障害年金書類提出後の手続き|障害年金現況届、生計維持確認届、とは?【令和6年版】障害年金講座第5回:書類提出後の手続き編

障害年金書類提出後の手続き|障害年金現況届、生計維持確認届、とは?【令和6年版】障害年金講座第5回:書類提出後の手続き編
井ノ上剛
(社労士)

【令和6年版】障害年金講座を全5回に分けてお届けします。第5回の内容は「障害年金書類提出後の手続き」です。不服申し立て・障害年金現況届・生計維持確認届・障害状態確認届・額改定請求ついて詳しく解説します。ご相談はページ内の「フリーダイヤル」または「メールフォーム」からお寄せください。

このコラムの推奨対象者

・障害福祉事業所の経営者または職員の方で、利用者の障害年金のサポートが必要な方
・ご自身またはご家族に障害年金の受給可能性がある方
・不服申し立て・障害年金現況届・生計維持確認届・障害状態確認届・額改定請求について知りたい方

請求後の流れ(全体像)

初めに、障害年金の申請書類提出後の流れについて全体像をご説明します。書類後の審査により、支給が認められた場合は「決定通知書(年金証書)」が郵送で届きます。

支給が認められない場合には「不支給決定」と「却下決定」の2つのパターンがあります。審査の結果、障害の程度が障害等級に該当しないと判断された場合は「不支給決定」、加入要件や納付要件を満たしていない場合等で、審査自体が行われなかった場合は「却下決定」となり、いずれも通知書が自宅に郵送されます。

申請日から審査結果の通知が届くまでは約3~4ヵ月程度とされますが、審査中に追加書類の指示がある場合や審査に時間を要する内容である場合等は、結果が出るまでさらに時間がかかります。 

支給決定の場合

続いて、障害年金の支給が認められた場合の流れについてご説明します。障害年金の支給が決定した場合は、「決定通知書(年金証書)」が郵送されますが、この通知書には年金額、等級、次回更新日等の情報が記載されています。

決定通知書が届くと、年金の支払いが開始されます。年金は、原則、偶数月の15日(15日が平日でない場合は直前の平日)に請求時の書類に記載していた口座に振り込まれます。入金は後払い制で、支給日に支給されるのは前々月分と前月分です(例:4月15日に2月分と3月分が支給される)。

初回の支給日についてのみ奇数月に振り込まれることがありますが、以後は上記ルールに則って偶数月の定期振込となります。

支給決定後は、受給権者の状況によって障害年金現況届・生計維持確認届・障害状態確認届等の届け出が定期的に求められます。また障害の程度が変わったときや加算の対象となる配偶者や子供の状況に変化があった場合にも所定の届け出があります。

不支給決定・却下決定の場合 

続いて、障害年金の請求が認められなかった場合の流れについてご説明します。申請が認められず不支給決定や却下決定の通知が届いた場合でも、結果に不服がある場合は、もう一度支給決定を求める手続きをすることができます。その手段には2通りの方法があります。

不支給・却下の場合の手続き

①不服申立て
②再度の障害年金の申請

※①②を同時に行うことも可能です。

不服申立て

まず、不服申し立てから解説します。障害年金の不服申し立ての流れは下図のとおりです。

21障害年金の不服申し立て

不服申立ては、初回は住所地を管轄する地方厚生局の社会保険審査官に対して行います。これを「審査請求」といいます。

審査請求でも不服が解消されない場合は、厚生労働省に設置されている社会保険審査会に対して不服申し立てを行うことができ、これを「再審査請求」といいます。このどちらかで不服が認められれば、日本年金機構による処分の変更が行われます。

