集団指導とは?不参加だったらどうなる?介護障害福祉事業の集団指導の開催通知、内容、方法、主催について詳しく解説
集団指導は介護保険施設のスタッフ向けに行政機関が主催するプログラムであり、介護サービスの運営方法や法律の変更、高齢者虐待事例などを学ぶことを目的としています。年に一度以上開催され、介護サービス提供施設は全て参加が必要となります。今回は「集団指導の目的と実施方法」について詳しく解説します。
このコラムの推奨対象者
・集団指導の目的と内容について関心のある方
・参加対象となる介護保険施設に関する知識を整理したい方
・指導の実施方法と頻度の詳細について知りたい方
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は、社労士、税理士、行政書士、司法書士が合同し、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した法務事務所です。このコラムの執筆時(令和6年1月)現在、職員数56名、介護障害福祉事業の累積支援実績662社(北海道~沖縄)、本社を含め7つの営業拠点で運営しています。コラムでは集団指導について詳しく解説します。
同じ内容を解説する動画もご準備しています。
集団指導とは?
集団指導とは都道府県知事や市町村長が主催して行う、介護保険施設のスタッフ向けの大切なプログラムです。集団指導の目的は、介護サービスの運営方法や、介護報酬の請求方法、法律の変更内容、高齢者虐待などの過去の事例について学ぶことにあります。要は、介護施設が正しく効率的に運営されるように、行政機関がサポートするためのものであると言えるわけです。
集団指導は、年に一度以上開催され、都道府県や市町村が指定または許可した全ての介護保険施設が対象となります。つまり、介護サービスを提供する施設なら、全て参加する必要があるということになります。また一般の介護保険施設だけでなく、特定の法律に基づいて介護サービスを提供し、介護報酬を請求している医療機関や薬局も対象に含まれます。
指導は会場で講習形式またはオンライン配信形式で行われます。指導の内容は、それぞれのサービスや施設の種類に合わせて行われますが、新しく指定された施設や管理者が変わった施設に対しては、別途特別枠で実施されることもあります。参加者は施設の管理者や現場責任者が望ましいとされています。集団指導は、行政手続法第36条の「複数の者を対象とする行政指導」として行われることになります。
このように集団指導は、介護保険施設のための重要なプログラムであるわけです。
集団指導での研修内容
集団指導の実施は、年度末または年度初めに行うことが望ましいとされています。運営指導と集団指導を連動させることで、効果を高めるためです。指導の内容や時期は、介護保険施設の種類や地域の状況に応じて異なりますが、例えば以下のような内容が集団指導で取り上げられています。
・介護保険制度の基本的な仕組みや考え方
・介護保険制度の最新の改正情報
・人員、施設設備、運営基準の改正内容
・報酬基準の改定内容
・運営指導での指摘事項の解説
・高齢者虐待防止のための取り組み
・身体拘束の廃止
・認知症に関する施策
・労働法規の遵守
・人材確保の対策
・消防法関連事項
・災害時の対策
・衛生管理
・地域支援事業の推進
・医療と介護の連携
・法令等の遵守、業務管理体制の報告
・報酬請求に関する事務
・事故や苦情の事例と報告方法
・ケアマネジメントやサービス提供に関するプロセス
これらのトピックは、介護サービスの質を高めるために重要であり、特に新規で指定を受けた施設にとっては必須情報です。制度や報酬の改定は3年ごとに行われますが、毎年これらの内容を確認し、誤解や間違いを防ぐことが重要となります。
特に、利用者の尊厳や自立支援に直結する高齢者虐待防止や身体拘束の廃止などのトピックは、介護保険法の目的を体現するものであり、極めて重要なものとなります。また労働法規や消防法など他の法律に関する内容は、専門家による講義でカバーされることもあります。
実施通知の発送
集団指導は文書によって日時、場所、内容などが明記され通知されます。また、指導の趣旨、責任者、根拠法令、参加すべき者の役職名、指導の具体的内容、プログラムなども明記されます。管理者等が参加スケジュールを調整できるよう、原則として2ヶ月前に通知されることが望ましいとされています。
オンライン会議システムを使用する場合や、自治体のホームページでの資料掲載や動画配信を行う場合も、同様に2ヶ月前までに通知することが推奨されています。電子メールまたは郵送などで通知されますが、参加申し込みが必要な場合で期限後の反応がない場合には、個別に確認するなどの対応が取られています。
集団指導の実施とその後の対応
集団指導では、質問や個別相談の機会が設けられます。行政機関と介護施設の双方が対話することで、より具体的で理解しやすい指導となることが期待されているわけです。また地方において単独実施するのが難しい場合には、都道府県と市町村の合同実施が検討されることがあります。集団指導に参加できなかった施設には、資料を送付するなどして情報が伝達されます。
また、オンラインツールの活用も考えられます。これにより、動画配信やホームページ上での資料提供が可能となり、遠隔地にいる参加者にも情報を届けることができます。この場合も伝達の漏れを防ぐために、視聴状況の把握や参加者からの質問への対応も併せて行われています。
記名式アンケート等により、特定施設等の内容理解が不十分な場合や、集団指導に参加しない場合には、これらの施設に対して優先的に運営指導が実施される可能性がある、ということを念頭におきましょう。
まとめ
今回のコラムでは集団指導について解説しました。このコラムの内容を端的にまとめると、以下の通りとなります。
論点
・集団指導は、都道府県知事や市町村長が主催し、介護保険施設スタッフ向けに実施されるプログラムで、介護サービスの運営方法や法律の変更内容などを学ぶことを目的としています。
・年に一度以上開催され、介護保険施設はもちろん、特定の法律に基づく医療機関や薬局も含まれます。内容はサービスや施設の種類に応じて異なります。
・通知は文書によって行われ、日時、場所、出席者、内容などが明記されます。質問や個別相談の機会も設けられ、オンラインツールの活用も考慮されています。
最後までお読み頂き、まことにありがとうございます。
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【この記事の執筆・監修者】
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◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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