特定処遇改善加算(Ⅰ)と人員配置加算(特定事業所加算・福祉職員配置等加算・サービス提供体制強化加算)の関係を分かりやすく解説

特定処遇改善加算(Ⅰ)と人員配置加算(特定事業所加算・福祉職員配置等加算・サービス提供体制強化加算)の関係を分かりやすく解説

このコラムを読むと理解できること

1.特定処遇改善加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い
2.特定処遇改善加算(Ⅰ)を適用するための人員配置要件
3.指定種別ごとの人員配置要件の違い

介護・障害福祉事業を専門に取り扱っている社会保険労務士兼行政書士が、特定処遇改善加算(Ⅰ)と人員配置加算(特定事業所加算・福祉職員配置等加算・サービス提供体制強化加算)の関係について詳しく解説する。

目次

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このコラムでお伝えしたいこと(超重要!)

初めに

このコラムで取り扱うテーマは非常に専門的かつ難解だ。この複雑なテーマを、何とか介護・障害福祉事業経営者のために分かりやすく解説しようと思いコラムを記述した。結果として5000文字を超える大容量となったが、どのサイトよりも分かりやすく、かつ詳細まで解説できていると思うので、是非通読願いたい。

このコラムのテーマ(タイトル)は、以下の通りである。

特定処遇改善加算(Ⅰ)と人員配置加算(特定事業所加算・福祉職員配置等加算・サービス提供体制強化加算)の関係

まず冒頭でこのコラムタイトルを少し掘り下げてみよう。

特定処遇改善加算の創設

介護・障害福祉事業に令和元年10月、新たに特定処遇改善加算が設けられた。特定処遇改善加算を端的に説明すると、

介護・障害福祉事業分野における資格者(介護福祉士等)の地位向上と処遇安定のために、それら資格者に対する賃金補助を国費で実施しよう

という取り組みだ。(>>特定処遇改善加算の詳細はこちら

特定処遇改善加算の種別

特定処遇改善加算には2つのレベル(Ⅰ)と(Ⅱ)がある。業種別に加算率を一覧表にすると次の通りとなる。(令和2年7月時点)

主な指定種別 特定処遇(Ⅰ) 特定処遇(Ⅱ)
訪問介護 6.3 4.2
通所介護 1.2 1.0
居宅介護(障害) 7.4 5.8
重度訪問介護(障害) 4.5 3.6
生活介護 1.4 1.3
自立訓練(機能) 5.0 4.5
自立訓練(生活) 3.9 3.4
就労移行支援 2.0 1.7
就労継続A型 0.4 0.4
就労継続B型 2.0 1.7
共同生活援助 1.8 1.5
児童発達支援 2.5 2.2
放課後等デイサービス 0.7 0.5

表で分かる通り、特定処遇改善加算(Ⅰ)と(Ⅱ)では加算率に差がある。そのため特定処遇改善加算(Ⅰ)を算定するためには、(Ⅱ)の場合よりも高いハードルが課せられているわけだ。

その高いハードルの中で最大のものが人員配置要件である。そしてその人員配置要件については、各指定業種別に存在する人員配置に関する加算を適用していることが条件となるのである。このコラムで解説したいのは、それら人員配置に関する加算である。

フローチャートで再度、このコラムで解説したい内容を図示すると次のようになる。

このコラムの解説内容のフローチャート

特定処遇改善加算の創設

令和元年10月、介護障害福祉事業に特定処遇改善加算が創設された。

STEP
1

特定処遇には(Ⅰ)と(Ⅱ)

特定処遇改善加算には(Ⅰ)と(Ⅱ)が設けられ、(Ⅰ)の加算率が高く、それに応じてハードルも高い。

STEP
2

人員配置のハードル

特定処遇改善加算(Ⅰ)を得るためのハードル中、最大のものが人員配置要件である。

STEP
3

業種ごとの人員配置要件

人員配置の要件を満たすかどうかは、業種別に定められている人員配置に関する加算を適用していることが条件となる。

STEP
4

このコラムの主題

このコラムの主題は、業種別に定められている人員配置に関する加算を個別に解説することである。

STEP
5

特定処遇改善加算(Ⅰ)を取るための人員配置加算

ここでは特定処遇改善加算(Ⅰ)を適用するために必要な人員配置に関する加算の呼び方と、必要とされる加算レベルについて、一覧表でまとめてみる。

主な指定種別 適用すべき人員配置加算
訪問介護 特定事業所加算(Ⅰ)または(Ⅱ)
通所介護 サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イ
居宅介護(障害) 特定事業所加算(Ⅰ)から(Ⅳ)いずれか
重度訪問介護(障害) 特定事業所加算(Ⅰ)から(Ⅲ)いずれか
生活介護 福祉職員配置等加算(Ⅰ)から(Ⅲ)いずれか
自立訓練
就労移行支援
就労継続A型B型
共同生活援助
児童発達支援
放課後等デイサービス

訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)(Ⅱ)

訪問介護の特定事業所加算の全体像

訪問介護事業において、特定処遇改善加算(Ⅰ)を算定するためには、4種類ある特定事業所加算のうち(Ⅰ)または(Ⅱ)を適用する必要がある。このコラムでは(Ⅲ)(Ⅳ)についての説明は省略する。

特定事業所加算(Ⅰ)(Ⅱ)の共通条件

特定事業所加算(Ⅰ)(Ⅱ)いずれを適用する場合にも共通して、次の4つの条件を満たす必要があるため冒頭で確認しておこう。

1.研修計画を作成して実施する
2.会議を開催し情報共有する
3.全訪問介護員に定期健康診断を実施する
4.緊急時対応を利用者に明示する

この4点は、事業所としての取り組み姿勢を示すものであるため、特段の人員配置問題は生じない

特定事業所加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の適用条件の違い

その他3つの適用条件について、特定事業所加算(Ⅰ)(Ⅱ)に分けて一覧化する。

比較項目 特事加算(Ⅰ) 特事加算(Ⅱ)
加算率 20% 10%
5.前年度(または直近3ヵ月平均)職員に占める介護福祉士の比率が30%以上、または実務者研修以上の比率が50%以上 5または6のどちらか1つ
6.サ責の全員が3年以上の介護福祉士、または5年以上の実務者研修
7.前年度(または直近3ヵ月平均)要介護区分4以上の利用者が全体の20%以上

新規指定事業所の注意点

以上の通り、5および7については、前年度(または直近3ヵ月平均)の平均値で計算する必要があるため、新規指定(開業)と同時には特定事業所加算(Ⅰ)は適用できず、早くとも開業から4カ月目以降となる。ただし新規指定事業所でも特定事業所加算(Ⅱ)なら指定(開業)から適用することができるため、特定処遇改善加算(Ⅰ)の適用が可能となる点がポイントである。

通所介護のサービス提供体制強化加算(Ⅰ)イ

通所介護事業所のサービス提供体制強化加算の全体像

通所介護事業において、特定処遇改善加算(Ⅰ)を算定するためには、3種類あるサービス提供体制強化加算のうち(Ⅰ)のイ(1回につき18単位を加算)を適用する必要がある。コラムではその他の加算についての説明は省略する。

サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イの適用条件

通所介護事業所でサービス提供体制強化加算(Ⅰ)イを適用するためには、前年度(または直近3ヵ月平均)職員に占める介護福祉士の比率が50%以上となる必要がある。同時に、定員超過または職員欠如に陥っていないことも要件とされる。

新規指定事業所の注意点

以上の通り、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イを適用するためには、前年度(または直近3ヵ月平均)の平均値で、職員に占める介護福祉士の比率を計算する必要があるため、新規指定(開業)と同時にはサービス提供体制強化加算(Ⅰ)イは適用できず、早くとも開業から4カ月目以降となる。

居宅介護の特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅳ)

居宅介護の特定事業所加算の全体像

障害福祉サービスの居宅介護において、特定処遇改善加算(Ⅰ)を算定するためには、4種類ある特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅳ)のいずれかを適用する必要がある。

居宅介護の特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅳ)共通条件

居宅介護で特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅳ)いずれを適用する場合にも共通して、次の4つの条件を満たす必要がある。

1.会議を開催し情報共有する
2.全訪問介護員に定期健康診断を実施する
3.緊急時対応を利用者に明示する
4.新規採用者に同行による研修を実施する

この4点は、事業所としての取り組み姿勢を示すものであるため、特段の人員配置問題は生じない。

特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅳ)の適用条件の違い

その他5つの適用条件について、特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅳ)に分けて一覧化する。

