【令和6年度法改正対応】生活援助の単位数|通院等乗降介助と身体介護の適用関係、院内介助の位置付け|訪問介護の開業講座⑬
タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。近い将来、訪問介護の立ち上げを考えておられる方に向けて「令和6年度法改正対応、訪問介護の開業講座」をお届けします。第13回のテーマは「生活援助と通院等乗降介助」です。生活援助の単位数、通院等乗降介助と身体介護の適用関係、院内介助の位置付けについて詳しく解説します。
このコラム推奨対象者
・生活援助の単位数の考え方を理解したい方
・通院等乗降介助の単位数の考え方を理解したい方
・通院等乗降介助と身体介護の適用関係を理解したい方
・院内介助の位置づけを理解したい方
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数74名、累積顧客数は北海道から沖縄まで812社、本社を含め8つの営業拠点で運営しています。コラムでは生活援助の単位数、通院等乗降介助と身体介護の適用関係、院内介助の位置付けについて詳しく解説します。
同じ内容を動画でも解説しています。
生活援助の単位数
初めに生活援助の単位数の考え方を解説します。生活援助とは、調理、洗濯、掃除などの日常生活の家事援助を指します。身体介護と異なり、生活援助を提供するためにはケアプランに「利用者本人または同居家族では日常生活の家事を行うことができない理由」を記載する必要があります。
この点に関しては以下の動画で詳しく解説しています。併せてご参照下さい。
生活援助には大きく分けて2つの区分があります。
1点目は生活援助のみ提供する場合です。この場合の単位数は20分以上45分未満で179単位、サービスコード内の略称は生活援助2、45分以上で220単位、サービスコード内の略称は生活援助3となります。1回あたりの上限時間に定めはありませんが、60分を上限と定める事業所が多いと思います。
この場合の時間数について、生活援助に多少の身体介護が含まれる場合には、全体を生活援助として捉えます。具体例を挙げると、35分の掃除を行うために5分程度の移動介助を行う場合には、40分の生活援助とする、という意味です。
2点目は身体介護に前後して、生活援助を提供する場合です。この場合の単位数は、20分以上45分未満で65単位、サービスコード内の略称は生活1、45分以上70分未満で130単位、サービスコード内の略称は生活2、70分以上で195単位、サービスコード内の略称は生活3、となります。
表で示す通り、所要時間の区分に対するサービスコード内の略称番号が一致していない点に注意が必要です。
通院等乗降介助
続いて通院等乗降介助について解説します。
大前提となりますが、通院等乗降介助を算定するためには、介護タクシーの許可が必要です。介護タクシー許可制度については別コラムで詳しく解説しています。併せてご参照下さい。
介護タクシー開業前に整理したい、道路運送法 《4種類の介護タクシー》比較
通院等乗降介助とは、要介護者が病院等へ車両で通院する場合の乗車介助、降車介助を、介護保険でカバーするものです。誤解されやすいですが、「タクシー料金」自体は介護保険の対象にはなりません。
通院等乗降介助を算定するためには、車両への乗車介助・降車介助を行ったうえで、
・乗車前介助
・通院先での受診手続き、移動介助
以上、2つのうち、どちらかの介助を行う必要があります。
通院等乗降介助の単位数は往路、復路それぞれ97単位です。つまり、1回の通院等乗降介助を行った場合、往復計194単位、金額に置き換えると約2,000円となります。現実的な所要時間としては2時間以上かかる場合もあるため、乗車中のタクシー料金を加えたとしても、これでは事業所側の採算が合いません。
そこで通院等乗降介助の報酬算定に2つの例外を設け、事業所側への配慮がなされています。
通院等乗降介助と身体介護の適用関係
本編の最後に通院等乗降介助と身体介護の適用関係について、2つの例外を解説します。
要介護度1~5
1点目は要介護度に関わらず、通院外出に際して、通院とは直接関係しない身体介護、具体的には入浴介助などを30分から1時間程度以上行い、それが通院等乗降介助の時間より長い場合です。
この場合は通院等乗降介助に代えて、全体の所要時間を身体介護として報酬を算定し、単位数の増加を見込むことができます。
要介護度4~5のみ
2点目は要介護度4または5の利用者に限定されますが、通院外出に直接関係する手間のかかる身体介護を20分から30分程度以上行う場合です。
この場合も通院等乗降介助に代えて、全体の所要時間を身体介護として報酬を算定し、単位数の増加を見込むことができます。
院内介助の考え方
なお病院内の移動介助などいわゆる院内介助は、医療機関スタッフの仕事であるため、原則として介護保険の算定対象とはなりませんが、病院側の体制や利用者の状況によっては算定対象とできる場合があります。先に示した2つの例でも、院内介助を含む全体の所要時間を身体介護として捉え、単位数を計算することができます。
ただし、通院等乗降介助97単位の利用者については、院内介助も97単位の中に包括すると考えるため、単位数の増加はありません。
通院等乗降介助と身体介護の適用関係を正しく理解し、報酬算定に誤りがないように注意しましょう。
まとめ
「令和6年度法改正対応、訪問介護の開業講座」、第13回は「生活援助と通院等乗降介助」について解説しました。生活援助の単位数、通院等乗降介助と身体介護の適用関係、院内介助の位置付けについてご理解頂けたかと思います。
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【この記事の執筆・監修者】
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ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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