夜勤明けと休日の関係|割増賃金と休日労働【訪問介護・訪問看護・障害者居宅介護・重度訪問介護・障害者グループホーム】

夜勤明けと休日の関係|割増賃金と休日労働【訪問介護・訪問看護・障害者居宅介護・重度訪問介護・障害者グループホーム】
井ノ上剛(社労士・行政書士)

夜勤明けの日は休みを取らせたことになるのでしょうか?深夜0時を回る労働が発生しやすい、訪問介護・訪問看護・障害者居宅介護・重度訪問介護・障害者グループホームの経営者からよく尋ねられる質問です。今回のコラムでは夜勤明けと休日の関係について詳しく解説します。

このコラムの推奨対象者

・訪問介護・訪問看護の経営者(開業計画中の方)
・障害者居宅介護・重度訪問介護・障害者グループホームの経営者(開業計画中の方)
・深夜0時を回る夜勤が発生する労働の取り扱いについて理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した法務事務所です。このコラムの執筆時(令和4年8月)現在、介護障害福祉事業の累積設立支援実績491社。 訪問介護・訪問看護・障害者居宅介護・重度訪問介護・障害者グループホームの経営者から「深夜0時を回る夜勤が発生する労働の取り扱い」について頻繁にご質問をお受けしています。このコラムでは夜勤明けと休日の関係を詳しく解説します。

同じ内容を動画でも解説しています。

休日の考え方

最初に労働基準法における休日の考え方から整理します。

労働基準法にそもそも曜日や祝祭日の概念がありません。従って日曜日や祝祭日を休みとする必要はなく、どの日を休日とするかは会社の判断となります。これらは個々の労働者との雇用契約書、または就業規則で定めます。

労働基準法における休日の規定を整理してみます。

労働基準法 第35条

・休日は毎週少なくとも1日
・または4週で4日以上

この規定をご覧になった方は

あれ?これだと週休2日にならないのでは?

とお考えではないでしょうか。現在の日本の会社では週休2日制が一般的になっていますが、労働基準法では週1日または4週4日の休日を与えるだけで良いのです。一方で労働時間については、

労働基準法 第32条

・1週40時間まで
・1日8時間まで

という原則があるため、結果的に1日8時間を5日勤務し、週休2日制を取るのが一般的となります。ちなみに例えば、

・7時間勤務を5日(35時間)、5時間勤務を1日で週40時間勤務
・6.5時間勤務を6日で週39時間勤務

とし、週休1日制でも法的には何ら問題がありませんが、休日を増やそうという昨今の時代の流れには逆行するものであると思います。

以上から言えることは次の2点です。つまり、

・労働基準法で定める休日は週1日、または4週4日・・・これを法定休日と言います。
・時代の流れに基づくプラスアルファの休日・・・これを所定休日と言います。事業める休日、という意味です。

結果として週休2日制が成り立っているわけです。

深夜労働の考え方

本題に入る前に、もう少し労働時間についての基本知識を整理しておきます。

深夜労働とは、22時から翌朝5時の時間帯のことです。この時間帯は賃金が25%増しとなります。具体例で考えてみましょう。

ある人の1時間当たりの賃金が1200円、1日の勤務シフトが12時から21時の8時間だとします。たまたまその日の仕事が忙しく、残業が発生した場合を考えます。

21時から22時までの残業は25%増しの1500円です。しかし残業が22時以降にまたがる場合、さらに深夜割増25%が付くため50%増しの1800円となります。つまり、残業が深夜帯にまたがる場合、割増率がダブルで加算されるという点に注意しましょう。

残業が深夜帯にまたがる場合の割増率

以上が深夜労働の考え方です。

夜勤明け日をどう取り扱うか

いよいよこのコラムの本題です。

ある人の勤務シフトが図の通りであるとしましょう。

この場合、火曜日の夜勤明けから、水曜日の勤務開始までを労働基準法で言う休日として考えてよいかどうか、という問題が生じます。

夜勤シフト

夜勤明けから24時間以上空けて次の勤務が始まっているから、火曜日を休日としても良いのでは?

と思いませんか?しかし正解は「火曜日を休日と見なすことはできない」となります。理由をご説明しましょう。このコラムの前半でご説明した通り、労働基準法では、

・休日は毎週少なくとも1日
・または4週で4日以上

と規定しているにとどまり「どのような条件が整えば休日とするか」については実は書かれていません。この点行政通達では、

1日とは0時から24時までの暦上の日を言う

と示しているため、火曜日が休日にならないのです。なお、8時間3交替制シフトを規則的に運用する場合は例外規定が当てはまる場合がありますが、介護障害福祉事業では当てはまる例が乏しいため説明は省略します。

このルールを知らないでシフト組をしてしまうと、

・休日労働(割増率35%)
・休日労働&深夜労働(割増率60%)

という想定外の問題に発展する可能性があるため、十分に注意しましょう。

まとめ

今回のコラムでは夜勤明けと休日の関係について解説しました。障害者グループホームや障害居宅介護、重度訪問介護などでは発生しやすい問題であると思います。

タスクマン合同法務事務所では、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した社労士、税理士、行政書士、司法書士がお客様を強力にサポートしています。深夜勤務を含むシフト組をせざるを得ないお客様には、業界を熟知した社労士がご対応しますので、是非ご相談下さい。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
【記事内容自体に関するご質問には応対できかねますので、ご了承お願い致します。】

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護職員実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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