■相続人が義務を果たさない場合

1.ケーススタディ~相続人の約束違反

ケーススタディ

Aの相続人はBCD(ともに子)である。
Aの相続財産は土地家屋(合計2000万円)と現金1000万円である。
Aが死亡した。
BCDは
「Bが土地家屋を相続し、BはCに1000万円払う Dは現金1000万円を相続する」
旨の遺産分割協議をした。
しかしBはCに1000万円を払わない。

2.解説~相続人の約束違反

このようなケースでCが、

「Bの違反を理由に、Cは遺産分割協議を解除し、やり直しを求めることができるか?」

が問題となります。

3.相続人の約束違反について最高裁の判例

「遺産分割協議はその成立により終了している。その後は遺産分割協議により発生した 債権と債務が個別の相続人間に残るだけである」

ここで遺産分割協議のやり直しを認めると、BC間のトラブルに関係の無いDの立場が安定しません。

つまり、
「後はCがBに対して1000万円を請求するだけ」 の関係が残るというわけです。遺産分割のやり直しはできないという結論に至ります。

■合意による遺産分割協議の解除

1.全員が合意している場合、遺産分割協議は解除できる?

確かに、BCDが「協議成立→合意解除→協議成立→合意解除・・・」と繰り返すことで法律関係がずっと不安定になると言えます。

反面「私的自治の原則」に従うと、どのように分割協議と解除を重ねてもそれは相続人の自由ということも言えます。

2.全員が行為している場合の遺産分割協議について 最高裁の判例

「相続人の合意解除による遺産分割協議のやり直しは、仕方ない」
(最1判平2.9.27) 意訳

もっとも、不動産取得税・相続税その他の課税関係については「だれが納税義務者か」について税務当局がどのように判断するかに注意する必要があります。