介護障害福祉事業を開業する方向けの法定相続人講座⑬|相続放棄「親が子の代理で相続放棄」
■利益相反行為とは?
1.民法108条の利益相反行為
利益相反行為とは他人に代理権を与えることなどで、双方の利害関係がバッティング(衝突)することを指します。
民法では利益相反行為の典型例として2つのケースが説明されています。
2.ケーススタディ~民法の2つの利益相反行為
3.解説~民法の利益相反行為
事例①ではAの「なるべく高く売りたい」という希望と、Bの「なるべく安く買いたい」という希望が衝突します。
事例②におけるACも同様です。 このようなケースを「利益相反行為」として民法で禁じています。
■相続放棄の場で起こる、利益相反行為
1.ケーススタディ~相続放棄の利益相反行為
Aの相続人はW(妻)、BC(ともに未成年の子)である。 Aが死亡した。
WはBCの法定代理人として、BCの相続放棄の手続きをした。
2.解説~相続放棄の利益相反行為
この事例ではBCの相続放棄により、Wの相続分が増えますので利益相反行為として無効です。
WはBCのために家庭裁判所を通じて特別代理人を選任する必要があります。
■親が子のためにした相続放棄でも、利益相反にならない例
親と未成年者の子が相続人になる場合、双方の利益が衝突しているように見えるが、実は衝突していないケースもあります。
1.ケーススタディ~利益相反にならない相続放棄
Aの相続人はW(妻)、BC(ともに未成年の子)である。 Aが多額の借金を残して死亡した。
Wは自ら相続放棄した後、BCの法定代理人として、BCの相続放棄の手続きをした。
2.解説~利益相反にならない相続放棄
このケースではBCに関する相続放棄が、Wの相続分を増加させることには なりませんので、利益相反行為に当たらず有効となる可能性があります。
【この記事の執筆・監修者】
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◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
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