■相続放棄・限定承認の撤回・取消・無効と民法

1.ケーススタディ~相続放棄・限定承認の撤回・取消・無効

ケーススタディ

Aの相続人はW(妻)、BC(ともに子)である。Cが相続放棄した。

2.相続放棄・限定承認を取消すことができるケース

民法の一般原則を適用して、次の場合には相続放棄・限定承認を取消すことができます。

①他人に騙されて相続放棄した場合(詐欺)
②他人に脅されて相続放棄した場合(強迫)
③C自身が未成年者、成年被後見人である場合(制限行為能力者)

3.錯誤による相続放棄・限定承認の無効の検討(民法95条)

いわゆる「うっかり間違い」ですが、相続放棄は家庭裁判所での申述という厳格なる要式行為ですので、単なる「うっかり間違い」で無効にできるのは稀なケースと言えます。

たとえば次のようなケースでは本人の重過失、単なる動機の問題として相続放棄、限定承認、単純承認の無効は認められないでしょう。

①財産が相当あると思って単純承認したが、実は借金の方が多額だった

②他の相続人も相続放棄すると思って自分も相続放棄したが、他の相続人が単純承認した
(最判昭40.5.27)

③息子の相続税が安くなると思って親である自分が相続放棄したが、実際は相続税が多額だった
(最判昭30.9.30)

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)