【令和4年10月開始ベースアップ等支援加算 実践編】10月からベースアップ加算を取得する場合の計画書の書き方
令和4年10月の介護報酬改定により、処遇改善加算分野のベースアップ等支援加算が新設されることになりました。実践編と題した今回のコラムでは、既に処遇改善加算を取得済みの事業者が、令和4年10月からベースアップ等支援加算を取得する場合の、計画書の書き方について解説します。
「読むのは苦手」と言う方は動画をどうぞ。
このコラムの推奨対象者
・令和4年10月開始のベースアップ等支援加算を自社でも導入したい人
・ベースアップ等支援加算の計画書の書き方をマスターしたい人
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した法務事務所です。このコラムの執筆時(令和4年7月)現在、介護障害福祉事業の累積設立支援実績484社。多くの顧問先から「令和4年開始の介護職員処遇改善ベースアップ等支援加算」についてご質問を受けています。このコラムではベースアップ支援加算に関する計画書の書き方を詳しく解説します。
基本知識を理解したい方は、先に入門編をご覧下さい。
ベースアップ等支援加算に関する計画書は、目次でお示しするステップで進めていきます。
前年1~12月の報酬単位平均【基本情報入力シート】
基本情報入力シートでは、法人の基本情報を入力するとともに、指定番号別に事業所情報を入力します。これらの情報は別紙様式2-2、2-3、2-4に自動転記されるため、間違いの無い様に入力しましょう。
最も重要な項目は、右から2列目にある「一月あたり介護報酬総単位数」です。
ここには、前年1~12月の1年間の処遇改善加算・特定処遇改善加算を除く、介護報酬総単位数を12で割ったもの、つまり平均単位数を記載します。前年度が12か月に満たない場合は、一月あたりの標準的な単位数として見込まれる数値を入力しても大丈夫です。
一番右の列「1単位当たりの単価」には地域ごとに定められている単価を入力します。
賃金改善見込額【別紙様式2-4】
別紙様式2-4では、算定する処遇改善加算の種類(Ⅰ~Ⅲのいずれか)、ベースアップ等支援加算の新規・継続の別(最初は全て新規となります)、算定対象月(令和4年10~令和5年3月)を入力します。
先に説明した基本情報入力シートへの入力が正確であれば、別紙様式2-4でベースアップ等支援加算の受給見込額が自動計算されます。(赤部分)
右側の黄色部分には、対象職員への配分計画を入力します。入力箇所はn-1、n-2、o-1、o-2の4カ所です。表にまとめます。
記号 | 意味 | 条件 |
n-1 | 介護職員の賃金改善見込額 | |
n-2 | n-1のうち、ベースアップ分 | n-1の2/3以上 |
o-1 | その他の職員の賃金改善見込額 | |
o-2 | o-1のうち、ベースアップ分 | o-1の2/3以上 |
n-1は次の計算式で①~③の数値を求めた後、入力します。
①ベースアップ加算だけを行った場合の令和4年10~令和5年3月の賃金総額
②令和3年1~12月の賃金総額
③令和3年1~12月の処遇改善加算・特定処遇改善加算
n-1=① -(②-③)÷2
【解説】
②-③により処遇改善・特定処遇改善の無い場合の改善前賃金水準を計算します。
これを2で割ることで6カ月換算し、①から差引することで、n-1がベースアップ加算による賃金改善額となります。o-1も同様の考え方です。
n-2合計はn-1合計の2/3以上となるように、またo-2合計はo-1合計の2/3以上となるようにしなければなりません。指定番号ごとに2/3以上となるように計画した方が良いでしょう。
2/3ベースアップの確認【別紙様式2-1の2(4)⑤】
別紙様式2-4でn-1、n-2、o-1、o-2の入力が済んだら、別紙様式2-1でその結果を確認します。確認箇所は次の部分です。
別紙様式2-1の2(4)介護職員等ベースアップ等支援加算
⑤ベースアップ等による賃金改善の見込額等
ここにはn-1、n-2、o-1、o-2の合計額が自動集計されています。
%が表記されているセル部分が66.7%(2/3)以上の場合、その隣に〇のマークが表示され、基準クリアとなります。基準を満たさない場合は、別紙様式2-4に戻り、微調整を繰り返しましょう。
加算額を超える賃金改善を【別紙様式2-1の2(1)②】
続いて加算額を超える賃金改善を行う計画であることを確認します。
入力は次の箇所です。
別紙様式2-1の2(1)加算額を上回る賃金改善について
②賃金改善の見込額
説明図に従って、ア)→イ)→ウ)の順で確認を進めましょう。
ア)は処遇改善・特定処遇改善の無い場合の改善前の賃金水準を指します。(6)(9)(12)へ入力することで自動計算されます。
イ)はベースアップ加算だけを行った場合の賃金改善額です。原則として基準額3に(n-1)と(o-1)を加えた額です。
ウ)は自動計算されます。加算見込額を超える賃金改善計画となっていれば、判定結果が〇となり、基準クリアとなります。
ベースアップ制度の概要【別紙様式2-1の2(5)ハ】
説明の最終箇所です。
別紙様式2-1の2(5)ハに、ベースアップ等支援加算に基づく自社の制度を入力します。
「賃金改善を行う給与の種類」の部分には、ベースアップ項目・その他項目から1つ以上選択します。ただし加算額の全てをベースアップ等に充てる場合は、「その他」のチェックは不要です。
「具体的な取組内容」の部分について、各種規程の見直しを行いつつ、次のような記載を行います。
具体的な取組内容の記載例
○ベースアップ等支援加算手当の新設(引上げ幅は、年齢、資格、経験、技能、勤務成績等を考慮して各人ごとに決定)
ベースアップ等支援加算手当の額を次のとおりとする。
介護職員 月額○○○○~○○○○円
その他の職種 月額○○○○~○○○○円
〇余剰額がある場合、既存の賞与の引上げによって職員に支給する。
(引上げ幅は、年齢、資格、経験、技能、勤務成績等を考慮して各人ごとに決定)
ベースアップ等支援加算 実践編のまとめ
以上の入力が終わったら、残りのチェック項目の記載漏れがないかを確認し、計画書を完成させましょう。
処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算の3つを同時に、かつ適正に運用していくには事業所側に大変な負担がかかります。そのようなときは、是非当社の処遇改善顧問をご利用ください。
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【この記事の執筆・監修者】
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※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
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