介護分野における外国人労働者の在留資格制度|在留資格制度の基礎知識、技能実習・育成就労・特定技能・EPA特定活動、最終到達点である在留資格「介護」

介護分野における外国人労働者の在留資格制度_コラムサムネ
井ノ上剛(社労士・行政書士)

タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。深刻な介護人材不足を背景に、外国人材とともに介護の未来を築くための在留資格制度が、大きな転換期を迎えています。今回のコラムでは介護分野における外国人労働者の在留資格制度をテーマに取り上げ、在留資格制度の基礎知識、在留資格:技能実習・育成就労・特定技能・EPA特定活動、最終到達点である在留資格「介護」について詳しく解説します。

このコラム推奨対象者

・会社経営者の方
・事業所の管理者の方
・在留資格制度の基礎知識について理解したい方
・在留資格:技能実習・育成就労・特定技能・EPA特定活動について理解したい方
・最終到達点である在留資格「介護」について理解したい

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数86名、累積顧客数は北海道から沖縄まで984社、本社を含め12の営業拠点で運営しています。今回の福祉起業塾では【介護分野における外国人労働者の在留資格制度】をテーマに取り上げ、在留資格制度の基礎知識、在留資格:技能実習・育成就労・特定技能・EPA特定活動、最終到達点である在留資格「介護」について詳しく解説します。

同じ内容を動画でも解説しています。

在留資格の基礎知識

はじめに、在留資格の基礎知識から確認します。在留資格とは、入管法に基づき、外国人が日本に滞在し一定の活動を行うことを認める法的な資格を指します。日本では外国人の入国・在留は許可制であり、法務大臣の許可なく滞在・就労することはできません。

現行の在留資格は29種類あり、介護分野で働ける在留資格は主に4つです。具体的には介護、特定技能1号、技能実習、EPAに基づく特定活動です。このほか、日本人の配偶者等や定住者などの身分系の在留資格を持つ方は、就労制限がなく介護分野でも自由に働くことができます。

なお、在留資格とビザ(いわゆる査証)は法律上全く別の概念です。ビザは外務省が発給する入国の推薦状であり、上陸審査を通過した時点でその役割を終えます。一方、在留資格は入国後の滞在と活動の法的根拠です。「就労ビザ」という表現が広く使われていますが、法律上この用語は存在しません。混同にはご注意ください。

在留資格「技能実習(育成就労)」

ここからは4つの在留資格について解説します。

まずは、技能実習制度と育成就労制度です。1993年に創設された技能実習制度は、開発途上国への技能移転による国際貢献を目的としています。しかし実態は労働力確保の手段であり、転籍制限に伴う人権問題が国際的批判を受けてきました。これを踏まえ、2027年4月に育成就労制度へ移行します。新制度は本人意向による転籍が可能となるとともに、人材確保を正面から掲げた大きな転換であると言えます。

来日する方は、本国で介護経験を持たない若年層が中心で、日本で一から技能を身につけるルートです。技能の習得度合いに応じて在留期間が定められており、1号1年、2号2年、3号2年の最長5年となります。日本語要件は入国時N4以上、2号移行時にN3です。新たに設けられる育成就労でも介護分野ではN4相当が求められる見込みです。

育成就労の在留期間は原則3年ですが、他の在留資格への移行試験に不合格の場合、最大1年の延長が認められます。以下、育成就労を前提に解説します。育成就労のキャリアパスは2つあります。

育成就労のキャリアパス

①特定技能1号へ移行し、就労を続けながら介護福祉士を取得して在留資格「介護」に進む標準ルート

②実習期間中に実務経験3年以上を積み、介護福祉士に合格して直接在留資格「介護」へ変更するルート

ただし②の場合、N4レベルから短期間で国家試験に合格する必要があり、難易度は極めて高いと言えます。

在留資格「特定技能1号」

続いて、特定技能1号について解説します。2019年に創設されたこの制度の目的は、人材確保が困難な分野に即戦力の外国人を受け入れることにあります。従来の「専門職限定」方針を転換した入管政策上の重要な転換点です。来日する方は大きく2つのタイプに分かれます。

特定技能1号で来日する方のタイプ

①海外で技能試験と日本語能力試験N4以上に合格し直接入国する即戦力人材

②技能実習2号修了後に試験免除で移行する人材(こちらが多数)

在留期間は原則として通算5年です。この間に介護福祉士を取得すれば在留資格「介護」に移行できます。2025年4月からは訪問介護での従事も、条件付きで認められています。

なお、本来、特定技能には1号と2号がありますが、介護分野には2号がありません。その理由として、在留資格「介護」が更新上限なし・家族帯同可能という特定技能2号同等以上の権利が認められているためです。

在留資格「EPA(特定活動)」

続いて、EPA(特定活動)について解説します。この制度は他の3制度と異なり、労働力確保ではなく、二国間の経済連携強化を目的とした外交的枠組みです。対象国はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国に限定され、年間各国最大300名の受入れ枠が設けられています。

来日する方は、本国の看護学校や大学を卒業し、政府の選抜を経た専門職です。母国でも活躍できる人材であると言えます。入国時の日本語要件は、インドネシアとフィリピンがN4程度以上、ベトナムはN3以上です。

在留期間は原則4年で、介護施設で就労・研修しながら介護福祉士試験を受験し、合格すれば在留資格「介護」に移行することができます。

不合格の場合でも一定条件を満たせば1年間の延長が認められます。それでも不合格の場合は特定技能1号への移行が可能で、4年間適切に従事した人は技能試験と日本語試験が免除されます。

在留資格「介護」

最後に、在留資格「介護」について解説します。この資格は2017年に創設されました。

創設の目的は、介護福祉士の国家資格を取得した外国の方に高度専門職として日本社会に定着してもらうことにあります。ここまで解説した技能実習(育成就労)、特定技能1号、EPAの3制度は、いずれも在留資格「介護」への到達を最終的なキャリアパスとして設計されています。

在留資格「介護」を取得する方には大きく2つのタイプがあります。

「介護」を取得する方のタイプ

①留学生として入国し養成施設で2年以上学んだ後に国家試験に合格する方

②他の3つの在留資格で就労しながら国家試験に合格する方

②の場合、受験資格として実務経験3年以上等の要件が求められます。不合格の場合でも、現在の在留資格のもとで就労を続けながら再受験が可能です。

法定の日本語要件はありませんが、試験が日本語で実施されるため、実質N2以上の日本語力が必要です。

在留期間は5年、3年、1年、3カ月のいずれかで、更新回数に上限がないことが最大の特徴です。また、配偶者と子の帯同が認められています。

余談ですが、ここで解説した4つの在留資格とは別に「永住者」という在留資格が存在します。「永住者」の許可には原則10年以上の在留と、うち就労資格で5年以上が求められますが、更新上限のない、在留資格「介護」であれば要件を満たすことが可能であり、永住権取得への現実的なルートとなります。

まとめ

今回のコラムでは介護分野における外国人労働者の在留資格制度について解説しました。在留資格制度の基礎知識、在留資格:技能実習・育成就労・特定技能・EPA特定活動、最終到達点である在留資格「介護」についてご理解いただけたかと思います。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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