比較項目 特事(Ⅰ) 特事(Ⅱ) 特事(Ⅲ) 特事(Ⅳ)
加算率 20% 10% 10% 5%
5.研修計画を作成して実施する サ責だけでよい
6.前年度(または直近3ヵ月平均)において①職員に占める介護福祉士の比率が30%以上、②または実務者研修等以上の比率が50%以上、③または常勤職員によるサービス提供時間が全体の40%以上 6~8のうちどれか1つ
7.サ責の全員が3年以上の介護福祉士、または5年以上の実務者研修
8.サ責を1人超配置することが義務付けられる場合常勤2名以上のサ責を配置 さらに1名以上の常勤サ責を配置
9.前年度(または直近3ヵ月平均)障害支援区分5以上および喀痰吸引を必要とする利用者が全体の30%以上 区分4以上および喀痰吸引利用者が全体の50%以上

新規指定事業所の注意点

以上の通り、6および9については、前年度(または直近3ヵ月平均)の平均値で計算する必要があるため、新規指定(開業)と同時には特定事業所加算(Ⅰ)は適用できず、早くとも開業から4カ月目以降となる。ただし新規指定事業所でも特定事業所加算(Ⅱ)~(Ⅳ)なら指定(開業)から適用することができるため、特定処遇改善加算(Ⅰ)の適用が可能となる点がポイントである。

重度訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)

重度訪問介護の特定事業所加算の全体像

障害福祉サービスである重度訪問介護において、特定処遇改善加算(Ⅰ)を算定するためには、3種類ある特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを適用する必要がある。

重度訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)共通条件

特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)いずれを適用する場合にも共通して、次の5つの条件を満たす必要がある。

1.研修計画を作成して実施する
2.会議を開催し情報共有する
3.全訪問介護員に定期健康診断を実施する
4.緊急時対応を利用者に明示する
5.新規採用者に同行による研修を実施する

この5点は、事業所としての取り組み姿勢を示すものであるため、特段の人員配置問題は生じない。

特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)の適用条件の違い

その他5つの適用条件について、特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)に分けて一覧化する。

比較項目 特事(Ⅰ) 特事(Ⅱ) 特事(Ⅲ)
加算率 20% 10% 10%
6.深夜を含め常時サービス提供が可能
7.前年度(または直近3ヵ月平均)において①職員に占める介護福祉士の比率が30%以上、②または実務者研修等以上の比率が50%以上、③または常勤職員によるサービス提供時間が全体の40%以上 7~9のうちどれか1つ
8.サ責の全員が①3年以上の介護福祉士、②または5年以上の実務者研修、③または6000時間以上の実務経験
9.サ責を1人超配置することが義務付けられる場合常勤2名以上のサ責を配置
10.前年度(または直近3ヵ月平均)障害支援区分5以上および喀痰吸引を必要とする利用者が全体の50%以上

新規指定事業所の注意点

以上の通り、7および10については、前年度(または直近3ヵ月平均)の平均値で計算する必要があるため、新規指定(開業)と同時には特定事業所加算(Ⅰ)は適用できず、早くとも開業から4カ月目以降となる。ただし新規指定事業所でも特定事業所加算(Ⅱ)(Ⅲ)なら指定(開業)から適用することができるため、特定処遇改善加算(Ⅰ)の適用が可能となる点がポイントである。

障害者・児の通所事業 福祉職員配置等加算(Ⅰ)~(Ⅲ)

ここでは次の通所型福祉事業についての福祉職員配置等加算(Ⅰ)~(Ⅲ)について解説する。

生活介護、自立訓練(機能)、自立訓練(生活)、就労移行支援、就労継続A型、就労継続B型、共同生活援助、児童発達支援、放課後等デイサービス

障害者・児の通所事業 福祉職員配置等加算の全体像

以上の通所型福祉事業において、特定処遇改善加算(Ⅰ)を算定するためには、3種類ある特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを適用する必要がある。

障害者・児の通所事業 福祉職員配置等加算(Ⅰ)~(Ⅲ)の適用条件

以下、加算レベルごとに適用条件を解説する。

福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)

常勤のサービス提供職員のうち、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理師の割合が35%以上となるように配置

●福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)

同25%以上となるように配置

●福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)

サービス提供職員のうち、①常勤職員が75%以上、②または勤続3年以上の常勤職員が30%以上となるように配置

このコラムのまとめ

以上がコラムタイトル「特定処遇改善加算(Ⅰ)と人員配置加算(特定事業所加算・福祉職員配置等加算・サービス提供体制強化加算)の関係」の概要である。冒頭でご説明した通り、この分野の制度は極めて複雑だ。いずれにせよ目的は特定処遇改善加算(Ⅰ)を適用することである。

処遇改善加算、特定処遇改善加算の適用、またはその前提条件となる人員配置加算の適用でお困りの際は、是非当事務所までご相談を。

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