どちらでも認められなかった場合は、さらに裁判所に対して行政訴訟を提起することも可能です。

審査請求・再審査請求は、元々の申請内容を再度審査してもらう制度の為、原則、診断書を新たに提出することはできません(医師の意見書等の提出は可能)。

再度の障害年金の申請

次に、2つ目の方法である再申請について解説します。この方法は、障害年金の請求を最初からやり直す方法です。

障害年金は一度不支給・却下の決定が下されても、何度でも請求が可能です。 再請求する場合は、診断書、病歴就労状況等申立書等の書類をもう一度整備して日本年金機構に提出します。 しかし、初回の請求時に提出した書類はすべて日本年金機構で保管されており、新たに提出する書類はこれらとの整合性も審査される為、最初の書類との矛盾や不整合がないか注意する必要があります。

受給権者の手続き

ここからは年金の支給が開始された後の各種手続きについて解説します。

障害年金現況届

「障害年金現況届」は、1年に1回、受給権者の生存確認の為に、誕生月に日本年金機構から書類が届き、誕生月の末日を締め切りとして提出が求められるものです(20歳前障害の方は毎年7月)。これまではすべての受給権者に提出が義務付けられていましたが、現在は住民基本台帳ネットワークシステムが活用されるようになった為、住民票コードやマイナンバーが日本年金機構のシステムに登録されていない方のみの届け出になりました。提出を怠ると年金の支払いが一時止まるので注意が必要です。

生計維持確認届

「生計維持関係確認届」は、「子の加算」や「配偶者加給年金」を受けている人が対象で、加算の対象となっている家族と引き続き生計維持関係があるかを確認する為の書類です。提出が遅れると加算の支給が一時止まる為、遅滞なく提出をする必要があります。

障害状態確認届

障害年金の認定は、一度認定されれば、以後更新手続きが不要となる「永久認定」と更新の必要のある「有期認定」の2種類に分かれます。統計によると、永久認定は新規裁定の場合約6%、再認定の場合は約10%であり、四肢の切断や失明等、障害状態に変動が見込まれないものを除き、大半が有期認定となります。

有期認定の場合は、1年~5年に一度、更新手続きをする必要があります。更新の頻度は、それぞれの障害の程度に応じて日本年金機構の認定医が決定しており、傷病別に決まっているわけではありません。

更新の時期が近づくと、日本年金機構から「障害状態確認届」が郵送されます。これは、更新手続き用の診断書です。障害の状態が引き続き障害等級に該当するかどうかを確認することが目的で、審査により、障害の程度が前回の認定時より重くなり上位等級に該当すると判断された場合は、提出期限の翌月分から年金額が増額改定されます。

また、障害の程度が前回の認定時より軽くなり下位等級に該当すると判断された場合は、提出期限の4カ月後の年金額から減額改定または支給停止となります。

額改定請求

障害の程度が重くなった場合の年金額の変更は、「障害状態確認届」により自動的に行われますが、この提出時期を待たずに上位等級への変更を申し立てることができます。この申し立てをする場合は「額改定請求書」の提出が必要です。

ただし、改定の請求は、次の①②の日を過ぎていないと請求できないので注意が必要です。

額改定が可能な時期

①年金を受ける権利が発生した日から1年を経過した日
②障害の程度の診査を受けた日から1年を経過した日

障害の程度が増進したことが明らかである場合には、例外的に1年を待たずに請求可能です。

また3級の障害厚生年金を受けている人(過去に支給事由を同じくする障害基礎年金の受給権を有していた方を除く)は65歳以上になると、額改定の請求ができなくなります。

額改定請求書は提出日前3ヶ月以内に取得した診断書を添付し提出します。 診断書の記載内容により症状悪化有無が判定される為、医師に状況を正確に伝え、的確に診断書に反映してもらうことが重要です。額改定請求が認められれば、請求した月の翌月分から改定された年金額を受け取ることになります。

障害年金 請求代行のお問い合わせ

第5回「障害年金書類提出後の手続き」は以上です。タスクマン合同法務事務所では、障害年金専門の社会保険労務士が障害年金請求代行にご対しています。障害年金の受給可能性がある方はこちらからお問い合わせ下さい。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
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 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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