ストレスの軽減|職場の内外にあるストレスの原因、ストレスの3つのサイン、ストレスに対するサポート【職員定着シリーズ③】

第3回 ストレス軽減のための支援策 ── 個人任せにしていませんか
井ノ上剛(社労士・行政書士)

タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。職員の定着にお悩みではないでしょうか?実はこの問題、給与や労働条件だけでは解決できない、いくつもの要素が複雑に絡み合っています。福祉起業塾では、この問題を全7回のシリーズで解き明かしていきます。第3回のテーマは【ストレスの軽減】です。職場の内外にあるストレスの原因、ストレスの3つのサイン、ストレスに対するサポートについて詳しく解説します。

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1.ストレスの軽減_経路図

このコラム推奨対象者

・会社経営者の方
・事業所の管理者の方
・職場の内外にあるストレスの原因について理解したい方
・ストレスの3つのサインについて理解したい方
・ストレスに対するサポートについて理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数86名、累積顧客数は北海道から沖縄まで1020社、本社を含め12の営業拠点で運営しています。今回の福祉起業塾では【ストレスの軽減】をテーマに取り上げ、職場の内外にあるストレスの原因、ストレスの3つのサイン、ストレスに対するサポートについて詳しく解説します。

職場の内外にあるストレスの原因

はじめに、職場の内外にあるストレスの原因について考えてみます。

まず押さえておきたいのは、同じ出来事でも、受け止め方によってストレスは異なるという基本的な視点です。具体的には、同じ困難なケースを前にして、「自分には無理かもしれない」と否定的に捉える職員もいれば、「やってみよう」と肯定的に受け止める職員もいます。

2.ストレスの軽減_捉え方

つまり、ストレスは出来事そのものから生じるのではなく、その出来事を本人がどう受け止めるかによって生じるのです。だからこそ、人事労務の世界では、原因をすべて取り除くことよりも、どう対処し、どう軽減するかに着目します。この考え方がスタートラインです。

そのうえで、ストレスの原因、専門的にはストレッサーと呼ばれるものを、職場内外に分けて見ていきます。

職場内のストレッサーの代表例

職場内のストレッサーの代表例として、仕事そのものの量、複数の役割の板挟み、役割のあいまいさ、裁量権のなさ、仕事の期限などを挙げることができます。

職場外のストレッサーの代表例

一方、職場外のストレッサーについては、家庭問題やライフイベント上の出来事、経済面や健康面などの問題が挙げられます。例えば、子どもの迎えの時間を気にしながら、期限に追われて働く職員の姿を思い浮かべてください。

3.ストレスの軽減_職場内外に多くのストレッサー

このように、職員は職場内外に、多くのストレッサーを抱えている可能性があるのです。

ストレスの3つのサイン

続いて、ストレスの3つのサインについて解説します。

ストレスによって職員に生じる反応、いわばストレスのサインは、体、心、行動の3つに現れます。

体に出る反応

体に出る反応は、胃の痛みやぜんそくなど、身体の症状として明確に現れるものです。

心に出る反応

心に出る反応は、モチベーションの低下、不機嫌、気分の落ち込みなどです。

行動に出る反応

行動に出る反応は、喫煙や飲酒の増加、遅刻、欠勤などです。

また、介護・障害福祉の現場では、「燃え尽き症候群(バーンアウト)」にも注意が必要です。この症状は、努力が報われないときや、仕事の成果が目に見えにくいときに生じやすいとされています。

懸命に対応しているのに、利用者から心ない言葉を浴びせられるなど、献身的な努力が結果に結びつかない経験の積み重ねが、心と体のエネルギーを枯渇させます。対人サービスに従事する人に多く見られることが知られています。

夜、事業所で記録の手を止め、「あんなにがんばったのに」とつぶやく職員がいたら、それはバーンアウトの兆しかもしれません。行動に出るサインが退職につながる前に、周囲が気づくことが大切です。

4.ストレスの軽減_燃え尽き症候群(バーンアウト)

ストレスに対するサポート

最後に、ストレスに対するサポートについて解説します。

ストレスの原因そのものを取り除いたり、自分の考え方や感じ方を変えたりすることも、有効であるとは言えますが、本コラムでは、組織としての取り組みに焦点を当てているため、それらについては言及せず、組織として職員のストレスにどのように向き合うべきかを考えます。

この取り組みは専門的には、ソーシャルサポートと呼ばれています。代表例は、共感して話を聴く感情面の支え、本人の仕事や努力を認めてフィードバックすること、仕事を実際に手伝うなど形のある支援、そして問題解決に役立つ情報や助言の提供です。特に重要なのが、これらのソーシャルサポートを上司が行うことです。

5.ストレスの軽減_ソーシャルサポート

例えば、面談の場で職員の努力をまず認め、そのうえで一緒に考える姿勢を示すことが、何よりの支えになります。

なお、労働安全衛生法により、常時50人以上の職員がいる事業所では、ストレスチェックの実施が義務づけられています。さらに法改正により、2028年4月からは50人未満の事業所にも義務が広がります。ストレス対策は、組織運営上の問題にとどまらず、事業所の法的な責任でもあることに、ご留意ください。

まとめ

今回のコラムではストレスの軽減について解説しました。職場の内外にあるストレスの原因、ストレスの3つのサイン、ストレスに対するサポートについてご理解いただけたかと思います。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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