【令和6年度法改正対応】訪問介護のサービス提供責任者|サ責の人員基準、業務、資格要件|訪問介護の開業講座②

【令和6年度法改正対応】訪問介護のサービス提供責任者|サ責の人員基準、業務、資格要件|訪問介護の開業講座②
井ノ上剛(社労士・行政書士)

タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。近い将来、訪問介護の立ち上げを考えておられる方に向けて「令和6年度法改正対応、訪問介護の開業講座」をお届けします。第2回のテーマは「訪問介護のサービス提供責任者」です。サービス提供責任者の人員基準、資格要件、業務について詳しく解説します。

このコラム推奨対象者

・訪問介護事業所のサ責の人員基準を理解したい方
・訪問介護事業所のサ責の資格要件を理解したい方
・訪問介護事業所のサ責の業務を理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数69名、累積顧客数は北海道から沖縄まで757社、本社を含め8つの営業拠点で運営しています。コラムではサービス提供責任者の人員基準、資格要件、業務について詳しく解説します。

同じ内容を動画でも解説しています。

サ責の人員基準

初めに訪問介護事業所におけるサービス提供責任者の人員基準、つまり必要配置人数について解説します。以下、サービス提供責任者のことを「サ責」と略称で呼ぶことにします。

一般的に、「一人のサ責が担当できる利用者の数は40人まで」との理解があるかと思いますが、基本的にはその考え方で問題ありません。

細かく言うと指定基準第5条と解釈通知において、非常勤のサ責を置くことができる場合の規定が示されていますが、言葉で解説するよりも、一覧表の方が理解しやすいため、ご覧頂ければと思います。

サ責の担当利用者数(40人パターン)

グレーの列は利用者数を示します。利用者数は直近3カ月の平均数を言います。新規の場合は見込数となります。利用者数は40人刻みで考えます。

01【令和6年度法改正対応】訪問介護のサービス提供責任者|サ責の人員基準、業務、資格要件|配置基準40人パターン

青の列は、原則的な常勤のサ責人数を示します。40人ごとに1人ずつ増えていくのが分かります。基本的にはここまでの理解で問題ありませんが、緑の部分で、非常勤のサ責を常勤換算方法で置く場合の人数構成を解説します。

例えば、利用者数が40人超80人以下の場合、常勤のサ責を1人配置した上で、もう1人分のサ責を常勤換算方法によって配置することで、必要サ責数2人をクリアすることが認められます。

このように必要サ責数の一部を、非常勤サ責の常勤換算方法によって配置することで、人員配置を効率化することが認められているわけです。常勤換算方法についての詳細は、第1回の「人員基準」のコラムで詳しく解説していますので、併せてご参照下さい。

なお、サ責を常勤換算方法で配置する場合、所定労働時間の1/2以上勤務する非常勤職員であることが要件となります。極端に労働時間の短いサ責は、常勤換算の対象にできないという意味です。

サ責の担当利用者数(50人パターン)

さて、もう1つの特例を確認しておきましょう。ここまで「一人のサ責が担当できる利用者の数は40人まで」との前提で説明してきましたが、担当できる利用者の数を40人ではなく50人とする特例があります。少ないサ責人数で事業所を運営できるため、理解されることをお勧めします。便宜上、「40人パターン」、「50人パターン」と呼んで解説します。

グレーの列は利用者数を示します。40人パターンとの違いは、利用者数を50人刻みで考える点です。

02【令和6年度法改正対応】訪問介護のサービス提供責任者|サ責の人員基準、業務、資格要件|配置基準50人パターン

オレンジの列は、原則的な常勤のサ責人数を示します。40人パターンでは利用者数が40人以下の場合はサ責が1人でよかったところ、50人パターンではいきなり3人の常勤サ責が必要となります。一見すると40人パターンよりも厳しい基準であるように思えますが、利用者数が120人を超えるあたりで逆転現象が生じ、50人パターンの方が少ないサ責人数で対応できるようになります。

紫の列は、40人パターン同様に、非常勤のサ責を常勤換算方法で配置する際の人数構成を示しています。

同一の利用者数で、40人パターンと50人パターンを比較してみます。ご覧のように、利用者数200人、400人、600人、それぞれのケースで50人パターンの方がサ責の必要配置数が少なくて済むのが分かります。ただし、この50人パターンを適用するためには2つの条件があります。

03【令和6年度法改正対応】訪問介護のサービス提供責任者|サ責の人員基準、業務、資格要件|配置基準40人と50人の比較

条件1.サ責業務への専従

1点目の条件は、常勤のサ責のうち、最低1人以上は、サ責業務に専従することです。ここで言う専従とは、そのサ責が訪問介護員として働く時間が、1カ月あたり30時間以内であり、その他の全ての時間をサ責業務に従事することを言います。

条件2.サ責業務の効率化

2点目の条件は、サ責業務が効率化されていることです。解釈通知では、訪問介護員のシフト管理やサービス提供記録のシステム化、サ責業務のチーム制の導入などが挙げられています。これらはあくまでも一例であるため、全てを網羅する必要はなく、サ責業務効率化のために、一定の取り組みを行っていれば問題ありません。

以上2つの条件を満たすことにより、50人パターンを適用することができます。50人パターンの適用には届出は不要ですが、2つの条件を満たすことを証明できる資料を、事業所で保管するようにしましょう。

サ責の資格要件

続いて、訪問介護事業所におけるサ責の資格要件について解説します。指定基準第5条4項では、サ責の要件を介護福祉士および「厚生労働大臣が定める者」と規定しています。

ここで言う「厚生労働大臣が定める者」とは、具体的には、実務者研修修了者、看護師、准看護師、保健師、旧制度下の介護職員基礎研修過程または1級過程修了者です。

04【令和6年度法改正対応】訪問介護のサービス提供責任者|サ責の人員基準、業務、資格要件|サ責の資格要件

これらの資格保持者、または研修過程修了者をサ責として配置する必要があるわけです。

サ責の業務

本編の最後に、訪問介護におけるサ責の業務について解説します。サ責の業務は指定基準第24条と第28条に規定されています。

指定基準第24条では、訪問介護計画の作成業務が規定されています。訪問介護計画とは、ケアプランに沿って作成する、具体的な訪問サービスの計画書のことです。訪問介護計画には、利用者ごとに援助の方向性、訪問介護員の氏名、提供するサービス、所要時間、日程などを記載します。

サ責は、事業所に所属する訪問介護員らが、訪問介護計画に沿ったサービス提供を行っているかどうかを管理する責務を負います。

05【令和6年度法改正対応】訪問介護のサービス提供責任者|サ責の人員基準、業務、資格要件|サ責の業務

指定基準第28条では、さらに細かくサ責の業務が規定されています。具体的には、訪問介護利用契約の調整、利用者の状態や意向の把握、ケアマネジャーへの情報提供、サービス担当者会議への出席、訪問介護員への指導教育などです。

このようにサ責は、事業所の長である管理者のもと、現場のサービス提供に関するリーダーとしての役割を担うわけです。

まとめ

「令和6年度法改正対応、訪問介護の開業講座」、第2回では「訪問介護のサービス提供責任者」について解説しました。サービス提供責任者の人員基準、資格要件、業務についてご理解頂けたかと思います。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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