令和6年度報酬改定【児童発達支援・放課後等デイサービス】第3回テーマ「事業所外との連携による加算制度」
令和6年度、児童発達支援・放課後等デイサービスの報酬改定では集中的支援加算、関係機関連携加算、事業所間連携加算など、事業所外と連携する場合の加算制度に動きがあります。福祉起業塾では全3回に分けて令和6年度報酬改定の内容を解説していきます。第3回のテーマは「事業所外との連携による加算制度」です。
このコラムの推奨対象者
集中的支援加算、関係機関連携加算、事業所間連携加算の詳細について知りたい方
個別サポート加算、人工内耳装用児支援加算に関する知識を整理したい方
家族支援加算、子育てサポート加算、保育教育等移行支援加算、自立サポート加算を正しく理解したい方
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数56名、累積顧客数は北海道から沖縄まで690社、本社を含め8つの営業拠点で運営しています。コラムでは令和6年度児童発達支援・放課後等デイサービス報酬改定のうち「事業所外との連携による加算制度」に焦点当てて詳しく解説します。
同じ内容を動画でも解説しています。
集中的支援加算
状態が悪化した強度行動障害を有する障害児に対して、専門職が事業所等を集中的に訪問する際に算定できる集中的支援加算が新設されます。
加算区分(Ⅰ)では専門職が事業所等を集中的に訪問する場合、3月以内の期間に限り1月4回を限度として1日1000単位加算されます。区分(Ⅱ)では対象障害児を他の事業所から受け入れる場合に、3月以内の期間に限り1日500単位加算されます。区分(Ⅱ)を算定する場合は、区分(Ⅰ)も算定可能です。
関係機関連携加算
こどもと家族に対する包括的な支援を促進する観点から、関係機関連携加算が拡充されます。
加算区分Ⅰでは保育所や学校等との個別支援計画に関する会議を開催し、連携して個別支援計画を作成した場合に月1回250単位、区分Ⅱでは保育所や学校等との会議等により情報連携を行った場合に月1回200単位、区分Ⅲでは児童相談所、医療機関等との会議等により情報連携を行った場合に月1回150単位、区分Ⅳでは就学先の小学校や勤務先との連絡調整を行った場合に1回に限り200単位算定可能となります。
事業所間連携加算
セルフプランで複数事業所を併用する障害児について、事業所間で情報連携を行った場合に新たに設けられる事業所間連携加算を算定することができます。
加算区分Ⅰでは会議開催、事業所間連携、家族への助言援助、自治体との情報連携等を行う中核的事業所に対して月1回を限度に500単位、区分Ⅱでは事業所内連携と支援への反映を行う事業所に対して月1回を限度に150単位算定することができます。
個別サポート加算
ここでは個別サポート加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの変更点を説明します。
重症心身障害児の基本報酬を算定していない場合に、重度障害児への支援を充実させる観点から、個別サポート加算(Ⅰ)の対象が拡充されます。
具体的には児童発達支援で120単位に増額、放課後等デイサービスでは重度障害児への対応または強度行動障害者養成研修(基礎研修)修了者を配置して対応する場合に120単位に増額、その他の場合は90単位算定となります。
個別サポート加算(Ⅱ)についても連携対象が拡充されます。具体的には、連携対象にこども家庭センターが加わります。支援状況を6カ月に1回以上共有することで150単位に増額されます。
放課後等デイサービスに個別サポート加算(Ⅲ)が追加されます。不登校の状態にある障害児に対して、学校との連携、家族への相談援助等を含めた支援を行った場合に1日70単位算定することが可能となります。
人工内耳装用児支援加算
人工内耳を装用している難聴児に支援を行った場合に算定できる、人工内耳装用児支援加算の単位数をそのままに、新たな加算区分Ⅱとして、眼科・耳鼻咽喉科の医療機関との連携の下、言語聴覚士を配置し、人工内耳を装用している児童に対して、専門的な支援を計画的に行った場合に、150単位算定することが可能となります。
家族支援加算(家庭連携加算・事業所内相談支援加算の統合)
家庭連携加算と事業所内相談支援加算を統合し、個別支援とグループ支援に分けた加算方式に移行します。またきょうだいも相談援助等の対象であることが明確化されます。
具体的には、個別相談支援を行った場合に、居宅訪問1時間以上で300単位、1時間未満で200単位、事業所対面で100単位、オンラインで80単位となります。グループ支援の場合は事業所対面で80単位、オンラインで60単位となります。
子育てサポート加算
障害特性への家族の理解と養育力の向上につなげるための子育てサポート加算が新設されます。
具体的には、保護者に支援場面の観察や参加等の機会を提供した上で、こどもの特性や関わり方等に関して相談援助等を行った場合に、月4回を限度に1回80単位を算定することができるようになります。
保育・教育等移行支援加算
保育所等への移行に向けた取組を推進する観点から、保育・教育等移行支援加算の対象が拡大されます。
退所後に居宅等を訪問して相談援助を行った場合1回に限り500単位をそのままに、対象に保育所訪問が加わります。また退所前に移行先への助言援助や関係機関等との協議を行った場合にも2回に限り500単位算定できるようになります。
自立サポート加算
高校卒業後のこどもの自立を見据えた支援を促進する観点から、新たに自立サポート加算が適用されます。具体的には、高校2年生以上を対象に、卒業後の生活に向けて学校や地域の企業等と連携しながら、相談援助や体験等の支援を計画的に行った場合、月2回を限度として1回100単位算定できるようになります。
まとめ
今回は令和6年度、児童発達支援・放課後等デイサービスの報酬改定のうち、事業所外との連携による加算制度について解説しました。改定内容を正しく理解し、事業所外の組織、地域や保護者との関係性構築に努めましょう。
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【この記事の執筆・監修者】
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◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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