【令和6年度法改正対応】訪問介護の特定事業所加算(人材要件編)|有資格職員とサ責の配置要件|訪問介護の開業講座⑯

【令和6年度法改正対応】訪問介護の特定事業所加算(人材要件編)|有資格職員とサ責の配置要件|訪問介護の開業講座⑯コラムサムネイル
井ノ上剛(社労士・行政書士)

タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。近い将来、訪問介護の立ち上げを考えておられる方に向けて「令和6年度法改正対応、訪問介護の開業講座」をお届けします。第16回のテーマは「訪問介護の特定事業所加算(人材要件編)」です。全体像を確認しつつ、有資格職員の配置割合要件とサ責の配置要件について詳しく解説します。

このコラム推奨対象者

・訪問介護の特定事業所加算、人材要件の全体像を知りたい方
・有資格職員の配置割合要件について知りたい方
・サ責の配置要件について知りたい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数75名、累積顧客数は北海道から沖縄まで817社、本社を含め8つの営業拠点で運営しています。コラムでは特定事業所加算の人材要件のうち、有資格職員の配置割合要件とサ責の配置要件について詳しく解説します。

同じ内容を動画でも解説しています。

特定事業所加算 人材要件の全体像

初めに、人材要件の全体像から確認します。人材要件は大きく分けて2つあり、またそれぞれに上位区分と下位区分があります。個別の内容については後ほど詳しく解説するとして、ひとまず原文の要約版を列挙します。

01特定事業所加算_人材要件の全体像

「有資格職員の配置割合要件」

要件1は「有資格職員の配置割合要件」です。

上位区分としては、訪問介護員の総数のうち介護福祉士が30%以上、または介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、1級課程修了者が50%以上であることが要件となります。

下位区分としては、訪問介護員の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上であることが要件となります。

「サ責の配置要件」

要件2は「サ責の配置要件」です。

上位区分としては、全てのサ責が3年以上の実務経験を有する介護福祉士、または5年以上の実務経験を有する実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、1級課程修了者であることが要件となります。

下位区分としては、2人以下のサ責配置が必要な事業所で、基準通りのサ責を配置し、かつ基準を上回る数の常勤サ責を1人以上配置することが要件となります。

特定事業所加算ⅠからⅤに応じて、満たすべき要件が異なります。加算Ⅰの場合、「有資格職員の配置割合要件」、「サ責の配置要件」それぞれで上位区分を満たす必要があり、加算Ⅱの場合はいずれか1つを満たせば足ります。

加算ⅢとⅣについては、いずれも下位区分の1つを満たせば足り、加算Ⅴについては人材要件は適用されません。

以上が特定事業所加算の人材要件の全体像です。

有資格職員の配置割合要件

ここから先は、人材要件を深掘りして解説を続けます。まずは「有資格職員の配置割合要件」からです。「有資格職員の配置割合要件」を再掲しておきます。

02特定事業所加算_有資格職員の配置割合要件(測定期間の考え方)01

ここでは「測定期間」・「資格」・「勤続年数」の3点を正しく理解することがポイントとなります。

「測定期間」

1点目、「測定期間」について解説します。

「有資格職員の配置割合」の「測定期間」には2種類あり、3月を除く前年度平均、または届出月直前3カ月平均のいずれかを常勤換算法で測定する方法です。

02特定事業所加算_有資格職員の配置割合要件(測定期間の考え方)02

なお、新規指定事業所など、前年度の実績が6カ月に満たない事業所は、前年度平均に基づく加算の届出を行うことはできず、必然的に届出月直前3カ月平均で測定することになります。この場合、届出月以降も毎月継続的に割合を維持しなければならず、下回った場合は直ちに届出を提出する必要があります。

そのため、仮に前年度実績で要件を満たす場合、1年間は有効であるため、2つの要件いずれも満たすなら、前年度平均を優先させた方が良いでしょう。

「資格」

2点目、「資格」について解説します。

03特定事業所加算_有資格職員の配置割合要件(資格の考え方)

先の「測定期間」の項目で解説した期間中、各月の前月末日時点で「資格」を有すか、または研修課程を修了していることが要件となります。「資格」については登録によってカウント、「研修」は修了証明書の交付を待たず、全カリキュラムの修了によることも可能です。

なお看護師については、1級課程の全科目免除とされていたことから、1級課程修了者に含めることができます。

「勤続年数」

3点目「勤続年数」について解説します。

「勤続年数」も「資格」同様、「測定期間」の項目で解説した期間中、各月の前月末日時点での勤続年数を指します。

産前産後休業、介護休業、病欠等の場合でも、雇用関係が継続していれば勤続年数に含めることができます。

04特定事業所加算_有資格職員の配置割合要件(勤続年数の考え方)

また年数については、同一法人内の別事業所はもちろんのこと、例え別法人であっても、代表者等が同一で、労務管理が一体化されているグループ会社の場合や、合併・事業承継により、実質的に事業が継続している場合の勤続期間も併せて計算することができます。

サ責の配置要件

続いて「サ責の配置要件」を再掲しつつ解説します。

05特定事業所加算_サ責の配置要件

まずは上位区分からです。

ここで言う「実務経験」は先に解説した「勤続年数」と異なり、所属法人を問いません。またサ責としての従事期間ではなく、「介護業務」に従事した期間でよく、資格取得または研修修了前の従事期間も含みます。

ただし、あくまでも従事期間の対象は「介護保険法におけるサービス」であるため、例え関連業界であっても、「障害者総合支援法における居宅介護」等を含めて計算することはできません。

次に下位区分です。下位区分を理解するためには、原則的なサ責の配置必要数を理解しておく必要があります。表をご覧ください。

06特定事業所加算_サ責の配置要件(サ責の配置必要数)

利用者40人に対して1人のサ責を配置する場合の、人数一覧です。青の列は、原則的な常勤のサ責人数を示します。40人ごとに1人ずつ増えていくのが分かります。緑の列はサ責の一部を非常勤、つまり常勤換算方法で置く場合の人数構成を示します。

サ責の配置要件の下位区分を用いる場合、「常勤換算方法を採用する事業所を除く」とされているため

青の列で利用者40人以下の場合と40人超80人以下の場合で、それぞれ+1名以上の常勤サ責を配置することになります。

07特定事業所加算_サ責の配置要件(サ責の配置必要数)下位区分

上位区分、下位区分、いずれの場合も、月の途中で要件を欠き、月末までに解消できない場合、翌月初日から加算不適用となります。

まとめ

「令和6年度法改正対応、訪問介護の開業講座」、第16回は「訪問介護の特定事業所加算_人材要件編」を解説しました。有資格職員の配置割合要件とサ責の配置要件についてご理解頂けたかと思います。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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