護員によるサービス提供を前提に設定されています。しかし利用者の置かれている状況によっては、2人の訪問介護員によってサービス提供せざるを得ない場合も生じ得ます。

そこで一定の条件の下で、2人の訪問介護員によるサービス提供を認め、報酬にも加算を加えるという措置が採られています。それが2人の訪問介護員による加算です。加算率は200%、つまり2倍となります。

20分以上30分未満の「身体介護1」、244単位を2人の訪問介護員で行った場合、「身体介護1・2人」となり、単位数は2倍の488単位となります。訪問介護員2人が算定の限度です。

01_2人訪問介護加算

具体的な算定条件としては2点あります。

2人の訪問介護員によるサービス提供 算定条件

①2人の訪問介護を行うことに、利用者または家族の同意を得ている

②利用者の置かれている状況により、2人の訪問介護員によるサービス提供が必要であると認められる

【具体例】
・体重の重い利用者に入浴介助が必要な場合
・エレベーターのない建物の2階以上から外出介助を行う場合
・利用者に暴力行為がある場合

なお、利用者の状況によっては身体介護を2人の訪問介護員で提供し、その後に続く生活援助を1人の訪問介護員で提供する訪問介護計画も生じ得ます。このようなケースに対応するサービスコードが存在しないため、便宜上訪問介護員ごとにサービスコードを分割して単位数を計算します。

02_2人訪問介護でサービス内容異なる場合

具体的には、訪問介護員Aが「身体介護1」、244単位のみ算定、訪問介護員Bが「身体1生活1」309単位を算定します。身体介護部分が2倍で計算されるため、結果としては同じになります。

夜間・早朝・深夜加算

続いて夜間・早朝・深夜加算について解説します。

訪問介護の報酬単位は、日中(8時から18時)を基本とし、その他の時間帯に訪問介護サービスを提供する場合、報酬に一定の加算が行われます。時間帯の区分は、深夜(22時から翌朝6時)、早朝(6時から8時)、夜間(18時から22時)となります。

労働基準法では、22時から翌朝5時を深夜割増と捉えますが、時間帯の考え方に1時間のずれがある点に注意が必要です。

03夜間早朝深夜加算

報酬の加算は夜間または早朝の場合25%加算、深夜の場合50%加算となります。

夜間と早朝は加算割合が同じであるため、サービスコード内の略称には共通して「夜」を用います。例えば「身体介護1」を夜間または早朝に提供した場合は「身体介護1・夜」となり、244単位の25%に相当する61単位を加え、305単位となります。

同様に「身体介護1」を深夜に提供した場合は「身体介護1・深」となり、244単位の50%に相当する122単位を加え、366単位となります。

夜間・早朝・深夜加算は、ケアプランまたは訪問介護計画におけるサービス開始時刻が夜間、早朝、深夜のいずれかの時間帯である場合に算定することができます。

ただし、サービス利用が長時間にわたる場合で、夜間、早朝、深夜それぞれの時間帯がごく一部に過ぎないケースでは、加算算定することができない点に注意が必要です。

まとめ

「令和6年度法改正対応、訪問介護の開業講座」、第14回は「2人の訪問介護員による加算と夜間・早朝・深夜加算」を解説しました。特別な環境の下で行われる訪問介護の加算制度についてご理解頂けたかと思います。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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