人材の多様性(ダイバーシティ)|多様な人材が根づく職場、多様性を力に変える工夫、定着に向けた課題【職員定着シリーズ⑦】

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タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。職員の定着にお悩みではないでしょうか?実はこの問題、給与や労働条件だけでは解決できない、いくつもの要素が複雑に絡み合っています。福祉起業塾では、この問題を全7回のシリーズで解き明かしていきます。第7回のテーマは【人材の多様性(ダイバーシティ)】です。多様な人材が根づく職場、多様性を力に変える工夫、定着に向けた課題について詳しく解説します。


このコラム推奨対象者
・会社経営者の方
・事業所の管理者の方
・多様な人材が根づく職場について理解したい方
・多様性を力に変える工夫について理解したい方
・定着に向けた課題について理解したい方
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数86名、累積顧客数は北海道から沖縄まで1020社、本社を含め12の営業拠点で運営しています。今回の福祉起業塾では【人材の多様性(ダイバーシティ)】をテーマに取り上げ、多様な人材が根づく職場、多様性を力に変える工夫、定着に向けた課題について詳しく解説します。
外国人材の受け入れ方を例に
はじめに、外国人材の受け入れ方を例に、ダイバーシティについて解説します。
少子高齢化のもとで労働力人口の減少が進み、介護・障害福祉の現場でも、外国人材をはじめ多様な人材の受け入れが広がっています。このように、国籍や性別、年齢、働き方など、さまざまな背景を持つ人材が職場にいることを、ダイバーシティと呼びます。


ここで押さえておきたいのは、ダイバーシティへの適応は、もはや事業所が選択するかどうかの問題ではなくなっている、という点です。つまり、経営者や管理者が積極的であるかどうかにかかわらず、多様な人材とともに働くことを前提に、職場づくりを進める必要がある時代に移り変わっているのです。
ポイントは、その受け入れ方にあります。陥りやすい2つの失敗事例を見てみましょう。
多数派のやり方を押しつける(同化)
1点目は、多数派のやり方を押しつける方法で、専門的には「同化」といいます。外国人職員に悪気なく「ここは日本だから日本のやり方を覚えてほしい」との姿勢で臨む場面です。一見当然のようですが、これでは少数派の職員は、自分たちが尊重されず、低く評価されていると感じてしまいます。また、既存の仕事の進め方を見直す機会も失われます。
特定の業務に専属させる(分離)
2点目は、特定の業務に専属させる方法で、専門的には「分離」といいます。「外国人の利用者さんは、すべてあの人に任せよう」という、一見合理的な配置です。しかし、これを続けると、その職員は担当範囲が狭められ、職場の中に見えない仕切りが生まれます。また、成長や昇進の機会も閉ざされてしまいます。
いずれの方法にも問題があるとすれば、どうすればよいのでしょうか。次の章で見ていきます。
多様性を力に変える工夫
ここでは、多様性を力に変える工夫について解説します。
前の章で見た2つのやり方に共通する問題は、既存の仕事のやり方を変えず、そこに人を当てはめようとしている点にあります。これに対して、最も望ましいのは、多様な人材を受け入れるために、仕事のやり方そのものを変えていく方法です。専門的には「統合」といいます。属性の違いを超えてメンバーをまとめていくアプローチです。
日本語の読み書きが苦手な外国人職員が、手書きのサービス提供記録に苦労している場面を考えてみましょう。
これを「本人が日本語を勉強すべき問題」で終わらせるのが、前の章の「押しつける」やり方です。そうではなく、これを機に、スマートフォンやタブレットで入力できる、翻訳機能の付いた記録ソフトの導入を検討します。すると、外国人職員はミスなく記録できるようになり、記録をとおして日本語を学ぶこともできます。


さらに、定型入力や音声入力の仕組みは、日本人職員にとっても記録の負担を軽くするというメリットがあります。外国人職員の困りごとをきっかけに、職場全体が、より良い仕事の進め方を手に入れるのです。
この場合、外国人職員は、やり方を「押しつけられる側」でも「分離される側」でもなく、職場を良くする担い手になります。このように、多様な人材を受け入れるとは、受け入れる側が変わる覚悟を持つことでもあるのです。
今、多様性が必要な理由
続いて、今、多様性が必要な理由について解説します。冒頭で述べた通り、人材不足の観点から、多様な人材の受け入れなくして、事業の継続は難しくなっています。いわば、事業を守るための理由です。しかし多様性には、より積極的な、攻めの理由もあります。
多様化する利用者ニーズへの対応
1点目は、多様化する利用者ニーズへの対応です。利用者の背景や価値観が多様になるほど、そのニーズを肌感覚で理解できる職員が職場の中に必要になります。例えば障害福祉の現場にあるピアサポート、つまり似た立場の人によるサポートがこれに近いでしょう。
新しい発想の創出
2点目は、新しい発想の創出です。属性の近い人が集まる職場は、居心地は良くても、新しい発想が生まれにくいという弱みを抱えます。
一方、多様なメンバーがいれば、それぞれが異なる情報や視点を持ち寄ることができ、その組み合わせから新しい工夫が生まれやすいはずです。つまり、多様性は、同じ発想しかできない職場の弱みを克服する力になる可能性があるのです。
定着に向けた課題
最後に、多様性を職場に根づかせるうえでの課題について解説します。
ここまで多様性の力を見てきましたが、良いことばかりではありません。人は、共通の経験や価値観を持つ相手に好意を抱きやすく、属性の近い人同士で固まりやすいものです。


そのため、経営の世界では、多様性が職場のまとまりを損ない、かえって成果を下げるおそれも指摘されています。
注意したいのは、取り組みの動機です。「やらないと取り残される」、「他の事業所もやっている」といった消極的な理由での取り組みや、数値目標の達成それ自体が目的になった取り組みは、形だけの多様化に終わってしまいます。
採用の数だけ揃えても、受け入れた後のフォローがなければ、職場は結局「押しつける」か「分離する」かに逆戻りしてしまうのです。問われているのは、受け入れた人たちが実際に働きやすい職場を、自らの意思でつくっていけるかどうかです。
そして、多様性は国籍だけの問題ではありません。時短勤務の職員が、身を縮める思いで退勤していく職場を思い浮かべてください。


子育てや介護と両立する職員、働き方の異なる職員もまた、多様な人材です。
誰もが肩身の狭さを感じずに働ける職場づくりこそが、多様な人材が根づく土台になるのです。
まとめ
今回のコラムでは人材の多様性(ダイバーシティ)について解説しました。多様な人材が根づく職場、多様性を力に変える工夫、定着に向けた課題についてご理解いただけたかと思います。
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【この記事の執筆・監修者】
- (いのうえ ごう)
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ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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