【令和6年度法改正対応】訪問介護の特定事業所加算(重度者等対応要件編)|重度要介護者・看取期利用者|訪問介護の開業講座⑰
タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。近い将来、訪問介護の立ち上げを考えておられる方に向けて「令和6年度法改正対応、訪問介護の開業講座」をお届けします。第17回のテーマは「訪問介護の特定事業所加算(重度者等対応要件編)」です。全体像を確認しつつ、重度要介護者要件と看取り期の利用者要件について解説します。
このコラム推奨対象者
・訪問介護の特定事業所加算、重度者等対応要件の全体像を知りたい方
・重度要介護者要件について知りたい方
・看取り期の利用者要件について知りたい方
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数75名、累積顧客数は北海道から沖縄まで817社、本社を含め8つの営業拠点で運営しています。コラムでは特定事業所加算の重度者等対応要件のうち、重度要介護者要件と看取り期の利用者要件について詳しく解説します。
同じ内容を動画でも解説しています。
特定事業所加算 重度者等対応要件の全体像
初めに、「重度者等対応要件」の全体像から確認します。「重度者等対応要件」は2つあります。個別内容については後ほど詳しく解説するとして、ひとまず原文の要約版を列挙します。
「重度要介護者要件」
要件1は「重度要介護者要件」です。3月を除く前年度、または算定月直前3カ月間における利用者総数のうち、「要介護4または5の利用者」、「日常生活自立度Ⅲ、Ⅳ、Mの利用者」、「喀痰吸引等を必要とする利用者」が占める割合が20%以上であることです。
「看取り期の利用者要件」
要件2は「看取り期の利用者要件」です。前年度または算定月直前3カ月間に、看取り期の利用者が1人以上いることです。別途、体制要件における「看取り体制」を整備する必要があります。詳しくは後程ご説明します。
これらの要件について、特定事業所加算ⅠまたはⅢの場合、いずれかを満たせば足り、その他の加算区分の場合は適用されません。
以上が、「重度者等対応要件」の全体像です。
重度要介護者要件
続いて、「重度要介護者要件」の詳細について、要件を再掲しつつ解説します。
通達では、「1カ月実績平均は、利用者実人数または訪問回数を用いる」とされている点が分かりにくいため、厚生労働省が示す具体例に基づき解説を補足します。
3カ月平均の「利用者実人数」を用いる場合
まず3カ月平均の「利用者実人数」を用いる場合です。事例では利用者数はAからJまで10人ですが、利用者Bは2月の利用がないため、利用者総数から除外します。よって3カ月間の利用者総数は29人となります。
重度者に該当するのは利用者B、F、G、H、I、Jの6人です。1月と3月はそれぞれ6人であるため合計12人ですが、2月はBを除く5人であるため、3カ月間の重度者実人数は17人となります。
結果、1カ月実績平均は17人÷29人=58.6%となり、要件の20%を上回ります。
3カ月平均の「訪問回数」を用いる場合
次に3カ月平均の「訪問回数」を用いる場合です。総訪問回数217回に対して、重度者に対する訪問回数は168回です。
1カ月実績平均は168回÷217回=77.4%となり、要件の20%を上回ります。
事例では「利用者実人数」、「訪問回数」どちらで計算しても要件を満たしますが、実際にはいずれかを満たせば足ります。また、この計算はあくまでも平均値で要件判定するため、特定の月が20%を下回っていても、平均が20%を上回れば要件を満たします。
看取り期の利用者要件
次に「看取り期の利用者要件」を再掲して解説します。
冒頭でご説明した通り、この要件により加算算定する場合は、別途、体制要件における「看取り体制」を整備する必要があります。
「看取り体制」とは、医療機関又は訪問看護ステーションと24時間の連携体制を確保したうえで、「看取り期の対応方針」を利用者に説明し、その継続的な見直しと職員研修を行うことを要件とします。
「看取り期の対応方針」については、次の4点を定める必要があります。
看取り期の対応方針
①事業所における看取り期対応方針に関する考え方
②医療機関または訪問看護ステーションとの緊急時を含む連携体制
③利用者の意思確認、情報提供の方法
④利用者に提供する資料および同意書などの様式
以上4点が「看取り期の対応方針」に記載すべき内容となります。
まとめ
「令和6年度法改正対応、訪問介護の開業講座」、第17回は「訪問介護の特定事業所加算_重度者等対応要件編」を解説しました。重度要介護者要件と看取り期の利用者要件についてご理解頂けたかと思います。
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【この記事の執筆・監修者】
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◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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