税理士・社労士・行政書士・司法書士は別々に契約したほうが良い?それとも一カ所でまとめた方が良い?メリットとデメリット
皆さんの会社では税理士、社労士、行政書士、司法書士の契約先は別々でしょうか?それとも一カ所に取りまとめされているでしょうか。今回のコラムでは、これらの契約を別々に行う場合と一カ所に取りまとめる場合のメリットとデメリットについてご説明します。
このコラムの推奨対象者
・契約先の税理士、社労士、行政書士、司法書士が連携できていないと感じる方
・個別で税理士、社労士、行政書士、司法書士に連絡するのが面倒と感じる方
・税理士、社労士、行政書士、司法書士が連携して自社を助けて欲しいと感じる方
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した法務事務所です。このコラムの執筆時(令和5年8月)現在、介護障害福祉事業の累積支援実績608社。税理士、社労士、行政書士、司法書士の合同事務所であるため、お客様に最適なサポートを効率よく提供することが可能です。
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税理士・社労士の関与率
日本の全会社に対する税理士の関与率は約9割、社労士で約6割だと言われています。介護障害福祉事業の場合は、介護職員の雇用管理が必要となるため、社労士の関与率はもう少し高いと予測します。
税理士、社労士は定型的な業務がベースとなるため、顧問契約を締結するのが一般的です。
一方の行政書士、司法書士は必要に応じていわゆるスポット業務として仕事を依頼するのが一般的です。
中小企業の場合、会社設立を依頼した行政書士や司法書士から紹介された税理士と契約するケースをよく耳にします。その後、さらに社労士の紹介を受けるといったケースです。
このようなケースでは、紹介元と紹介先の専門事務所は、相互に知り合い同士の関係ではあるものの、別々に事務所を構える事業体であり、相互の情報連携の品質やスピードに問題が生じる場合があります。
以下、行政書士、司法書士、税理士、社労士との契約を別々に行う場合と一カ所にまとめる場合の違いについて2つの事例を用いて解説します。
手続き上の連携問題
1点目は手続き上の連携問題です。具体例として本社住所地を変更するケースで説明します。
皆さんが経営者である場合、本社住所地を変更する必要性が生じたとき、どのような行動を取るでしょうか?物件候補地が見つかった後の行動をイメージしてみましょう。
介護障害福祉事業で本社が事業所を兼ねる場合、物件候補地が指定基準を満たしているかどうかを確認する必要があります。そこで指定申請を担当した行政書士へ連絡し、図面の確認を依頼します。後日、
問題ありません。
との回答を得て、指定事業の変更届出を正式に依頼します。その後あなたは登記住所地の変更の必要性があることを思い出し、その旨を行政書士に連絡します。しかし行政書士からは
登記住所地の変更は司法書士業務です。
との説明を受け、あなたは数年前に会社設立登記を依頼した司法書士の名刺を探して連絡します。行政書士、司法書士ともにしばらく連絡を取っていなかったため、あなたの会社の業務記録を整理するのに時間がかかり、あなたはやや不満を感じます。
このようなやり取りを続けながらも、何とか事業所の変更届と本社住所地の移転登記が完了してひと段落つきます。しかし、その後数カ月して会計処理を依頼している税理士から
新たに不動産の契約金を支払われているようですが、どのような内容の取引ですか?
と質問があります。そこであなたは税理士にこれまでのいきさつを説明します。税理士からは
速やかに税務署、都道府県税事務所等での住所地変更手続きが必要です。
と指摘され、登記事項証明書や賃貸借契約書の写しを依頼されます。登記事項証明書の予備が手元にないため、慌てて法務局へ走り、税理士へ提出します。
そうこうしているうちに、日本年金機構や労働局から届く書類が旧住所地のまま転送状態が続いていることに気付きます。社労士に連絡したところ
同じく変更手続きが必要です。
とを指摘され、慌てて段取りします。
これは日本全国の会社で日常的に発生している問題です。仮に税理士、社労士、行政書士、司法書士の契約が一カ所の合同事務所にまとまっている場合、行政書士に物件候補地の相談を行った際に、司法書士、税理士、社労士へ即座に情報連携が行われ、必要となる全手続きの説明を受けることができたでしょう。
忙しい経営者の皆さん、税理士、社労士、行政書士、司法書士を別々に契約することで貴重な時間を無駄にしてはいませんでしょうか?
相談時のクオリティー問題
続いて相談時のクオリティー問題について、従業員の一人とトラブルが生じた場合を例に検証します。
とある問題従業員に業を煮やしたあなたは、解雇したい旨を社労士へ相談します。社労士からは
解雇における労働法上の考え方は・・・・です。
と説明を受け、解雇予告手当30万円とは別に特別金50万円、合計80万円を支払うことを決定し、その通り実行します。
その後、会計処理を依頼している税理士がその支出に気付き
従業員さんに80万円を支払ったようですが、どのような内容ですか?
と質問があります。そこであなたは税理士にこれまでのいきさつを説明します。税理士からは
それは退職金ですか?それとも示談金ですか?源泉所得税の控除はどうしましたか?
と次々と問題点を指摘されます。もはや解雇から1カ月以上経過しており、本人との連絡が取りにくい状態となっているあなたは、その旨を税理士に説明します。税理士からは
税務処理上問題が残りますが、止むを得ませんね。
との説明を受けます。
さらにあなたは解雇した従業員をサービス提供責任者として届出していたことを思い出し、慌てて行政書士へ変更手続きを依頼します。解雇から1カ月を経過しているため、届出期限から大きく遅延していますが、事後的に手続きを完了します。
その際、行政書士から
この従業員さんは合同会社の出資者にも名前が入っているようですから変更登記が必要ですよ。
と指摘を受けます。あなたは司法書士へこれまでのいきさつを説明し、登記上の役員から外す相談をします。司法書士からは
役員ですから、そもそも解雇予告手当の問題は生じないはずですが、どのような判断でしたか?
との説明を受け、あなたは何のことか分からず困惑します。さらに司法書士からは
解雇した本人が出資していた持ち分10万円は誰が引き継ぐのですか?
と指摘されます。同じく司法書士から
株価が変わっている可能性があるので一度税理士に相談してはどうでしょうか?
と助言を受け、税理士に連絡します。税理士からは
出資当時10万円だった株価が利益の蓄積により10倍の100万円位に上がっています。100万円前後で買い取らないと、課税問題が生じます。
と指摘され、あなたはどうすれば良いのか途方にくれます。
似たような話が日本全国で日常的に発生しています。仮に税理士、社労士、行政書士、司法書士の契約が一カ所に取りまとめできている場合、社労士に解雇相談を行った際に、司法書士、行政書士、税理士へ即座に情報連携され、これが単なる従業員の解雇問題に留まらない旨の説明を受け、総合的な見地から適切な助言を受けることができたでしょう。
忙しい経営者の皆さん、税理士、社労士、行政書士、司法書士の契約を別々にすると1✕4が確実に4を下回ります。
まとめ
以上が税理士、社労士、行政書士、司法書士の契約を別々に行う場合と一カ所にまとめる場合の違いです。これらの契約先を一カ所にまとめる場合のメリットをイメージして頂けたのではないかと思います。今一度契約内容を見直してはいかがでしょうか?
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【この記事の執筆・監修者】
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※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
(電話)0120-60-60-60
06-7739-2538
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