【介護サービス事業者経営情報データベース報告】令和7年1月から全介護事業所に経営情報の報告義務|2つの新制度【後編】

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タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。全ての介護サービス事業者に経営情報の報告・公表を求める2つの新制度がスタートしました。福祉起業塾では前後編に分けて、これらの新制度を解説します。後編のテーマは「介護サービス事業者経営情報データベース報告」です。令和7年1月から全ての介護サービス事業者に義務付けられた報告制度を深堀します。
【前編】はこちらをご参照下さい
このコラム推奨対象者
・介護サービス事業者経営情報データベース報告制度の概要を知りたい方
・報告対象事業者と報告内容を知りたい方
・報告から公表までのステップについて知りたい方
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数75名、累積顧客数は北海道から沖縄まで817社、本社を含め8つの営業拠点で運営しています。コラムでは介護サービス事業者経営情報データベース報告について詳しく解説します。
同じ内容を動画でも解説しています。
介護サービス事業者経営情報データベース報告制度とは
初めに介護サービス事業者経営情報データベース報告制度の成り立ちから解説します。厚生労働省は3年に1度「介護事業経営実態調査」を行い、その結果を翌年に行われる介護保険制度改正、介護報酬改定の基礎としています。
しかし高齢者人口の急激な増加と社会環境の変化に適切に対応するためには、「3年に1度の実態調査では追いつかない」との指摘がなされていました。そこで、毎年全ての介護サービス事業者に、データベースに入力する形で経営情報の報告を求め、分析に役立てることを目的に始まったのが「介護サービス事業者経営情報データベース報告制度」です。


この制度のポイントを3点にまとめると以下の通りとなります。
ポイント
①3年に1度の「介護事業経営実態調査」を補うため毎年報告を求める
②「介護事業経営実態調査」のサンプル調査とは異なり、全数調査とする
③分析結果を公表し、介護保険制度改正、介護報酬改定の基礎とする
制度の詳細は厚生労働省のホームページをご確認下さい。>>こちらをクリック
報告対象事業者と報告内容
続いて、報告対象事業者と報告内容について解説します。
まずは報告対象事業者です。報告対象は原則として全ての介護サービス事業者ですが、決算年度内の介護報酬が100万円以下の小規模事業者などは除外されます。
次に報告内容です。報告内容は大きく分けて4項目あります。
報告内容
①基本情報
事業所名、事業所番号、サービスの種類、決算年度などが該当します。
②事業所の収益と費用
介護事業収益に始まり、介護事業費用として給与費、水道光熱費、業務委託費、減価償却費などが該当します。
③職種ごとの人数
介護福祉士、看護師、理学療法士など、職種ごとの人数内訳です。給与・賞与の報告は任意となります。
④兼業の状況
介護サービス事業の兼業に加えて、障害福祉事業や医療事業の兼業状況を報告します。
報告単位
ここでは、報告単位について解説します。報告は原則として事業所単位となります。事業所単位で経営情報を報告するためには、それぞれで会計区分を行う必要があります。しかし、事業所単位で会計区分を行っていない場合など、やむを得ない場合は「法人単位の報告でも差支えない」とされています。


ただし、運営基準第38条では、指定事業ごとの会計区分が義務付けられています。会計区分ができていない場合、運営基準違反となるため注意が必要です。
会計区分の実施に消極的な事業者様も多いと思いますが、会計区分を行うことにより、事業所・サービス毎の収支を把握し、経営分析にも役立つため、まだ取り組まれていない場合は、是非この機会にご検討下さい。
運営基準を満たす会計区分処理方法は以下のコラムをご参照下さい。
報告から公表までの4つのステップ
本編の最後に、報告から公表までの4つのステップについて解説します。
GビズIDプライムアカウントの取得
第1ステップは、GビズIDプライムアカウントの取得です。アカウント取得は、オンラインまたは郵送で行う必要があります。オンラインの場合は即日取得できますが、郵送の場合は取得まで一定の期間がかかるため、余裕をもって準備することをお薦めします。
詳細はデジタル庁のホームページをご確認下さい。>>こちらをクリック
データベースシステムへの報告
第2ステップは、データベースシステムへの報告です。決算終了後、3か月以内に報告する必要があります。
ただし制度スタート時の特例として、令和6年3月31日から12月31日までに決算を迎える法人については、報告期限が一律令和7年3月31日とされています。
介護サービス事業者側の義務としてはここまでです。
都道府県または政令指定都市の調査分析&報告
第3ステップとして、都道府県または政令指定都市が、データベース情報の調査分析を行い、厚生労働省に報告します。
公表
最後に第4ステップとして、厚生労働省が介護サービス事業者全体の経営情報を把握し、分析結果を広く国民に公表する流れとなります。
つまりこの公表は、個人や法人を特定する形の公表ではなく、属性等に応じてグルーピングした分析結果を公表するものとなります。


未報告・虚偽報告がある場合、都道府県知事または政令指定都市から、是正命令が下され、命令に従わない時は指定の一部効力停止・指定取消などの処分が下されることがあるためご注意ください。
まとめ
今回のコラムでは、令和7年1月から全ての介護事業者に求められる「経営情報データベース報告義務」について解説しました。経営情報データベースの概要と、具体的な報告内容についてご理解頂けたかと思います。
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【この記事の執筆・監修者】


- (いのうえ ごう)
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※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
(電話)0120-60-60-60
06-7739-2538
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