小さな気遣い-OCB|雰囲気を良くする助け合い精神、OCBが続く仕組み、OCBを生み出す土台【職員定着シリーズ②】

第2回 雰囲気を良くする助け合い精神 ── 職務を超えた小さな気遣い
井ノ上剛(社労士・行政書士)

タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。職員の定着にお悩みではないでしょうか?実はこの問題、給与や労働条件だけでは解決できない、いくつもの要素が複雑に絡み合っています。福祉起業塾では、この問題を全7回のシリーズで解き明かしていきます。第2回のテーマは【小さな気遣い-OCB】です。雰囲気を良くする助け合い精神、OCBが続く仕組み、OCBを生み出す土台について詳しく解説します。

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1.小さな気遣いOCB_経路図

このコラム推奨対象者

・会社経営者の方
・事業所の管理者の方
・雰囲気を良くする助け合い精神について理解したい方
・OCBが続く仕組みについて理解したい方
・OCBを生み出す土台について理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数86名、累積顧客数は北海道から沖縄まで1020社、本社を含め12の営業拠点で運営しています。今回の福祉起業塾では【小さな気遣い-OCB】をテーマに取り上げ、雰囲気を良くする助け合い精神、OCBが続く仕組み、OCBを生み出す土台について詳しく解説します。

身近にある小さな気遣い-OCB

はじめに、身近にある小さな気遣い、OCBについて解説します。

忙しい職員の仕事を進んで助ける。ほかの職員の急な欠勤によるシフト変更があっても「困ったときはお互いさま」と快く受け入れる。ルール変更の前に、影響を受ける職員へ事前に一声かけておく。皆さんの職場にも、こうした場面はないでしょうか。

2.小さな気遣いOCB_イメージ

これらはいずれも、職務として命じられた役割ではなく、本人の意思による自発的な行動です。こうした行動は、専門的には組織市民行動、OCB(Organizational Citizenship Behavior)と呼ばれます。いわゆる「小さな気遣い」です。一つひとつは小さくて目立ちませんが、多くの職員によって積み重ねられると、職場の働きを確実に高めていきます。

小さな気遣い(OCB)の中身については、5つに整理されています。

小さな気遣い(OCB)

・困っている職員への手助け
・期待以上の結果を出そうとする行動
・つまらないことで騒がないおおらかな姿勢
・影響を受ける職員への先回りの気配り
・場の空気を読みながらの積極的な発言

以上の5つに共通するのは、職場の一員として、周囲に目を配りながら自分から動く姿勢です。

また、こうしたOCBは、職場全体にも良い効果をもたらします。職員どうしの支え合いで事が足りる分、管理者は細かな調整から解放されると同時に、部門や職員の間の協業も円滑になります。そして、支え合いと円滑な連携のある職場は、働きやすい職場となり、職員の定着が高まっていくのです。

小さな気遣い-OCBが続く仕組み

続いて、OCBが続く仕組みについて解説します。

OCBは本来の職務ではないため、給与や手当に直接つながりません。それでも職場に必要とされるのはなぜでしょうか。鍵は、管理者の存在にあります。

管理者は、OCBを行う職員を好意的に見る傾向があります。仮に人事評価で、OCBを評価する項目がない場合でも、長い目で見れば評価に反映され、賞賛され、頼りにされるようになります。OCBによって、本来管理者が行うべき調整や指示が減り、管理の仕事が補われているからです。つまり、公式の制度の外にある場合でも、非公式に報われる仕組みが自律的に働くことがあるのです。

3.小さな気遣いOCB_管理者は好意的に見る

一方で、OCBは誰にでも無条件にできるものではない点に、注意が必要です。実践には業務理解と状況判断力が求められます。業務理解については、自分の仕事だけでなく、関連する仕事や相手の状況まで把握していないと、善意がかえって混乱を招きます。具体的には、元々存在したルールを知らない人が、良かれと思って書棚を整理した結果、ほかの職員が置き場所を見失い、混乱してしまうような場面です。

4.小さな気遣いOCB_業務理解が重要02

状況判断力については、例えば職場で問題が発生したとき、どこまでが騒ぐに値しない軽微な問題で、どこからが職場として対応すべき問題なのか、見きわめる力です。このように考えると、OCBは自然発生を待つのではなく、職場の方針として科学的に向き合い、促していくことが重要であるといえます。

小さな気遣い-OCBを生み出す土台

最後に、OCBを生み出す土台について解説します。

OCBは、どのような職場から生まれるのでしょうか。研究によると、その土台は4つあると考えられています。

職場との結びつき

1点目は、職場との結びつきです。第1回で解説した感情面の結びつきが強い職員ほど、OCBを行いやすくなります

仕事への満足感

2点目は、仕事への満足感です。自分の仕事に満足している職員ほど、OCBを行う傾向が高まります。この点は第4回で解説します。

公平な組織風土

3点目は、公平な組織風土です。特に、組織の意思決定のプロセスが公平だと感じられる職場では、OCBが育まれやすい傾向があります。プロセスの公平さについては、第5回で解説します。

リーダーの支援と信頼

4点目は、リーダーの支援と信頼です。リーダーから支えられた職員は、期待された以上の仕事をしようと考えます。また、リーダーへの信頼感も、OCBを後押しします。リーダーシップについては、第6回で解説します。

このように、OCBは、職員の性格や善意だけで生まれるものではなく、職場との結びつき、満足できる仕事、公平な組織風土、信頼されるリーダーという土台の上に育つものなのです。

まとめ

今回のコラムでは小さな気遣い-OCBについて解説しました。雰囲気を良くする助け合い精神、OCBが続く仕組み、OCBを生み出す土台についてご理解いただけたかと思います。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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